医薬品容器製造という最高度の安全性を要求される分野で、積極的に障害者を雇用して着実に成長
- 事業所名
- 阪神化成工業株式会社
- 所在地
- 富山県富山市
- 事業内容
- 医薬品容器製造業
- 従業員数
- 263名
- うち障害者数
- 5名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 2名 製品梱包準備、食堂管理 肢体不自由 内部障害 知的障害 3名 製品梱包準備 精神障害 - 目次
1. 事業所概要
阪神化成工業株式会社は、昭和47年（1972年）9月、富山市に樹脂製品の製造販売を目的として設立。
阪神化成工業を中心とした阪神グループ（現10社）の樹脂製品専門工場として、医薬・医療分野への進出などで、着実に成長している。
また、最新設備の導入による工場の近代化を図り、医薬品容器製造という最高度の安全性を要求される分野であるため、製品チェックは全数検査を行っている。
原料・資材の受け入れ段階から包装・出荷に至る全工程にわたってGMP（グッド・マニファクチャリング ・プラクティス）という管理方法を導入している。
2. 障害者雇用の経緯と現状
会社創立以来、コンセプト「人の器アイデンティティ」が示すように、ハンディを持つ人に対する理解が深く、障害者雇用を積極的に進め、常時5～6名が在籍している。
現在は、知的障害者3名と聴覚障害者2名が勤務しており、聴覚障害者の2名はご夫婦で、73歳と69歳の高年齢者である。
3. 元気に働いています
Aさん 男性 73歳 聴覚障害 製品梱包準備
聴覚障害があり高年齢ではあるが、採用されて10年、立派に職責を果たしている。
仕事は、製品を梱包するための段ボールを箱状にする作業である。Aさんは、阪神化成工業に就職する前は、印刷会社で写真製版をしていて、定年まで勤め、現在、第2の人生を送っている。73歳の今も元気そのもの、風雨の日以外は、自転車で通勤している。働いていてこそ生きがいがあると話すAさんは5人の孫に会うのが一番の楽しみである。
上司の係長 安守 睦子さんの評
とにかく、真面目でマイペースで着々と仕事をこなしている。高齢であり、残業なしの配慮をしている。
Bさん 女性 69歳 聴覚障害 食堂賄い
仕事は、弁当をもって昼食に食堂へ集まる社員に、味噌汁や吸い物を提供する。
午前8時半に出社、シルバー人材センターの女性と二人で、毎日約150食を作っている。食堂を利用する皆さんが「おいしい」と笑顔を見せてくれるのがうれしいと腕によりをかけて調理に励んでいる。先に紹介したAさんとご夫婦である。
「いつまでも、仲良く、現役で働くことにより、生活に希望を持ち続けたい」
と明るく語るカップルである。
上司の部長 門前 昌志さん評
Bさんは聴覚障害だが、大きな声で話せば会話ができる。明るい性格もあって、食堂を利用する社員に慕われている。
Cさん 男性 59歳 知的障害 検査
密閉された作業室で、黙々と働くCさん。
製品にわずかなほこりなど異物の付着を防ぐため、圧縮エアーを吹きつけている。一個一個丁寧にまんべんなく吹きつける、根気のいる仕事で、いろいろ形があるため、神経を使う作業である。Cさんは、間もなく定年（60歳）になるが、ぜひ、仕事を続けたいと意欲を示している。
上司の係長 安守 睦子さん評
多くのことを一度にやるのではなく、順番にやってもらうようにしている。真面目に処理し成果を挙げている。
Dさん 男性 35歳 知的障害 製造
担当する作業室には、コンベアに乗ってボトルやキャップなど製品が次々運ばれてくる。
Dさんは、機械の調整や製品の完成度に目をひからせている。
富山県立しらとり養護学校を卒業する時、家が近いこともあってこの会社への就職を希望し、職場体験をして入社した。
いろいろ勉強をしており、この仕事をぜひ続けたいと日々励んでいる。
みんなと一緒に働けることに大きな喜びを感じている。
日常生活では、母親と一緒にショッピングをするのが楽しみと言う好青年である。
上司の課長 辻 輝明さん評
みんなと仲良くやっている。報告も的確であり、関連書籍も読み研究熱心である。
Eさん 男性 23歳 知的障害 製品梱包準備
平成15年3月、富山県立富山養護学校を卒業し直ちに入社。6年目である。仕事の内容は、Aさんと同じダンボール箱の組み立てだが、若さがある。
製品の形により異なるサイズを的確に素早く仕上げていく。
「作業ミスによる不良品を絶対に出さない」これがEさんの目標である。
社員旅行を楽しみにしているEさんの夢は「自分の家を持つこと」である。
上司の主任 高堂 真樹さん評
しっかり仕事をしている。必要な数を確実に仕上げるので信頼できる。てきぱきと作業が早い。
4. 今後の方針と課題
私ども阪神化成工業は、阪神グループの生産工場として、一番古くからある富山工場を中心に、関連会社で、大沢野工場、岡山工場、茨城工場もあり、それぞれの拠点でも雇用管理をしている。
各工場は50名から150名で、富山工場に比べればやや規模が小さいので、障害者の雇用については、富山から指導しているが、生産工場の人事交流の機会が少なく、富山の事例を横展開する機会が充分とはいえない。
今後は、富山工場の事例を紹介する場を設け、障害者雇用の取り組みを広げていきたい。
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