2010年度作成

事業所名

株式会社ホクチン

所在地

石川県金沢市

事業内容

水産加工品製造・販売

従業員数

125名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	3	製造  ※1名は聴覚障害以外に知的障害、病弱を併せ持つ
肢体不自由
内部障害
知的障害	3	製造
精神障害

目次

1. はじめに
2. 取り組み内容
3. まとめ

1. はじめに

今回紹介する企業（1968年創業）は、品質を重視し、誰が作っても安全で一定品質の製品ができるようISO9001を取得し、工程や場所の「見える化」や一定の製品ができるようなマニュアル作りを徹底した結果、現在では誰もが安全に一定の良い製品を製造できる作業環境が整っている。

その企業と出会い職場実習を繰り返すことで、職業人としての力量を高め、周囲の方からの信頼を得ることができ、就職に結びついた事例を紹介する。

2. 取り組み内容

（1）Aさんについて

年齢	19歳
障害名	知的障害B、自閉的傾向が強い。
特性	真面目で几帳面であり、簡単な指示はすぐに理解できる。ただし、自分でできないと思ったときは、素直に指示が聞けないことがある。

（2）障害者雇用の経緯

Aさんは、お母さんと小さい頃から同社の前を通りかかるたびに「こんな会社に就職できたらいいね」と話していたそうである。高校生になって職場実習先を決める際に、この思いを学校に伝え、職場実習を体験することになった。高等部2年次に1回、3年次に3回の実習を経て、就職の内諾を得た。

（3）学校の取り組み  ～繰り返しの実習の実施～

Aさんは本校へ高等部3年次に転入した生徒である。転入前の高等部2年次に初めて同社で実習を体験し、本校での実習を合わせて4回の実習を体験した。

高等部2年次の実習では緊張により手のひらに汗をかいてしまうこと、よだれでマスクが濡れてしまうという衛生面の指摘を受けた。この課題を学校、家庭、ジョブコーチが協力して克服した。本校に転入後、その成長を同社に見てもらうための実習を実施した。実習では成長した姿を見てもらうと同時に新たな課題も提示された。この新たな課題を学校に戻って克服し実習を体験することを繰り返した。この繰り返しの実習で生徒の成長や性格、努力が認められ就職に結びついた。

以下に繰り返しの実習での課題と取り組みを紹介する。

（A）高等部3年前期（2回目の実習）

①評価された点

・挨拶や返事がしっかりとでき、人と溶け込むことも早い。

・同じ袋詰めの作業を、コツコツと継続して取り組める。

②課題

・作業スピードが遅い。

・挨拶をするときや話をするときに相手の顔を見ない。

③学校に戻ってからの取り組み

・毎日の袋詰め練習及び両手で作業する練習

・相手の顔を見て話せない障害特性を同社に説明し、同僚の理解を図る。

（B）高等部3年後期実習（3回目の実習）

①評価された点

・同じ袋詰めの作業をコツコツと継続して取り組める。

②課題

・着替えが遅いこと、機敏に行動できないこと

・よだれでマスクが濡れてしまうこと（2年次と同じ課題）

③学校に戻ってからの取り組み

・機敏な動きの重要性をAさんに理解させる。

・唾液の処理方法を練習し、保護者に口の構造的問題の矯正を勧める。

・作業服を企業から借り、着替えの練習をする。（家庭）

・歯の矯正（家庭）

（C）高等部3年後期追加実習（4回目の実習）

①評価された点

・着替えが早くなり、行動も機敏になった。

・よだれが出ないよう意識できるようになったこと、出てしまったときの対処

②課題

・作業スピードの遅さ。

③学校に戻ってからの取り組み

・ジョブコーチから同社に対して早くできる作業への変更を依頼

・内々定後の働くことへのモチベーション維持

（4）企業の取り組み  ～誰もが働きやすい職場環境をめざして～