事業所名

株式会社敬愛

所在地

岐阜県岐阜市

事業内容

パチンコ店の経営・温泉事業

従業員数

399名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	店舗清掃作業
聴覚障害
肢体不自由	4	店舗清掃作業・本社総合職
内部障害
知的障害
精神障害	1	店舗清掃作業

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組み内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題と展望

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）概要

1968年に創業以来、パチンコ店の経営を行ってきた。岐阜県を中心に地元密着型の営業を行い、気軽に立ち寄れる身近なお店として地域の皆様と共に成長している会社である。

現在の店舗数は23店舗。

（2）障害者雇用の経緯

地域社会貢献を果たすことが企業としての命題の一つでもあり、積極的な雇用に取り組もうと考えていたが、実際にはパチンコ店のどこでどんな仕事をするのか検討することが難しく、色々と悩んだ。障害者の人に何ができるのかもよく分からず、納付金だけ支払っている状況だった。

ハローワーク（公共職業安定所）の指導もあり、当社において新しい職種を作り、障害者個々の障害の状況に応じて、お互いに話し合いながら、仕事を作っていくというスタイルに変更できたのは平成19年である。当時の当社の法定雇用率から算出された障害者数は9名で、達成できなければ様々な指導があるということと、当社の企業姿勢や行動指針の制定と重なり、地域社会貢献活動を行うことを考えたのがきっかけとなった。

2. 取り組み内容

①募集・採用

募集は全てハローワークを通じて行っている。

採用には面接試験を行っており、適性等を考慮している。

就職に際しての障害程度についての条件等はない。

②障害者の業務・職場配置

最初に雇用した本社勤務のKさんは、重度障害者で右半身上下肢共に動かなかった。また、言語障害もあり、コミュニケーションがうまく取れない時期もあったが、今ではそのキャラクターがかけがえのない存在になっている。

現在は、本社営業部企画課に配属され、パチンコ台の説明POPの作成や、ポスター制作等の業務を行っている。

また、清掃作業職とは異なり、正社員扱いであることから、勤務時間も全て障害のない社員と同様である。

作業の様子

次に採用したNさんもKさんと同じく重度障害の人だった。現在の仕事を始める前に、何ができる作業で何ができないか、どんな動作ができて何が難しいのかなど、じっくりと話し合い、無理のないタイムスケジュールと勤務時間を設定した。

また、作業時間等が限定されるため、パート社員扱いとした。配属部署は総務部人事課所属としている。以降、当社の障害のある社員は全て人事課所属になっている。

店舗清掃業務は、店舗に併設されている立体駐車場での清掃作業を行う。基本的に屋外での仕事となるが、季節ごとに勤務時間帯を変更しながら、体調管理の維持に努めている。

障害のある社員が一年を通して気候の変動にも体調を崩すことなく、こつこつと真面目に仕事をしていたことで、障害者雇用に対する社内的な認識度も高まり、会社全体での受け入れ態勢が整い始めた。

ハローワークが主催する障害者のセミナーや、面接会には積極的に参加して、その知識や理解を深めながら、当社としても日々勉強であった。

また、障害のある社員に直接話を聞き、改善点であったり、必要な道具などを揃えていったりと会社としての受け入れ準備の改善を行ってきた。

作業の様子

3. 取り組みの効果

当社はパチンコ店の経営を行っており、従業員の平均年齢は一般企業に比べて低く、26.7歳である。各店舗の従業員が、障害のある社員と直接触れ合って、食事を共にし、色々な改善点を挙げている状況をみると、地域社会貢献活動を積極的にしている会社だということが従業員にも浸透し、また、地域社会にも浸透してきた。お客様が障害のある社員たちに一声かけてくれることもある。

その効果は、店舗全体に広がり、リングプルを集め車いすの寄贈を行ったり（2009年は8台の寄贈をした）、地域の清掃活動に参加したり、ボランティア活動を行ったりと、従業員の自主的な活動が行われるようになった。

その活動を通じて、さらに地域の皆様との一体感を直接感じられるようになり、更なる相乗効果を生み出した。お客様の中にも障害者の方が増え、日常のやりとりによって理解が深まり、益々愛される店舗へと変化している。

4. 今後の課題と展望

障害者の最低雇用人数は決まっているが、更に一店舗一名の雇用ができないかを探っている。業務内容の改善にも取り組み、季節ごとでの働きやすい時間帯の考慮や、チームを組んでの業務など、新しく効率のよい仕事がないかを探っている。

また、会社としても各役職者の理解を求めるために勉強会の実施や、従業員への啓蒙活動など幅広く社会貢献活動の実施を促したいと考えている。

障害者を雇用したことで、障害者や特別養護施設で製作している商品を、パチンコ店の景品として取り扱えないか等々の意見も出ている。

従業員個々が、自分が社会にできることをコツコツと積み重ねていくことで大きな行動につながるのだと考えている。