2009年度作成

事業所名

株式会社富山村田製作所

所在地

富山県富山市

事業内容

圧電セラミックス応用電子部品の開発・生産

従業員数

1,301名

うち障害者数

21名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	8名	生産設備のオペレーション、製品選別、検査
肢体不自由	9名	生産設備のオペレーション、製造監督
内部障害	4名	倉庫資材管理、製造技術、商品開発
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所概要
2. 障害者雇用の経緯と現状
3. 取組の内容
4. 元気に貢献しています
5. 今後の方針と課題

1. 事業所概要

昭和59年（西暦1984年）4月に、当時としては富山市の郊外にあたる地に創立されたが平成の大合併により、現在は市の中心部に位置し、高速道路インターチェンジ近くの良好な立地環境にある。

時代の要請を的確に捉え、電気回路に一定のリズムを提供するセラミック発振子、特定の周波数だけを選別するセラミックフィルタ、セラミックスの振動で音を発生するブザー・スピーカー、セラミックスの伸び縮みで物体を移動するアクチュエータ、傾きや衝撃を感知し適正な反応を生みだすセンサなど圧電セラミックス応用電子部品の開発・生産を進め、大きく発展している。

会社の基本コンセプトが「Normalization（ノーマライゼーション）」であり、すべての従業員が、ありのままに、自然で楽しい会社生活を送れる環境作りを進めており、ひいては会社全体が「障害があろうとなかろうと、同じ条件で生活できる状態になるよう改善を目指している。

平成20年9月には、障害者雇用優良事業所として、厚生労働大臣表彰に輝いた。

2. 障害者雇用の経緯と現状

昭和59年（西暦1984年）4月の会社創立以来、障害者雇用は積極的に取り組んでいる。（次の項で、創業時から勤続の障害者従業員を紹介する。）

障害者雇用率は、平成18年（西暦2006年）まで、1.87％から2.04％で推移してきたが、翌年の平成19年（西暦2007年）から急速に高まり、現在は、2.77％  21名を数えている。

配属先は、製造部門  16名、検査部門  2名、倉庫管理  1名、技術・開発部門2名で、＜採用時の状況＞は新卒  10名、中途採用  11名、＜勤続年数＞は、1～5年  6名、6～10年  3名、11～15年  4名、16～20年  5名、21～25年  3名と採用後、長く勤めている者が多い。

何といっても、従業員約1,300人の大企業で、職務（仕事の種類）も多く、障害の内容や程度にあった職場に配置できる点が大きな特徴である。

3. 取組の内容

＊職場への配属

・ 障害部位を充分考慮した配置

＜例＞  交替勤務（3シフト制）に、手話で話せるなど、仕事のしやすさを考えて聴覚障害者2名をペアで配置。

＊配属後の教育訓練

・ 作業を習熟するまで、先輩社員によるマンツー・マン方式でのOJT教育。

＊手話講習会の開催

・ 聴覚障害従業員を中心に、年2回のビデオ通信教育と手話講師による講習会の開催。

＊職場定着推進チームの設置

・ 課長5名、係長3名、主任1名、計9名によるチームを設け、定期面談で就業上の相談、作業意欲の把握、作業環境・職務内容の見直し。この他、外部専門家による悩み相談、産業医・保健師による健康相談を実施。心と体の相談ポストの設置による24時間相談受付。

＊施設の対応

・ 専用駐車場  5台分、通路のバリアフリー、車いす利用可能なエレベータ・ロッカー・トイレ、従業員出入り口のスロープ、作業場の自動扉、聴覚障害者の作業場にトラブル報知のパトランプなど。

＊積極的な触れ合いの場企画

4. 元気に貢献しています

Aさん  51歳  男性  肢体不自由  製造監督

下肢障害のAさんは、昭和59年3月会社創業と同時に入社、以来25年会社と共に人生を送り、今は、主任として製造監督の重責を担っている。Aさんの最初の就職は、衣料品の販売会社だった。将来は「自分の店を持ちたい」と頑張っていたが、富山村田製作所の創業を知った25年前、転職を決意した。工業高校機械科出身のAさんらしい転身と言える。最先端技術の仕事に精励し、通信教育や先輩の指導で必要な技術・理論を学んだ。Aさんは、下肢に痛みがでるハンディをもっているが、同僚や上司のカバーに支えられたと感謝している。今も、3週に1回の通院を会社が認めている。今は、70名あまりのスタッフを指導監督する重要な立場のAさんは、QCサークル事務局の仕事もしている。将来については「若い人たちの教育訓練を担当したい」と意欲を示している。

上司の係長  林  和寿さん評

Aさんは、とても優しい人柄で、適切な指導監督により、若い人たちに人望があり、今後も大いに期待している。

Bさん  27歳  男性  内部障害  倉庫管理

1年前入社した新人。大学を卒業し保険会社に勤めていたころに腎臓機能障害が発症し退職していた。回復し求職活動をする中、ハローワーク(公共職業安定所)を通じこの会社に就職した。重労働は難しい。そこで、会社は、資材倉庫の管理業務を委ねている。月に1日、定休日以外に人工透析のための休暇が認められている。現在は、健康状態も良く、学生時代から続けている水泳やバスケットなどスポーツも楽しんでいる。目標は、パラリンピック出場だ。

上司の係長  熊木  賢一さん評

資材倉庫管理は、担当者2名と少数だが、Bさんは在庫数の把握、関連部署への引き渡しなどを主体となってこなす重要な役割を果たしている。

Cさん  29歳  男性  生産設備オペレータ

聴覚障害のCさんは、入社9年目、生産設備のオペレーションが仕事。3交替勤務の内夕方4時50分から午前1時35分と午前1時20分から朝8時35分までの二つの時間帯に就業している。深夜1時過ぎに出社することもあるが、「苦になりません。家族には迷惑をかけず、すべて、自分で準備して出社します。」と元気な若者である。今は、4種類の製品について生産設備のオペレーションをこなす職場きっての精鋭に育っている。全従業員を対象に実施している「改善報告制度」では、質的あるいは量的に高いレベルの業務改善提案を行ない、年間ランキングにおいて、見事ベストテン入りし、表彰を受けている。「できるだけ早く“製造監督”になりたい」と次のステップを描いている。

上司の課長  東  久彦さん評

とにかく鋭い。聴覚にハンディを持つが、機器の不調をわずかな音の変化で発見するすぐれた能力をもっている。

Dさん  34歳  女性  聴覚障害  検査

聴覚障害のあるDさんの仕事は製品検査。「できた製品に不良品はないか！」米粒大の電子部品をチェックするため、神経を研ぎ澄ました集中力が必要である。Dさんが入社したのは14年前、在学中に体験実習で工場に来た時、ボランティアで手話通訳をしていた女性と意気投合し、二人ともこの会社に勤めることになった。部署は違うがずっと励まし合って勤めている。旅行が好きなDさん、これまでは国内だけだったが、ぜひ、海外にも行ってみたいと、夢を膨らませている。

上司  係長  北野  裕樹さんの評

いろいろな工程で、他のスタッフと全く変わりなく全てをこなしている。特に、丁寧な仕事ぶりは素晴らしい。

5. 今後の方針と課題

当社では、障害者の雇用は企業としての社会的責任として捉えて、法定雇用率を達成すべく、障害者雇用に取り組んできている。

過去6年を見てみると、常に障害者雇用は法定雇用率を満たしているが、2003年度から2005年度にかけて雇用率が落ち込み傾向になった際に、雇用促進の必要性を再認識し、障害者が配置可能な職場の新たな開拓や採用活動の強化に取り組んできた。

その結果、2006年度からは雇用率が上昇してきている。

当社は、障害者雇用について、「ノーマライゼーション」がコンセプトと言えるかもしれない。

すなわち、障害者だからといって特別扱いするのではなく、障害のない社員と変わらない扱いを基本とし、それでも配慮が必要なところは配慮するといった姿勢で障害者雇用に取り組んでいる。

すべての従業員がありのままに、自然で楽しい会社生活を送れる環境をめざしている。

障害者雇用に関する当社の方針を踏まえて、引き続き採用を継続していきたいと考えている。

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