事業所名

有限会社真京精機

所在地

栃木県真岡市

事業内容

精密部品加工、カーエアコン、ビル用エアコン等熱交換部品の製造・加工

従業員数

39名

うち障害者数

17名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	3	検査、マシンオペレーター
内部障害
知的障害	4	搬入出作業、検査
精神障害	10	マシンオペレーター

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組み内容と効果
3. 今後の展望と課題

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

昭和48年8月創業、昭和53年には県知事から、昭和54年には労働大臣より、心身障害者多数雇用事業所として表彰を受ける。昭和54年には、第一種重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金をうけ、障害者専門の福祉工場を建設し、働く意欲のある障害者の雇用拡大に努め、安全に明るく希望をもって働ける工場として、共存共栄を目指した事業をしている。

心身障害者多数雇用事業所の碑

常時、障害者の企業見学、体験実習などに門戸を広く開き、その体験者からは、将来働きたい企業として常に意識されている。一方では、見学者への説明会や体験実習などを通して、働く意欲の高い障害者を多数見出す機会に恵まれる。このような取り組みを地道に続けてきた中で、幾多の遠回りはあったが、この春Aさんを相思相愛状態で採用することとなった。

2. 取り組み内容と効果

（1）取り組みの内容

精神障害（統合失調症）であるAさんは、発症後一時社会生活力を失い、近隣の作業所で就労支援事業利用を始める。以前よりこの作業所とは実習受入、下請委託などの関係性を構築していた。Aさんもここでの実習を足がかりに幾つか実習体験を積み就職への意欲を高めていった。新規雇用が必要となったある時、支援員を通じてAさんの思いを確認したところ、就職の意思を示され雇用となった。支援員と連携して、障害者に適した作業や勤務条件を設定し、本人の意欲の高まりを待ちその意思を尊重する。もちろん仕事に求めるものは障害のない従業員と変わらないレベルである。しかし、少しの工夫があればみんなきちんと仕事は出来る。広義のジョブマッチング実践である。

装置作業風景1

各人別作業手順所

装置作業風景2

（2）取り組みの効果

作業能力は一定の評価を得ていたが、精神面から来る体調不良による欠勤が懸念され、実習ではなく従業員として勤務するなかで出勤が安定するかどうかがひとつの課題であったため、Aさんはトライアル雇用からスタートしてもらった。トライアル雇用終了間際、このまま不採用になるのではと極度の不安を支援員に訴えることもあったが、正式雇用となった現在では精神的にも安定し、体調不良による欠勤も無い。今では居なくなられては会社が困る戦力となっている。

3. 今後の展望と課題

障害者雇用は企業の社会的責務だと思っている。CSRが叫ばれるずっと以前からである。企業は商品・製品を生産する中で過酷な労働を強いている。同時に精神障害者や身体障害者も生み出している。ならば、彼ら障害者を社会復帰させ自立させることは当然企業の責務である。この事例掲載によって、数多の企業が発想転換されることを願って、今後も障害者雇用はあたりまえ(障害のある・ないの区別すらおかしい)の精神で邁進したい。

しかし今、円高や最低賃金底上げなど、障害者雇用にとって不利な条件が周囲には溢れているのも事実。社会保障・社会福祉の在り方などにも敏感でなければならない。