2009年度作成

事業所名

社会福祉法人皆楽園

所在地

和歌山県岩出市

事業内容

高齢者福祉事業

従業員数

360名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2	ケアマネージャー、施設管理者
内部障害	1	介護職員
知的障害	5	介護職員、生活支援員、清掃
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯、背景
3. 取り組みの内容
4. 今後の課題と展望

1. 事業所の概要

社会福祉法人皆楽園は1981年に設立され、地域における社会福祉の推進を図るため、高齢者福祉分野を中心に事業を展開してきた。2004年に知的障害者更生施設「PURE皆楽」を開設し、障害者福祉分野でも事業を展開している。

事業の目的	特別養護老人ホームを始めとする高齢者福祉事業及び知的障害者更生施設を運営する。
業務内容	◇高齢者福祉事業 ・介護老人福祉施設（特別養護老人ホーム）・短期入所生活介護（ショートスティ）・通所介護（デイサービス）・訪問介護（ホームヘルプサービス）・居宅介護事業・訪問看護・認知症対応型共同生活介護（グループホーム）・小規模多機能型居宅介護 ・生活支援・介護予防等事業 ◇知的障害者更生施設
従業員数	360名

社会福祉法人皆楽園は、利用者の意向を尊重して、多様な福祉サービスを総合的に提供できるよう創意工夫しており、利用者が個人の尊厳を保持しつつ、地域社会において自立した生活を営むことができるように、支援することを目的としている。

運営方針として、人間性の尊重を基本理念に掲げ、誠実と愛情をもって利用者に接する「優しさ」を根底においたサービスの実践を、基本方針としている。民間社会福祉事業の特性である「先駆性」「開拓性」の理念のもと、在宅サービスの量的拡大、サービス内容の充実、先駆的福祉サービスへのチャレンジ等を重ね、地域社会の福祉の実現に貢献することを目指している。

2. 障害者雇用の経緯、背景

（1）障害者雇用までの経緯

介護事業にとって慢性的な人手不足が続いている。就労可能な業務が必ずあるとの想いから、約3年前に障害者雇用を積極的に推進することを決定した。

昨年4月、特別支援学校、和歌山産業技術専門学校の卒業生を3人採用した。これにより総員8名の障害者雇用が実現した。

（2）事業所としての姿勢

現在8名が、ケアマネージャー、施設管理者、介護職員、生活支援員、清掃業務に就業しているが、各人職務の遂行に向けて毎日元気に就労している。

介護職員の仕事は広範囲にわたり、その一部である生活能力補助業務（洗濯、ベットメイキング等）を担うことで、十分その職責を果たすことは可能であるとの実証がある。今後も障害者が出来うる職務範囲を熟考し、採用を継続していく考えである。

3. 取り組みの内容

（1）業務内容及び障害者の業務

○ケアマネージャー1名

ケアマネージャーとして、利用者の介護プランの作成や施設との連絡調整などのコーディネート業務。

○施設管理者1名

施設管理者として、施設内の諸設備の点検、保守等の業務に努めている。

○介護職員2名

直接、高齢者の方との看護業務を遂行する現場での仕事であるが、コミュニケーションを十分図るのが、当事業所の運営方針である。介護職員全員が、利用者に接する「優しさ」を根底においたサービスの実践を心掛け、毎日の職務を全うしている。

○生活支援員1名

知的障害者更生施設において、入所者の方の生活支援業務を行っている。本人自身も軽い知的障害者であるが、本人の頑張りで介護福祉士の国家資格を見事合格し、現在、同施設の生活指導員として勤務している。

○清掃業務3名

当事業所内の各施設の清掃作業を主な仕事としている。外部委託（アウトソーシング）することも考えられたが、障害者が十分にその仕事ができるのであれば、積極的に障害者雇用の業務分野を広げていきたい。

（2）就業以外のフォロー

当事業所の施設は、もともと高齢者福祉事業の施設であり、バリアーフリー等の配慮は行き届いており、身体障害者の働く場としての不便、不自由さはない。

また、知的障害者については、定期的に業務内容（①仕事量、②勤務時間帯、③仕事の範囲等）の再確認の面談を実施。また、業務以外についても個々に意思の疎通を図り、仕事中でも声をかけ、毎日の健康状態にも気を配っている。

(3)障害者の処遇

当事業所では、約3年前から障害者雇用について、積極的な雇用体制を講じてきた。その為には、障害者が働ける「場」をいかに提供することが出来るか、その基本的なところにおいて、業務の役割分担をいかに構築することができるかが大きなポイントである。

障害者ができる業務を開拓し、障害者がその仕事を通じて、社会参加することが、障害者自身の「自立」につながり、仕事に応じた適切な評価＝人事考課を行なっている。

また、働いている現実が社会の担い手として認識され、充実した「働きがい」に繋がり、併せて定期的に「個人面談」等を設けて、日々の業務活動の支援を障害のない人と同様に行うことが、障害者雇用のより良い処遇と考えている。

4. 今後の課題と展望

障害者雇用については、まず、職場環境を整備することが大切であり、その整備状況を日々、改善を重ねることが重要である。また今以上に、障害者雇用体制を推進させるには、同じ職場で働く周りの従業員の障害者雇用に対する意識変革を推し進めることが重要である。

当事業所では、高齢者福祉事業と、知的障害者更生施設を運営する事業体として、利用者が個人の尊厳を保持しつつ、地域社会において「自立した生活を営むことが出来るよう支援する」という、運営目的を掲げているが、障害者雇用体制についても同じことが言える。障害者には自ら就労することで、「自立する」機会をもってもらい、その機会創出を講じることが、社会的使命を課せられた企業責務のひとつであると考える。今後とも、障害者の視点に立った業務プログラムの開発を行うことが、これからの当事業所の「課題」であり、また目指すべき「展望」である。

前ページへ