職場仲間の温かい「理解」と「協力」体制により、
障害者の持てる能力を最大限に発揮させている
- 事業所名
- 住金スチール株式会社
- 所在地
- 和歌山県和歌山市
- 事業内容
- H形鋼製造
- 従業員数
- 192名
- うち障害者数
- 4名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 3 製造、スクラップ検収 内部障害 1 事務 知的障害 精神障害 - 目次

1. 事業所の概要
設立年月日 | 平成3年7月31日 |
事業の目的 | H形鋼および鋼矢板の製造・販売 |
資本金 | 30億円 |
株主構成 | 住友金属工業(株)100% |
従業員数 | 362名(本社192名・鹿島170名) |
≪沿革≫
S63・10 | 和歌山共英製鋼株式会社として和歌山市に設立 |
H02・04 | 共英製鋼株式会社と合併、和歌山事業所となり操業開始 |
H03・07 | 共英製鋼株式会社から分離独立し、キョウエイ製鐵株式会社を設立し営業開始 |
H13・07 | 社名を「住金スチール株式会社」に変更、現在に至る |
住金スチール株式会社本社(和歌山)事業所は、最新鋭の設備を備えたH形鋼専門工場として1988(昭和63年)に誕生した。
製鋼部門では世界で2番目に導入した大型直流式電気炉、鋳造方式にツインキャスティングシステムを採用し効率的で高品質化を図っている。
圧延部門では世界初の3基連続圧延を可能とする中間・仕上げ連続ミルを開発し、コンピューターによる集中管理により生産合理化、効率化が実現され、働きやすい環境下にある。
また、当社では、地球にやさしい鉄資源リサイクルシステムを採用しており、家庭や産業の場で廃棄物となった鉄屑(スクラップ)を回収、処理し、新しいH形鋼に再生し社会へ送り出している。

圧延工場

全景朝のラジオ体操風景
朝のラジオ体操で一日の業務が始まる 毎日の体調管理・維持には欠かせない
2. 障害者雇用の経緯、背景
(1)障害者雇用までの経緯
平成3年7月31日に会社を設立した当時、すでに障害者は数名働いていた。その後、定年退職等により1名まで減少したが、平成15年度までに、障害者が安心・安全に働くことができるよう、職場環境を更に整備し、平成16年度から積極的に障害者雇用対策に取組んだ。
その結果、平成16年度~17年度の間に新たに3名の障害者を採用し、現在4名が元気に働いており、それぞれ担当セクションで、重要な役割を果している。
製造部門(工場交替勤務)に1名、スクラップ検収部門に2名、また、事務部門(購買チーム)に1名の計4名が、それぞれの職場で活躍している。
(2)事業所としての姿勢
障害者雇用として、現在4名が本社(和歌山)事業所で勤務しているが、全員が明るく前向きに仕事に取り組んでいる姿勢が強く感じられる。
その明るく且つ、活発な職場風土を醸し出しているのが、個々の職場のチームワークと、個々人の面倒見の良さで、それが事業所全体の明るい・闊達な職場環境を作り出し、事業所全体の組織力を高めている。
職場の受入れ態勢としては、各々の症状に十分配慮し、また、本人の仕事に対する希望も取り入れており、各々がその職責の重要性を認識し、その力を遺憾なく発揮できる気配りが、職場全体のサポート体制として自然体の中で、作り出されている。
この体制が、事業所全体の連帯感に生かされ、日々の職場環境の向上・職場活性化に大きく寄与している。
3. 取り組みの内容
(1)業務内容及び障害者の業務
○事務部門では、1名が事務業務の中で購買チームに属し、小さな物は筆記・文房具から大きな物は機械・設備に関するものまで、広範囲にわたる物品を扱っている。現在、日々の購買業務の中心的な役割を任されており、直属上司のチーム長の信任も厚い。

業務部購買チーム執務風景
○製造部門では圧延部門に1名が配属されており、素材を圧延に適した温度まで加熱していく、加熱炉の運転操作を担当している。難しさを要求される業務であるが、自分が製造に携ったH形鋼が、いろいろな所で使用され、社会に大きく役立ち、貢献していることを察し、大きな仕事をしているという充実感を感じながら仕事に取り組んでいる。

加熱炉運転室
H形鋼に圧延するのに適した温度まで、素材を加熱していく工程を、運転室にてモニター画面を見ながら運転操作をする。経験と一瞬の判断が求められる重要な仕事である
○スクラップ検収部門では、2名が配属されている。当事業所では、産業廃棄物となったスクラップが原材料となるが、鉄資源リサイクルシステムを採用し、資源再利用に大きく貢献している。そのために欠かせないのが、スクラップ検収部門の役割である。
トラックから屋内検収場に搬入されたスクラップを、高い位置に設置されたブース内から、目視で品質評価し、スクラップの等級を決定していく、非常に熟練と集中力が要求される業務である。その重要な職責に充実感を感じ、日々の職務に精励している。

屋外スクラップヤード
厳しい査定を受けたスクラップが、
家庭や産業で廃棄物になった鉄屑から新たにH形鋼等に生まれ変わる

スクラップ屋内搬入
原材料であるスクラップを満載したトラックが、
品質評価を受けるため屋内検収場に入り、検収される
(2)就業以外のフォロー
当事業所は、現在、4名の障害者が、各部門に配属されているが、いずれも、勤務年数が数年を経過し、日々十分にその職責を果たしている。その障害者の潜在能力を大きく引き出す背景として、常に、働きやすい職場環境づくりと、障害者雇用に対し、職場の仲間たちの温かい理解と協力が大きい。
また、充実したオフとして、当事業所では、毎年ボウリング大会やソフトボール大会を実施し、障害者も積極的に参加している。これらが、職場での一体感を醸し出し、毎日の就業をより連帯感をもってすすめて行く「源」になっている。
(3)障害者の処遇
当事業所では、基本的に処遇面(賃金・労働時間等)において、障害のない人と区別せず、全く同じ処遇としているが、各職場における労働条件・職場環境については、きめ細かい配慮が実施されており、健康・体力面において、無理のない就労管理体制が整備されている。結果、障害者が安心して職務に専念でき、当事業所の大きな戦力要員になっている。
当事業所に入社し、従業員として充実・安定した社会人生活を送る中、マイホーム購入等、生活基盤も着実に安定させ、各自がこれからの仕事に対する自信と、会社への感謝を深めている。
4. 今後の課題と展望
当事業所は、平成16年頃から、障害者雇用について積極的な推進を開始してきた。企業の社会的使命の重要性がさらに大きくクローズアップされる今、世界的規模の製鉄所を有する住友金属工業株式会社のグループの一員として、建材部門の一翼を担っている当社として、その企業の社会的使命を果たすべく、障害者雇用の推進に積極的に取り組んできた。
また、最新鋭の設備と洗練された技術をもって、受注から出荷までを総合的コンピューター管理で迅速、適切に対応できる体制をしいており、障害者でも、「安全な」労働職場環境の下で、「安心して」業務に従事できるインフラが整っている。
今後、ますます、「地球環境」・「CO2削減」等、企業に求められるものが大きくなってきている21世紀の企業活動の基本原則を認識し、企業としての社会性、市民性をもった社会福祉貢献を目指す。その一環として、障害者雇用を位置づけていきたい。
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