2009年度作成

事業所名

国立大学法人香川大学

所在地

香川県高松市

事業内容

6学部、8研究科（2専門職大学院含む）を擁する総合大学

従業員数

1,776名

うち障害者数

24名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	1	清掃業務、環境整備
肢体不自由	13	教育研究、事務補佐、農業業務、環境整備
内部障害	10	教育研究、看護業務、一般事務、事務補佐
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯、背景
3. 取り組みの内容
4. 取り組みの効果、障害者雇用のメリット

ホームページアドレス

http://www.kagawa-u.ac.jp/

1. 事業所の概要

（1）事業の特徴

香川大学は地域の中心的高等教育機関である。

（2）経営方針

香川大学は、学術の中心として深く真理を探求し、その成果を社会に還元するとともに、環瀬戸内圏の中枢都市に位置することを踏まえ、学術文化の発展に寄与することを使命とする。多様な学術分野を包括する「地域の知の拠点」としての存在を自覚し、個性と競争力を持つ「地域に根ざした学生中心の大学」をめざしている。また、世界水準の教育研究活動により創造的で人間性豊かな専門職業人・研究者を育成し、地域社会をリードするとともに共生社会の実現に向けて活動することを決意し、大学が拠って立つべき理念と目標を香川大学憲章として制定している。（詳細はホームページ参照）

（3）組織構成

旧香川大学は昭和24年5月に香川師範学校・香川青年師範学校を母体とした学芸学部（後の教育学部）及び高松経済専門学校を母体とした経済学部の2学部で発足した。その後農学部、法学部、工学部が設置された。一方、香川医科大学は「1県1医大」構想の下、昭和53年10月に木田郡に設置された。平成15年に両大学が統合し、大学院も充実した総合大学としての新しい香川大学が開学した。そして平成16年4月に法人化により国立大学法人香川大学として新たなスタートをした。現在、教育学部、法学部、経済学部、医学部、工学部、農学部の6学部と学部を基礎とする6研究科、地域マネジメント研究科、香川大学・愛媛大学連合法務研究科の8研究科を中核として構成されている。平成21年5月1日現在の役職員数は1,776名、学生の現員は6,530名となっている。

（4）障害者雇用の理念等

教育学部附属特別支援学校も運営しており、また国立大学という公的な機関でもあることから、開学以来、障害者雇用に積極的に取り組んできた。併せて、施設のバリアフリー化促進についても、積極的に取り組んでいる。

2. 障害者雇用の経緯、背景

（1）経緯と背景

開学以来、障害者雇用は積極的に取り組んできた課題であり、具体的には平成16年4月の国立大学法人化により明文化された中期計画の中に、障害者雇用と建物・施設のバリアフリー化の更なる推進が盛り込まれた。特に18年からは役員会等でも推進のための議論が活発化し、また文部科学省など関係機関からも障害者雇用推進の指導等があり、それ以降、法定雇用率は継続的に達成している。さらに教育学部附属特別支援学校も運営していることから知的障害者・精神障害者の雇用にも力を入れようとしている。

（2）バリアフリー化推進について

バリアフリー化促進は開学以来独自に取り組んでいる課題だが、平成18年12月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律（バリアフリー新法）」が制定され、これを受けて、さらに一層のバリアフリー化を促進した。障害のある学生・児童生徒、教職員及び大学利用者等が、安全・安心かつ円滑に施設を利用でき、また、地域の防災拠点としての役割を果たすことを目的とし、「香川大学バリアフリー整備計画2008」を策定し、具体的には、現に車いすで勤務している職員が、障害者の目線で現場をチェックし、計画を立てるなどの取り組みを行っている。また、整備の進行状況については毎年バリアフリーマップを改訂作成し、ホームページで公開するなど学内外への発言も行っている。

3. 取り組みの内容

（1）採用について

現在はハローワーク（公共職業安定所）のチャンネルで定期的に採用している。

(2) 障害者の従事業務、配置場所

・障害者雇用の大学全体の方針は役員会で決定され、決定に従い各部局では受け入れを検討している。現状では24名全員が身体障害者であり、業務内容は教育研究、看護業務、一般事務、清掃業務、農場業務と多様な業務におよんでいる。

・配置場所については個々の障害の状態、程度、事情、本人の希望等に応じて対応し、マッチングは丁寧に実施している。

・障害のある人もない人も給与は同じであるが、非常勤職員としての採用が多く、雇用期間は最長でも5年間であるため、継続雇用の点が新たな課題となっている。

（3）作業環境について

作業環境は整備されており、パソコン環境も整っている。適材適所でマッチングさせていることから障害のない人と同じ教育訓練を実施している。具体的な業務については配置された部署の上司がOJTで指導している。

（4）バリアフリー化について

多数の学生を受け入れている大学の各建物や施設はバリアフリー化が進展しているが、肢体が不自由な職員については、エレベーターやトイレが完備した部署での勤務とし、車での通勤者には隣接した専用駐車場を用意する等個々の状況に配慮して対応している。

（5）職場内での人間関係について

現在は身体障害者のみであり、障害のない人・ある人という意識は職場になく、障害のない人との仕事面でのコラボレーションは十分できている。また各部局でのコミュニケーションはレクリエーション行事等への参加でなごやかな職場作りがなされている。

さらに、保健管理センターの医師やカウンセラーが学生の支援をする他、職員に対しても、うつ病等に対するカウンセリングを実施している。また、各学部で最低1名の障害者職業生活相談員の配置を原則としており、人事異動等により欠員となった場合には、養成研修受講を計画している。

（6）健康面への配慮

障害者についても、障害のない人と同様に定期的に年1回健康診断を受診させている。障害者個々人の体調については上司や職業生活相談員が十分注意を払っている。特に心臓障害者や腎臓障害者で透析を必要とする者については、かかりつけの医者との連絡を密にし、勤務時間帯の調整等をするよう配慮している。

4. 取り組みの効果、障害者雇用のメリット

（1）バリアフリー化推進に寄与

建物や施設のバリアフリー化は継続的に推進しているが、現に勤務している障害者の目線で見た意見を尊重したバリアフリー化（エレベーター改修、多目的トイレ、階段改修、スロープ、案内板、車いす使用者駐車場、点字誘導ブロック等）を推進しており、効率的なバリアフリー化に寄与している。

（2）障害のある人・ない人の相互理解が深まる

障害者の勤務内容は教育研究、看護業務、一般事務、清掃業務、農場業務と多様な業務に従事していることから、各部門での相互理解が深まり、障害のない人と区別なく業務が遂行されている。むしろ障害者の方が真剣に業務に取り組む姿も見られ、障害のない人への刺激にもなっている。

（3）作業施設の充実

個々の事情に配慮した作業環境が検討されていることから、パソコン環境等一般事務や事務補佐業務への機器類は整備され充実している。

（4）働き甲斐を感じる職場

作業環境や作業施設が充実しており、職場内でのコミュニケーションも良いことから障害者自身の声でも、働き甲斐を感じている職場であることが伝わってくる。

前ページへ