2009年度作成

事業所名

株式会社クローバー食品

所在地

大分県豊後高田市

事業内容

食料品製造業

従業員数

279名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	3	箱詰め・出荷、加工下処理
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者を雇用するようになったきっかけ
3. 雇用後に生じた問題点とその解決
4. 定着・安定の要因
5. 今後の課題、展望

1. 事業所の概要

（1）障害者の主たる作業工程

●A男：箱詰め・出荷（下記工程の数字の分のみA男が担当する）

①箱の組立（平らの段ボールを箱形に組立て、底面にテープを貼る）→②空箱を10個単位に積み上げる→〈箱に商品を詰める〉→〈機械に通して上面をテープで塞ぐ〉→③パレットに品物別に積む→④商品数を確認する（これを誤ると大変。積み上げたときに読めるように、商品名や数や加工状況を明記した証書ラベルを、各箱に同一方向・同一位置に貼り付ける）

●B男／C男：加工下処理（ただし、C男は埼玉営業所所属）

○大水槽に浮いている、下処理された筍・里芋・にんじん等の材料をコンテナですくって台車に乗せる。

○台車を押して商品名別の保管水槽各所に運び、コンテナから材料を移しかえる

○コンテナに入った材料をベルト機械のステップに載せ、ボタン操作で2階に材料を送る

○下処理された何種類（筍・里芋・にんじん等）かの材料が浮いた大水槽の中にコンテナをつっこみ、配合比率が同一になるようにかき回しながらすくい取り、上の工程につなげる

○床面にデッキブラシをかけたり、水道水を噴射したりして清掃をする。

等々の仕事を、次々と自分の判断で処理する

（2）関連業種

①事業所マップ

◎  本社  ○  第二工場  ○  第三工場  ○  大分営業所  ○  福岡営業所

○  埼玉営業所  ○  関西営業所  ○  北大配送センター

②関連会社

◎農業生産法人ジャパンクローバー：今の消費者は、農作物の原材料に対するトレースが厳しいので、それに耐える加工原料の供給を目的に設立。

筍畑：30町歩（契約農家を入れると100町歩）

里芋畑：4町歩（契約農家を入れると40町歩）その他大根・にんじん畑

A男、B男ともシーズンになるとジャパンクローバーの畑でも働く。彼らにとって、山で働くことはリフレッシュ効果になっている

2. 障害者を雇用するようになったきっかけ

財務部部長和田正道氏に雇用のきっかけをお尋ねした。

「以前から雇用率1．8％についてもよく知っていたし、各種講習会で障害者や高齢者の雇用について啓発されていたので、関心は高かった。折しも、十数年前から、宇佐養護学校から実習生として受け入れをお願いされ、殊にこの数年は熱心な要望があり、積極的に対応している」とのことである。「最近、学校に席をおいたまま実習を受けて万一の事故に対しても、保険等の対応ができていることが分かり、より積極的に実習を受け入れるようになった。そのまま採用のケースが一つ」。もう一つは「公共職業安定所（ハローワーク）等労働関係の機関からの依頼です。トライアル雇用から始めてうまくいった」「実習を依頼されて知的障害者が働く能力の高いことに確信が持てるようになった。これからも可能な限り積極的に雇用していきたい」とのことである。

3. 雇用後に生じた問題点とその解決

比較的トラブルがなく、スムーズに推移しているが、過去に2点大きな問題が起きた。

（1）誤解から職場の管理改善へ

食品を扱う会社であるから、衛生面では最新の注意を払わなければならない。

ある時、異物挿入（袋詰めした後のチェックで、異物が混入していることが発覚）ということがあり、誰がいつと言うことになった時、一番最初に知的障害のある社員が疑われたことがあった。結局は迷宮入りで特定できず、上司が取りなしてその場は収まったのだが、こうした偏見や差別は会社にとっては好ましいことではない。

このようなことが二度と起こらぬよう対処するために、今では、誰が、どの時間に、どこで、どんな仕事をしていたかをチェックできるシステムを導入した。

障害者雇用が発端となって、職場管理の改善に役立った。

（2）応用力の不足を機動力でカバー

当社では、1日2万食（袋）を生産する。ラインのバリエーションが複雑で、大工場のようなワンパターンの繰り返しでは商売にならない。一日に最低でも5～6工程の種類や形や、重量の違う袋詰めが間断なく行われる。同じ事の繰り返しであれば、知的障害者は比較的順調に遂行するが、応用力が必要になり複雑な作業になると手が止まる。

いろいろな試行錯誤の結果、知的障害者の近くにベテランのパートナーを配置し、手が止まったときは、丁寧に・根気よく指導をしていくシステムを導入した。すぐに順応し、今では単純作業部門で、彼にかなう者はいない。

4. 定着・安定の要因

本社工場の場合でいえば、規模が小さいことが幸いしているのではないか。一人ひとりの気持ちが伝わり合い、肩が触れ合う関係が職場全体にある。

知的障害を持つA男B男にとって、会社という存在が仕事の場であるだけでなく、生活の場でもある。会社全体がこのような意識で彼らを支えていると思われる。

今日では少なくなってきている新年会や慰安旅行なども行っており、彼らとのコミュニケーションをとる貴重なチャンスになっている。

知的障害者団体（手をつなぐ親の会等）の主催する催し物への参加を奨励するなどの配慮もしている。

最低賃金の除外申請をせず、昇給やキャリアアップにも努めている。

仕事の無理強いをしないこと、特別扱いをしないことが大切である。残業があるときは「早くお帰りなさい」ではなく、一緒に誘ってあげるなどして、障害者という意識を周囲が払拭することが大切である。ちょっとしたトラブルは、皆と違うという意識で接したときに起こっている。

5. 今後の課題、展望

・今後とも積極的に障害者雇用に努めたい。特に精神障害者の雇用に尽力したい。

・通勤がネックになって雇用できない場合がある。この解決を図りたい。

・賃金アップなどで彼らの努力に報いたい。

・重量のある物品を扱うため、腰回り等健康安全への配慮を考えたい。

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