事業所名

農協食品株式会社

所在地

香川県丸亀市

事業内容

ブロイラー（若鶏）の処理・販売

従業員数

100名

うち障害者数

4名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	4	ブロイラー処理作業
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景・理念
3. 障害者の従事業務・職場配置
4. 取り組みの効果・障害者雇用のメリット
5. 今後の展望

事業所外観

1. 事業所の概要

（1）背景、経緯

農協食品株式会社は、昭和39年7月に香川県経済農業協同組合連合会のJA坂出食肉センターが竣工されたことから始まる。その後、昭和58年9月にJA丸亀食鳥センター竣工、昭和59年3月より食鳥部門のみ丸亀へ移転し4月より稼働する。

昭和61年11月、JA丸亀食鳥センターと株式会社ミールを販売力強化のため合併。現在の農協食品株式会社設立となる。平成4年には食鳥検査制度に伴い処理機械を導入、平成15年3月は屠鳥・冷却ラインの更新、平成17年3月にはエアーシャワー室・エックス線検知機・最新型トンネルフリーザーの設置を行った。

（2）方針、特徴、組織構成等

安心で安全をモットーに確かな製品作りのため、検量から出荷までのトータルでスピーディな独自の処理加工システムを採用している。急速冷凍することによって、さぬきチキンの良質の肉を痛めず鮮度を保つことができる。また、解体後の真空包装、製品冷却なども充実した設備の中で作業を行っていて、徹底した衛生・品質管理のもと、安全で安心な良質のさぬきチキンが誕生している。

ブロイラーの処理は1日約1万羽であり、処理販売量は県内ダントツ1位である。香川県の特徴として、骨付き鳥の販売量が多いことがいえる。

事業所の組織構成は、製造部、営業部、生産部に分かれており、製造部はさらに施設課・製造課・加工品課・冷却包装課・出荷受渡課があり、現在障害のある従業員は製造課に配置されている。

作業風景

2. 障害者雇用の経緯・背景・理念

障害者雇用については、15年ほど前に市内の香川県丸亀養護学校の先生から実習生の受け入れ依頼があったことと、取り引き会社が倒産した際に受け入れた社員の中に障害のある社員がいたことから始まる。

15年前、丸亀養護学校からの実習依頼を受け、実習を行った後に雇用の相談があった。この時、当社としてはここで「働きたい」希望があるのであれば、その人のできる部署・仕事を用意しようと考えた。その後も、同養護学校からの実習依頼についてはその度に受け入れている。これまで実習を行った中で、数人は作業が合わない等の理由で本人が就職希望しなかったが、会社都合で雇用を断ったことはない。

仕事内容は単純作業の繰り返しである。しかしそれを飽きることなく真面目に黙々と取り組み、休まずに出勤できているという優れたところを評価し、現在4名を雇用し皆継続している。また、定着しやすい環境づくりの必要性を考え、いろいろな部署を経験させて各障害者に適した配置を心がけている。

3. 障害者の従事業務・職場配置

（1）従事業務と職場配置

現在の障害者の従事業務は、4名とも製造部門で作業に従事しており、製造課の中でそれぞれ、能力や状況に応じた部署に配置されている。障害者を特別扱いせず、個々の能力の範囲内でやれる業務を行うことを配慮している。そうすることで、自然に職場にとけ込むことができている。

4名の主な業務内容としては、

A．内臓を取り除いた鶏をラインのフックに掛ける作業

B．ささみの筋取り作業

C．ささみの善し悪しや大きさを分類する作業

D．袋詰めされた製品を真空包装機で真空包装

それぞれ、各能力に合った部署で他の従業員にもとけ込んでいる。

Dの真空包装に従事する男性は、自分自身の使用する真空包装の機械をとても大切にしている。毎日ピカピカに磨いて清潔に保つことで、仕事に対しての前向きな面が見受けられる。

A.鶏をラインのフックに掛ける作業

B.胸肉のカット作業

C.ささみをグラムに分ける作業

D.真空包装機で真空包装

（2）取り組みの内容

実習の段階からいろいろな職務を経験させることで、配置を柔軟に考えることができている。実習では、養護学校の先生がついて熱心に指導を行い、障害者本人と事業所、学校とで実習日誌のやりとりをしている。そのため、問題の早期発見や訓練成果の見極めができている。

また、給与面についても他の従業員とは別に設定せずに能力に応じて支給している。食堂等も共有しレクリエーションや社内旅行にも参加することで、他の従業員と積極的にコミュニケーションがとれ交流が図られるようにしている。

4. 取り組みの効果・障害者雇用のメリット

現在の障害のある従業員4名は、皆真面目で勤勉である。他の従業員と比べて皆勤率は高く、他の従業員の良い手本となっている。また、仕事内容は単純作業が中心であるため、通常長続きしにくい職務がある。しかし、彼らはそんな単純作業も飽きずにこつこつと行うことが出来るため、事業所にとって大きな戦力となっている。

作業部署の配置についても、それぞれの能力を発揮できるよう配置しており、通常以上の効率で作業ができている部署もある。

日頃から従業員も皆自然な対応で、職場内での母や兄・姉的な役割を果たしてくれる従業員もいる。周囲のみんながそれぞれの現状を理解し、優しく見守り大切に育てようという環境がある。また、障害のある従業員4名のうち1名は、職場内で結婚をしており、仕事の継続も順調である。

5. 今後の展望

15年ほど前から障害者雇用を始め、現在、障害のある従業員たちは大切な戦力となっている。今後も障害者に働く場を提供するという観点からも、障害者雇用は必要だと考えている。

今年も、春に養護学校から実習の受け入れをした。その生徒は秋も実習予定で来年春には雇用を考えている。対応可能な作業があることと、適切な職場配置を行うことで他の従業員以上の能力を発揮できている。今後も働きたいと希望する本人に合う職務・部署を用意して、より定着しやすい環境づくりと積極的な障害者雇用を行いたいと考えている。