事業所名

双葉メンテナンス工業株式会社

所在地

京都府京都市

事業内容

ビルメンテナンス業

従業員数

270名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2	病院内リネン類集配、清掃現場監督
内部障害	1	得意先開拓・社内研修講師
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 取り組みの内容、効果
4. 今後の課題・展望

事業所外観

1. 事業所の概要

弊社は、昭和34年設立、資本金1200万円、従業員270人、京都市に社屋を構え、ビルメンテナンス業を営む企業である。また、建築物衛生法に基づく、建築物環境衛生総合管理業と建築物飲料水貯水槽清掃業の登録業者でもある。

業容は、府下一円に50数社の固定得意先をもち、病院・学校・工場・会館・銀行・事務所ビル・官公庁等100件以上の建築物管理業務を請負っている。

業務は、建築物の清掃が60％、病院等の役務請負が30％、建築物の環境衛生管理等が10％である。そして、当社の従業員が専属で顧客のビルへ出向き、清掃や役務を行う日常作業が、売上高、従業員共に90％を占めており、不定期・断続業務や休日深夜業務、特殊業務等は、当社が元請となり専属の専門業者へ再委託している。

従業員の構成は、ビルメンテナンス業の常態とはいえ、中高齢者・女性が約85％で、全員が中途採用者である。よって、障害者の職務も、日々顧客のビルへ出向き、請負った清掃や役務が遂行できれば問題はなく、若干名ではあるが継続的に雇用している。

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）経緯

当社の事業は、有能な人材を発掘し、必要な技能を修得させ、継続して顧客のビルへ出向き、請負った業務を遂行して、契約代金を頂く「人材産業」ともいわれる。故に、有能な人材の確保が事業の生命線である。

顧客から請け負った所定の業務が遂行できれば、個々人の職務と職場に適性はあっても、障害者も障害のない人と何ら変わりはない。よって、過去における当社の障害者は、本人がリタイヤするまで、殆どが定年を過ぎて退職している。

障害者の雇用は、ハローワーク（公共職業安定所）からの紹介と勤続中に障害者の認定を受けた者で構成されている。

（2）現況

前述のとおり、既に障害があって入社してきた者も、勤続中に障害を持った者も、本人に働く意思があり、会社に働く職場がある限り継続して雇用している。

当社が請け負っている業務の大部分は、ビル内での仕事で比較的安全であり、且つ、ビルメンテナンスの基本である安全衛生教育と危険作業の禁止を徹底している。よって、労災事故で障害者の認定を受けた者は皆無である。

ビル内の清掃も病院内の役務も、かなりの身体能力が要求される。そんな中で職種の内容は軽重、難易と多岐にわたり、高齢者・障害者にも個々人別に、適応可能な職場があり、高齢者・障害者の継続した雇用に充てている。

3. 取り組みの内容、効果

（1）内容

①  内部障害者

勤続20年の幹部社員。当社の根幹業務である顧客管理と労務管理に長年携わってきが、数年前に障害者認定を受けた。定年齢にも達していたので、キャリアを生かし、新規請負先の顧客開拓と現場従業員の指導教育を主務として、勤続している。

顧客開拓では、府下一円の建築物の情報に詳しく、ビルメンテナンスの業務に精通しており、請負契約に至るまで手間隙のかかる本業務に適任である。

現場従業員の指導教育では、建築物衛生法の要件講習や安全衛生教育が当社の業務には必須である。社内講習が実施できる建築物環境衛生管理技術者、作業従事者研修指導者、衛生管理者等々の免許を取得しているので、社内講師に従事している。

スタッフ集合教育

②  肢体障害者

勤続10年の現業社員である。業務は、役務請負の一つである病院内でのリネン類(病衣・シーツ・タオル等)の集配。即ち、未使用リネン倉庫から、指示された数量のリネン類を各病室・診察室・治療室等へ届け、各室から出た使用済リネン類を集め、使用済倉庫へ収納する仕事である。

品種別に数量を検数して記帳・報告し、未使用品に過不足がなき様にする、在庫管理の能力が要求され、集配の時刻にも制約がある。一方、重量物の運搬、高所作業、終日の立ち仕事ではないので、肢体に多少の障害があっても職務を遂行できる。

また、職場のレイアウトや特性を理解すれば、難しい仕事ではなく、要領が会得できれば、殆どが単一な作業の繰り返しとなり、継続勤務に向いている職務である。

リネン・寝具管理

（2）効果

障害者の長年勤続は、障害のない人の雇用不安を払拭し、就労の励みと安心感をもたらしている。また、賃金その他にも大差がなく、本人の意思にて働けるまで就労できる施策は、高齢労働者の加齢による体力不安などにも効果があり、継続して勤務している姿は、多くの従業員に安心感を与えている。

4. 今後の課題・展望

（1）今後の課題

現在、当社の常用雇用数が201名を超え、207名まで増加している。平成22年7月1日から中小企業にも施行される雇用障害者の法定雇用率1．8％を超える障害者の雇用を早急に確保しなければならない。

（2）今後の展望

ハローワーク等の公的職業紹介所からの紹介にて面接・採用による新規雇用と共に、既に障害者認定を受けているが、障害者手帳を未提出の従業員にも、プライバシーに配慮しつつ啓蒙を進める予定である。

また、顧客に対して障害者が就労することへの理解を求め、適応職務の開発による職場の拡大に努力している。さらに、勤務中の従業員が障害者認定を受けた場合の勤続雇用にも、引続き考慮していく方針である。