事業所名

株式会社タシロ

所在地

佐賀県佐賀市

事業内容

総合建設業、専門工事業、環境事業

従業員数

40名

うち障害者数

4名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	3	型枠整理作業・リサイクル作業補助
精神障害	1	型枠整理作業・リサイクル作業補助

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組み内容
3. 取り組みの効果
4. 今後の課題と展望

事業所外観（大和営業所工場）

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

昭和42年9月、有限会社田代工務店を株式会社田代工務店に組織替えを行い、総合建設業として業務を行う。その後、産業廃棄物運搬業や産業廃棄物処分業等の分野にも事業拡大し、佐賀県のリサイクル商品の認定第1号となる。総合建設業・専門工事業・環境事業の作業場として、平成元年に大和営業所を開設、平成13年5月、社名を株式会社タシロと変更し現在に至る。

障害者の雇用は、10年ほど前に県の知的障害者施設から雇用要請があり、まず、実習生として受け入れたところ、実習態度が真面目で良好であったため雇用した。大和営業所の作業場は、機材の整理や運搬等単純作業の工程も多く、障害者が働ける雇用環境が整っていたため、特別支援学校の生徒を受け入れるなど、その後順次採用を行い、現在、4名の障害者を雇用するに至っている。

2. 取り組み内容

（1）募集・採用

募集は、一般公募等は行っておらず、障害者施設や、特別支援学校からの雇用要請があった場合に、まず実習生として受け入れ、雇用が可能であれば採用するという方式を取っている。現在は、経済状況が悪化してきており、仕事量も減少してきているので新たな採用は難しい状況にある。

（2）障害者の業務・職場配置

株式会社タシロは、総合建設事業や型枠、鉄筋、クレーン等の専門工事業、古タイヤ等産業廃棄物リサイクルの環境事業等の事業を行っている。障害者はその中で、最初は、比較的簡単な作業である材料の整理整頓や運搬等の作業に従事していたが、その後、使用した型枠のくぎ抜きやセメントはがし、機械を使用しての側面油塗り、ベニヤ板の切断や整理、建設用足場の整理や機材の調整等、作業範囲も徐々に拡大してきている。障害者が作業を行う場合、職員が近くにいて関連した作業を行うので、作業の進み具合を見ながら作業の段取りや次の作業の指示等を行っている。

パイプサポートの整理作業

型枠材の釘抜き作業

3. 取り組みの効果

基本的には、単純作業が中心だが、同じ作業ばかりだと飽きてしまい、注意力も低下してくるので、例えば、型枠の作業では、釘抜き作業・セメントはがし・機械を操作しての側面油塗りというように3つぐらいの作業を組み合わせて、作業の進み具合を見ながら、次の仕事の指示をすると作業効率も上がり、集中して作業を行うことができている。

また、ゴムチップやゴム粉を使用したリサイクルのゴム製品を製造する作業にも従事させるが、この作業は、機械操作で流れ作業的に製品が仕上がって行くので、注意力が必要な部署となっている。ここでの作業は、一定時間内に仕上げなくてはならないために、集中力が必要になるので、この仕事になると少し緊張しながらも、重要な仕事をしているという意識を持って真剣に取り組んでいる。

共通して言えることは、仕事に対する取り組み姿勢が真面目であり、言ったことはきちんと最後まで頑張ってくれる。障害のない人のパート雇用も行っていた時もあるが、障害者の場合、欠勤が無く、コツコツと取り組むためパート従業者よりも作業量の見込みが立ち、現在では、従業員として欠かせない存在になっている。しかし、作業の進み具合や周囲の状況を判断して作業を行うことは十分ではないため、状況を確認しながら次の作業の指示を行うことは必要であり、できたことに関してはきちんとほめると笑顔も見せ、また頑張って仕事に取り組むことができている。

4. 今後の課題と展望

現在雇用している障害者は、全員自宅から自転車通勤をしている。保護者が時々心配して仕事振り等を見に来たりすることもあるが、そのときは就労状況を説明すると安心されている。雇用した頃は対応の仕方や、作業能力等の見極めができず、苦労もあったが、最近では大体仕事に慣れ、こなせるようになってきたので、十分職場の戦力になってきている。

ただ、現在でも他の従業員との交流やコミュニケーションは十分とはいえない状況にある。このため、昼休みにはキャッチボールをしたり、話しかけたりして、他の従業員との交流を図っている。また、休憩時に次の作業の内容を説明したり、1日の仕事が終わった時に、明日の仕事の内容を説明しておくと自分の仕事が理解でき、意欲を持って自分で作業の下準備をしたり、翌日の作業にスムーズに取り組んだりすることができるようになってきている。

今後の障害者の雇用の見通しについては、最近の経済状況の悪化で仕事量が少ないので新たに採用することは難しい状況にある。経済状況が好転し、事業量が増加してきたら、障害者の雇用も進めていく予定である。

総合建設業やその関連事業を行うと同時に、環境事業として産業廃棄物の再利用としてのリサイクル商品の研究開発や製造販売にも力を入れており、古タイヤやゴムパッキンの廃材を利用して、車両止めやゴムブロック製品等で独自開発した製品の販売も行っている。このようなリサイクル事業は、現在注目されている分野であり、今後の発展が期待されるところであるが、その中で働く障害者の雇用も今後の会社の発展とともに増加して行くことが期待される。