事業所名

特定非営利活動法人大阪市コミュニティ協会

所在地

大阪府大阪市

事業内容

大阪市におけるコミュニティづくりのための事業企画実施支援等

従業員数

178名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2＊	事業運営全般補助、会館管理・受付
内部障害
知的障害	1	事業運営全般補助、会館管理・受付
精神障害	1	事業運営全般補助、会館管理・受付

＊1名は精神障害と重複

目次

1. 事業所の概要
2. 就職に至るまでの経過
3. 取り組みの内容
4. まとめ

1. 事業所の概要

大阪市内における地域福祉の増進、社会教育の推進、文化・芸術・スポーツの振興、環境の保全、地域の安全の確保、人権擁護の推進、男女共同参画の促進、子どもの健全育成、地域情報化の推進及び地域経済の活性化を図るため、これらにかかる調査研究、情報提供等の諸事業を実施することにより、地域のコミュニティづくりに携わる市民や諸団体の活動を支援するとともに、地域コミュニティ活動の充実・強化と、安心して暮らせる住みよいまちづくりの推進を図り、もって地域社会の利益・福祉の増進に寄与することを目的に以下の事業を実施している。

・ 各区コミュニティ協会事業支援

・ コミュニティづくりに関する情報提供事業

・ 全市的なコミュニティ活動・団体交流の促進事業

・ 地域の連帯強化に向けたわがまち意識の普及事業

・ 各区コミュニティ協会運営支援

大阪市には、財団法人コミュニティ協会（以下「区コミュニティ協会」という。）が、現在大阪市内24区に設立されている。区コミュニティ協会は、区民センター等の施設の管理運営や、区民まつりなどのコミュニティ事業を実施するなど、区におけるコミュニティづくり推進の中心的団体としての役割を担っている。

また、市コミュニティ協会では、各区コミュニティ協会に対する事業支援・運営支援を行うほか、ともにコミュニティ育成事業を行うことによって地域と市民活動団体との連携を図りつつ、コミュニティ協会のネットワーク事業を活用した市民活動の情報発信やコミュニティ事業を担うスタッフの育成など、大阪市域をカバーする市民協働の促進に取り組み、全市レベルの視野にたったコミュニティに関する調査研究事業を行っている。

2. 就職に至るまでの経過

Aさんは、てんかん発作と付き合いながら社会生活を送ってきたが、頻発する発作を軽減させるための手術を受けた。その結果てんかんの発作は軽減されたが、左上下肢に麻痺が残った。手術後2年ほど、左半身麻痺に対する体のリハビリを行った。

その後、職業上の自分の能力を確認するため、短期委託訓練のOAコースを受講した。訓練では、ワード、エクセルの操作を中心に学び、現在の自分の力を確認しながらOA技術を身につけていくことができた。訓練終了後、Aさんは「複数の障害があっても自分の力を社会で発揮していける」と再就職に対しての自信をつけた。そして、市コミュニティ協会での実習を通して得意・不得意分野を見極めつつ、自分自身に合う就労の仕方を模索していくことになった。

3. 取り組みの内容

Aさんは、まず市コミュニティ協会での10日間の実習を行った。実習を通して、Aさん自身はコミュニティ協会全体のことを把握していった。大阪市コミュニティ協会では、大阪市内にある各コミュニティ協会の中でAさんの実力が一番発揮できる区を選定していった。実習の後、市コミュニティ協会担当者が区コミュニティ協会との調整を図り、最終的に2つの区のコミュニティ協会で再び実習を行うこととなった。それぞれの区の実習には短期委託訓練のインターンシップコースを利用した。

実習の最初と最後には、市コミュニティ協会担当者、区コミュニティ協会責任者、Aさん、支援者の4者で話す機会を必ず作り、実習の初めに目標を決め、最後に振り返りを行った。その中でAさんの力が一番発揮できる業務について4者で考えていった。

結果、Aさんは体力面ではフルタイム勤務可能であり、コミュニケーション力が高く周りへの配慮ができる。区民センターや区民ホールの事務所の実習で1人になった場合でも臨機応変に対応する力がある。市コミュニティ協会としては、これらの仕事にその能力を発揮してもらえると考えた。Aさん自身もコミュニティ協会の「人と接する仕事」にやりがいがあると感じたことから、トライアル雇用へ移行することになった。

配慮事項として、Åさんがてんかんの基礎疾患を持っており、発作が起こった際には休憩をとる必要があることを周知させる。左半身麻痺のため細かい作業やスピードを求める作業に注意することなどがあった。実習で時間を共にすることによってAさんの障害の状況についての理解は深まり、受け入れに対しての大きな不安要素はなくなっていった。

以上を踏まえて、大阪市コミュニティ協会としては、Aさんのコミュニケーション力を最大に生かした形での就労形態を考え配置するに至った。

現在、Aさんは実習をした区のコミュニティ協会の一つで働いている。事務所の中だけでなく屋外のイベントなどの仕事もする中で、コミュニケーション力や柔らかい印象を与える人柄を最大限に発揮しながらフルタイムで勤務している。

障害に対する配慮を、配属先で共に働く区のコミュニティ協会職員だけでなく、市コミュニティ協会担当者も意識しつつ、Aさんの仕事の様子を見守っている。Aさんは安定して働くことができている。

4. まとめ

Aさんは、てんかんとともに左半身麻痺の障害を持ちながらも、非常に前向きで明るく、いろいろなことにチャレンジしていく姿が印象的な人である。

Aさんとは短期委託訓練のOAコースを受講された時に出会い、いろいろな話をしてきた。その中でAさんから「人と接する仕事をしていきたい」という言葉を何度も聞いた。訓練の中でもAさんはOA技術を身につけるだけでなく、周りとの協調を大切にし、良好な人間関係を作り上げていた。

大阪市コミュニティ協会との出会いは、Aさんのまさに働きたい分野との出会いだったと思える。大阪市コミュニティ協会ではAさんの障害を理解し、最適な仕事は何かを探すため、Aさんの負担を配慮しながら複数の場所での実習を行い、その中で話し合いを重ねた。そして、共に能力を最大限引き出せる仕事を探していくことができた。結果、Aさんは現在、念願であった「人と接する仕事」を通して生きがいを持って働いている。

Aさんの就労に対する取り組みの後、大阪市コミュニティ協会の担当者から、障害者の雇用や障害者の理解に関しての研修会開催の依頼を受けている。大阪市コミュニティ協会が大阪市内各区のコミュニティ事業を行う事業所として、地域の障害をもつ方への理解を深めている。そして、障害を持つ方と共に働くことへの意識を高めていこうとしている。その姿勢から、地域に、障害を持つ方への理解や障害者就労の機会を広げていく可能性を感じる。

また、コミュニティ協会の中で、Aさん自身が複数の障害を持ちながら明るく立派な戦力となり職場・社会へ貢献していること自体も、今後の障害者就労の可能性を広げてくれていると考えている。