2010年度作成

事業所名

株式会社やすらぎ

所在地

群馬県桐生市

事業内容

中古不動産販売

従業員数

560名

うち障害者数

14名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	2	販売、清掃、資料作成、接客、役所手続き
肢体不自由	9	販売、清掃、資料作成・整理、接客、データ入力、電話応対、役所手続き
内部障害	1	販売、接客、従業員管理
知的障害	2	データ入力、資料整理、判子押し、配達便仕分け、清掃
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯、背景
3. 障害者の従事業務、職場配置
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの工夫・効果

1. 事業所の概要

当社は中古住宅の再生事業の先駆者として、居住している賃貸住宅の月額家賃よりもローン支払が安くなるリフォーム中古住宅を提供し続けている。地域社会への生活支援企業として直接的な営業推進を図ってきたが、この数年間、地域生活者の雇用促進という社会的側面の企業活動の必要性を強く意識したところである。営業部門と同じように雇用における社会的責任をも企業理念の中に落とし込み、障害者雇用及び、70歳まで働ける雇用体系などの実施により、雇用支援企業として地域社会への貢献に努めている。

2. 障害者雇用の経緯、背景

最近まで法定の障害者雇用数を達成することはできなかった。障害者雇用に全く消極的だったわけではないが、雇用を進める周辺問題に気付くことが遅れていた。この検討を先送りしてきたことが雇用促進への距離を長いものにしてきた。

障害者の求人を出したものの応募がなく、あるいは見合う人がいなかったことも一因としてあった。

＜平成20年5月時点での障害者数2名  （営業職1名  事務職1名）＞

（1）経緯

平成20年12月末がハローワーク（公共職業安定所）より要請された障害者雇用率達成の最終年度の期限であったが、無事に法定雇用率を達成することができた。

その経緯は平成20年6月に、ハローワークと関係団体の励ましをもらい、直ちに担当部長が独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構（当時）を訪問して担当者や障害者雇用アドバイザーから障害者雇用のノウハウについての説明を受けるなどする。このときから急速に雇用促進活動が活発化する。

社内では、どうすれば応募してくれるか、どうやれば障害者の職域を広げることができるか等の協議を重ねた。そのなかで賃貸物件の清掃が考えられるとした意見が出てきた。清掃業務が現実化へと向かう。

（2）活動の開始

雇用促進のはじめとして、本社と本社近隣の店舗が障害者雇用の理解と習熟の観点から知的・精神・身体を問わずに求人募集を開始する。ハローワーク、障害者職業センター等の支援があり、また養護学校生との職場実習を開始して着実に雇用が進む。

（3）全国の営業店舗

全国の店舗数を活かし、営業職について営業店舗全店に通常の求人内容と同じ労働条件で障害者の募集を行う。仕事内容が障害のない人と同じならば賃金などの処遇も同一に取り扱い、ステレオタイプ視を行なわず、社会正義を貫く。大阪を除く全国の都道府県に営業店舗があることから、全国一斉に求人募集を行ったところ、営業店舗での障害者雇用を促進することができた。その結果2人だった障害者が2年程度で14人になる。

3. 障害者の従事業務、職場配置

平成22年6月1日現在、障害者は14名。

職務	清掃3名	身体障害者（上下肢各1名）・知的障害者（1名）
	事務5名	身体障害者（上肢1名、下肢1名、体幹機能1名、聴覚1名） 知的障害者（1名）
	営業及びその補助6名	身体障害者 （上肢1名、下肢3名、聴覚1名、心臓機能1名）

仕事の内容

清掃	賃貸物件清掃、事務所清掃、ごみ捨て、スタンプ押しの雑務
事務	データ入力、電話応対、資料整理、郵便物仕分け、スタンプ押し
営業	物件販売、重要事項の顧客説明、接客、従業員管理、物件清掃
営業補助	物件販売とその補助、物件清掃、接客、資料作成、電話応対、役所手続き

4. 取り組みの内容

（1）職場実習生

桐生市の渡良瀬養護学校から職場実習生を受け入れている。同じ生徒について、8月は5日間、11月は1週間、1月は2週間など年3回にわけた実習を行う。単一の仕事でなく多くの仕事を経験させることによって、実習生は就労可能な自信を得られて実習後の雇用へと進む。

（2）情報収集

法改正や障害者雇用の情報を得るために人事担当者は、群馬労働局や関係機関の主催するセミナー、研修会にはすべて出席する。

（3）相談員の認定講習

障害者職業生活相談員の資格認定講習はすでに6人の社員が受講している。登録は2人。人事課が認定講習を受けるだけでは対応しきれないので、率先して総務部が受講する。

（4）仕事スケジュール表

事務を担当する知的障害の場合、日ごとの仕事週間スケジュール表を作成している。

◎仕事スケジュール表の内容（一例）
月曜日  午前中	① 宅急便の仕分け、配布  ② 送付状の整理  ③ 文書ホチキス  ④ 不動産物件の所在確認  ⑤ ファックス分の明渡調べ・入力  ⑥ 預かり証・使用報告書の集計 時間があったとき（余った時間）の仕事  ① 不要書類のシュレッダー  ② 特定文書のファイリング  ③ 切手の切り離し  ④ 委任状作成（5セット）
午後も定型業務のスケジュール表により従事する。
	午前との違いは、他の社員から依頼される仕事を行う時間がある。例として ① 書類整理  ② 印鑑押し  ③ 宛名貼り  ④ 預り証関係等がある。 午後も午前と同様に、時間があった時の仕事が明記されている。 終業前に日報を作成する。

5. 取り組みの工夫・効果

（1）高齢者との協働による清掃業務

現在、事務センターに障害者と高齢者が2人1組で清掃作業に当たっている。週3日、事務センターのロビー、事務室、階段の清掃、週2日は営業用の賃貸物件の清掃である。

高齢者とのグループ構成をとる。特別な物件を除き、清掃方法を十分習熟している。

（2）上司との打合せ、指示時間の減少

週単位の日替わり仕事スケジュール表により、上司が具体的な仕事指示をしなくても毎日、ルーチン業務をこなすことができる。時間の余ったときの仕事も明確に記されているので自立的に一日の業務をこなすことができる。上司は、障害者の毎日の仕事を見つけ出すことが少なくなり、直接連絡も少なくてすむ。

（3）聴覚障害者のスムーズな自立的業務対応

聴覚障害者(事務)はデータ入力、データチェック、資料整理を担当している。社内(全国の支店)の連絡には携帯電話のメール交信により行う。職務はきちんと遂行されて不都合なことはない。職場の同僚は、最初に聴覚障害者の肩を叩いてメッセージを送る合図とする。会話でわからないことがあると、ゆっくりと大きく話したり、筆談で再度説明してもらう。Aを頼んでもA’の結果もあるが、優しさをもって粘り強く対応する。

（4）知的障害者の仕事

仕事スケジュール表があることから、日ごとに指示を受けることがなく業務を行うことができる。宅急便で届いた物品の宛名を読んで区分けを行い部署に運ぶ等、明記された仕事は問題なく処理できる。単調な仕事も継続して行っている。このように、仕事を指示されることなくスケジュール表をもとに自立して遂行できていることから、他の社員と協働できている。知的障害者はパソコンによる営業データ入力を直接担当していないが、パソコンスキルが高い社員は、社内用の業務集計表等を作成している。

（5）終わりに

2年前に、ハローワーク等の指導があったことから、急速に障害者雇用が拡大する。その大きな要因は、職域の拡大、求人条件の公平化もさることながら、企業全体が、障害者雇用、また、今年も地元の特別支援学校の職場体験等を実施しているとのことである。

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