2009年度作成

事業所名

財団法人埼玉県公園緑地協会

所在地

埼玉県さいたま市

事業内容

県営公園の管理運営業務

従業員数

252名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	1	事務補助
内部障害
知的障害	3	清掃業務・園地管理
精神障害	1	園地管理

目次

1. 障害者雇用の経緯と背景
2. 職場配置と作業内容
3. 定着への配慮等
4. 今後の計画と課題

1. 障害者雇用の経緯と背景

当協会は、昭和46年に埼玉県の出資により設立された財団法人で、現在は埼玉スタジアムをはじめ14の公園施設の管理運営を行っている。

もともと公園は、障害者にとって憩いや癒しの場として利用されていたが、雇用については、予算削減のために、業務の効率性が優先され、後回しになっていたのが実情である。しかしながら、障害者自立支援法の施行や指定管理者としての立場、埼玉県からの要請などもあり、雇用を進めることにした。

実際の雇用に先立ち、まず、障害者雇用の必要性を公園施設の現場の職員に説明することから始めた。今までに雇用実績がなく、不安や心配などを取り除く必要があったためである。その後、障害者の従事できる業務のピックアップと受け入れ態勢の確認を行った。受け入れ先の選定は困難を極めたが、現場職員への説明を重ねるとともに、ハローワーク(公共職業安定所)や地域の障害者就労支援センターなどとも連携し、本部の他4公園で計5名を臨時職員として採用をすることができた。

2. 職場配置と作業内容

公園施設における業務は、利用者受付をはじめ、施設面の業務（清掃、警備、園地管理）や事務的な業務など多岐にわたる。実際の雇用は知的障害者及び精神障害者を想定していため、個別に判断する必要がなく、定例的に実施することができる業務として、清掃業務と園地管理業務を選定した。

（1）清掃業務

羽生水郷公園と県民健康福祉村に1名ずつ配置した。このうち、羽生水郷公園については、さいたま水族館の館内清掃を主としたものであり、県民健康福祉村については、屋外清掃を主としたものである。

作業は一般の利用者がいる中で行われるため、あいさつとともに、場合によっては施設に関しての質問等を受ける場合があるため、明るく対応することも必要である。

①羽生水郷公園での業務

午前中は屋外ベンチの拭き掃除、館内トイレ清掃、水槽の拭き掃除など行い、午後からは屋外トイレ清掃とゴミ拾いなどを行う。

②県民健康福祉村での業務

午前中は屋外トイレ清掃と一般園地のゴミ回収を行い、午後からは作業計画に基づき園路除草等清掃以外の業務も行う。

（2）園地管理業務

園地管理業務とは、芝生の刈り込み、樹木の剪定・除草など、主に屋外で行う業務である。作業には道具や機械を使用するため、利用者に危険が及ばないことと、自分自身もケガをしないよう注意する必要がある。

①こども動物自然公園での業務

こども動物自然公園では、コアラのエサとなるユーカリを管理する業務に1名が従事している。ユーカリは専門業者の委託栽培となっており、配送されたユーカリ枝を確認・仕分けの後、所定の場所に保存する。また、一部は園内でも栽培しており、不足する場合は刈り取りも行う。ユーカリは多くの種類があるが、コアラの好みに合わせ数種類をブレンドして与えている。その他に、状況に合わせて花苗の植え付けや除草なども実施する。

②所沢航空記念公園及び本部での業務

所沢航空記念公園においても園地管理業務に1名が従事している。業務の主なものは、草地の刈り込み、枯れ枝の撤去、落ち葉の集積等である。その他、本部において事務補助として1名が勤務している。

3. 定着への配慮等

（1）家族・関係機関との連携

現在採用している5名のうち、2名は初めての就労であったため、本人だけでなく家族も期待と不安があったと思われる。採用時には、家族同伴の「下見」を実施するとともに、採用後の勤務状況についても、就労支援センターから家族に伝えることなども行い、良好な関係の維持に努めている。

（2） 定着への配慮

当たり前のことであるが、仕事のモチベーションを維持するためには、存在価値が認められなければならない。仕事に真面目に取り組んで、ちゃんとできたときには、評価し「ほめる」ことを心がけている。また、積極的にコミュニケーションを取り、相談などもしやすい環境づくりに配慮している。

4. 今後の計画と課題

現在は、雇用している障害者が問題なく勤務していることと、法定雇用率を上回っていることから、新規採用の具体的な計画はない。しかしながら、公益法人として、また、公の施設の指定管理者として、地域連携及び社会貢献等の観点から、現在も実施している次の事業の継続と拡大を進め、障害者雇用に寄与することを目指す。

職場適応訓練事業

当協会が管理している公園施設において、業務の一部を体験的に従事することで、実際の就労につながることを目指すものである。初めて外の世界で仕事をする人や正規の雇用には届かないが就労を希望している人などが、自分がどれくらいできるかを体験することができる。また、花や動物との関わりを持つため、特に精神疾患の人のリハビリになっていると思われる。

この事業は業務委託として発注しており、当然のごとく委託料が障害者本人にも給料として支払われる。単なる実習やボランティアとしてではなく、対価のある労働として、働く喜びを感じることができるものとなっている。

（1）しらこばと水上公園  花壇管理業務

正面入り口の花壇（60平方メートル）において、花苗の植え付け、灌水、除草等を実施

（この作業従事者のうち1名が当協会で雇用された）

（2）こども動物自然公園  清掃補助業務

小動物とのふれあいができる「なかよしコーナー」において清掃業務を実施

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