事業所名

社会福祉法人松寿苑

所在地

京都府綾部市

事業内容

特別養護老人ホーム

従業員数

204 名

うち障害者数

3 名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	1	医療事務
内部障害	1	レストラン部（調理）
知的障害	1	清掃
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果
5. 今後の課題・展望

事業所外観

1. 事業所の概要

綾部市が、昭和28年5月25日厚生大臣の認可を受け、名称を松寿苑として発足した。

発足から現在に至るまで、綾部市において高齢者福祉のみならず、地域福祉への貢献を目標に事業を展開している。現在では「地域」というキーワードのもと、介護保険法に基づく指定施設のすべてを運営し、多角的な事業展開を行い、地域住民の皆様のよりよい暮らしのサポートを目指している。

事業沿革

理念・運営方針

私達は、「人類愛善～ひとりひとりを大切に」を理念とし、事業を実施している。

これは福祉の共通の概念であるノーマライゼーションを表現した言葉であり、創立以来大切に引き継がれている理念である。また、地域住民の皆様の信頼を培い日々の実践を積み重ねるために、4つの視点により、スタッフ一人ひとりがふり返り、質向上につなげていきたい。

〈4つの視点〉

人材の視点・・・利用者によりそうケア、チームで考えあい支えあうケアができる人材育成

業務プロセスの視点・・・伝え、響きあう組織づくりによる安心、安全なサービスの提供

利用者の視点・・・よりよいサービスを積み重ねていく

財務の視点・・・財務基盤の安定

2. 障害者雇用の経緯と現況

社会福祉法人松寿苑では、多くの介護保険事業、社会福祉事業を展開するため、多くのスタッフが所属している。また、その役割も多岐に渡っている。直接的な介護業務以外にも事務、調理、環境整備などがある。そのすべての業務がよりよいサービスを展開するために欠くことができないものである。そういった業務に対し以前から定年退職したスタッフの再雇用などを実施してきた経過があった。障害者の雇用についてもノーマライゼーションの理念を掲げる社会福祉法人の使命として積極的にかかわっていく必要があると考えていた。

その流れの中で、養護学校の生徒のインターンシップ受け入れの機会を得た。実際に体験してもらい、社会参加をする場所として、そして就職先として社会福祉法人での仕事という選択肢もあるのではないかと考えるようになった。その時のインターンシップの生徒さんは今、私達の職場で環境整備の仕事を担っている。

3. 取り組みの内容

Aさん

養護学校を卒業し、当法人に勤務している。

配属は、特別養護老人ホーム第2松寿苑で介助員として主に環境整備の担当をしている。お部屋の掃除、トイレの掃除、洗濯物の取り入れ、そしてその配達、時にはお年寄りの話し相手として明るく元気に勤務してくれている。

インターンシップからの縁で勤務後3年が経過した。

掃除や洗濯は、製造業と違い成果が目に見えて表れにくいが、お年寄りからの「ありがとう」の言葉を励みに頑張っている。

清掃作業

Bさん

当法人で勤続10年と、経験も豊富で医療事務に携わっている。

自分の仕事だけでなく、自らの意見や体験を通し、他の職員の仕事の相談にのってくれている。また、入居者とのコミュニケーションをとることが得意で、お年寄りのよき話し相手となり、面倒見も良いことから、常に職場が和やかな雰囲気になっている。

事務作業

Cさん

レストラン部で調理を担当している。

当法人の親睦会、交流会、旅行等の行事の際は、料理を仕込みから盛付けまで担当。持ち前の腕を発揮して、入居者の「美味しい」の一言で職場全体が明るくなる。その一言が本人の自信となり、就労意欲の向上にもつながっている。

昼休み休憩の様子

4. 取り組みの効果

当法人の目的としては、本人の能力の限界もあるが、できるだけ長い間仕事を続けてほしいという強い思いがある。

福祉の仕事を目指す人は、誰でも「人の役に立ちたい」という思いを持って入所されるが、実際の福祉法人の仕事は表で見ていることと、かなりのギャップがある。

社会人として成長してもらうため指導すべき点はしっかり指導をするために、生活相談員が中心となり、指導、教育を行う。また、生活面も含めてトラブルの発生や課題が生じた時は職員全員で問題解決に当っている。この日常の業務の中で、生活相談員、あるいは指導者が毎日の業務を確認することにより本人の悩みや、出来ていないことの早期発見ができるよう連携を取っている。この事で人間関係も良くなり、しっかりとコミュニケーションが取れてきている。

障害者雇用に取り組む中で、当初は戸惑いもあったが、現在ではスタッフ間にお互いに対する気遣い、心配りの芽が生まれたように思う。休憩の際にテーブルを囲み談笑する様子。また、ベテランのスタッフが若いスタッフにアドバイスする様子をみると、さまざまな価値観、経験豊富な職員がそれぞれの個性を活かしながら仕事をすることがお年寄りへの介護の幅を広げているように思われる。そして、何よりノーマライゼーションを表わす「人類愛善」の理念を掲げる社会福祉法人として職場の中でもその理念を表現することの大切さを感じている。

5. 今後の課題・展望

今後の展望として、地域福祉の推進とともに「障害者雇用は企業の社会的使命である」の信念のもとに、今後も継続して障害者雇用に取り組んでいきたいと考えている。そのために、法人内の様々な業務内容について連携と整備、そして役割の明確化を図り、あらゆる人が自身の仕事の役割と責任を認識できること。また、それによって自身の仕事の成果を実感し、充実感を得る職場にしたいと考えている。

また、制度活用についても積極的に活用し、社会に制度の周知を図る役割も担う必要があると考えている。