2010年度作成

事業所名

株式会社 赤岡青果市場

所在地

高知県香南市

事業内容

青果卸売市場（施設園芸野菜青果物全般・園芸出荷資材）

従業員数

62名

うち障害者数

4名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	1	ニラの袋詰めやみょうがのパック詰め
内部障害
知的障害	3	ニラの箱詰・加工ラインでの作業・荷捌き
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者の従事業務、職場配置等
4. 取り組み内容
5. 取り組みの効果と課題

1. 事業所の概要

（1）事業の特徴

株式会社赤岡青果市場は、大正12年（1923）生産者有志と近郊商人により売買取引を始めたことから生まれた。

昭和10年（1935）、市場開設認可から今日まで高知県公認地方青果卸売市場として営業。

昭和50年（1975）、事務処理のコンピュータ化、以後冷蔵庫や倉庫・加工場等の施設面の拡充、ニラ・ピーマン自動包装機等の導入により省力化に取り組む。

当市場は、産地と共に歩む地方市場であり、取り扱い品の99％が地場農産品である。主な扱い産品は、なす・ゆず・ニラ・ししとう・みかん等である。年間売上高は約100億円、販売先は90％が県外である。

なお、本店以外にみかん専用の山北青果市場、野市青果市場の各支店がある。

（2）経営方針

・農家の暮らしを豊かにする

・農家に信頼される市場運営

・産地市場として安心・安全の商品を提供

・生産者の労力軽減を支援

農家の高齢化や女性化が進み、出荷作業が負担となってきていることから、生産者である農家の労働力をカバーするサービスとして、庭先集荷や出荷資材の配達に取り組んでいる。さらに、生産者から24時間受入態勢を取り、無選別やバラ荷も受け入れている。また、パッケ−ジ加工部門併設により生産者の労力軽減にも努めている。

青果市場としての「安全・安心」への対応は、営農指導による品質の向上や安全管理のお手伝いがある。生産者の関心も高く、農家から出された農薬規制への誓約書は約3,500軒から出ている。

2. 障害者雇用の経緯

はじめは障害者雇用としての意識はなかったが、荷づくりや加工部門で人手不足の時期にパートを募集することがあった。ご近所から、「足は不自由だが、作業は出来るので雇って欲しい」との相談を受けていた。また、当社の会長は福祉関連の行事やバザーに出席する等、福祉活動にも関心理解が深かったこともあり、障害者の雇用は以前から自然な形で行われていた。

平成21年度ハローワークからの紹介もあり、社会保険労務士から助成金等の制度について説明を受けたり、各種セミナーを聴講し、会長は自ら雇用に関する講習（生活相談員資格認定講習）を受講した。こうして、改めて障害者雇用として受け入れ準備を整えた。

同時に、障害者雇用で強力なサポートは、なんといっても山田養護学校、くろしお園、障害者就業・生活支援センター「ゆうあい」等の支援者であった。現在も週1回訪れ、生活面も含めて障害者のフォローをしてくれている。

現在、トライアル雇用（1名）・くろしお園からの研修（1名）も受け入れている。

3. 障害者の従事業務、職場配置等

（1）障害者の従事業務

3名の知的障害者を常勤のパートタイマーとして採用している。

48歳と28歳の男性と22歳の女性で、勤務年数は4年〜6年である。重度の2名は短時間勤務、軽度の1名はフルタイム勤務である。全員が加工部で働く。

荷捌きをするAさんは、単純作業が続くが一時も留まることがない。数字や書くのは苦手だが目配りはできるし、体力的にも凄いものがある。加工ラインで作業するBさんは、言葉に多少つまることはあってもみんなと同じように読み書きもOK。責任者の代理も頼めるほどである。パック詰め作業をするCさんは、周りの女性たちとも打ち解け職場にも慣れてきたが、視察等があると気が散って落着きがなくなる。

（2）雇用管理

勤務時間は、フルタイムで午前6時〜正午又は午後1時、短時間は午前7時～11時30分、午前7時30分～正午が基本である。（ただし入荷量の多い繁忙期には午後3時を過ぎることもある。）昼休みは正午から30分、休憩は午前10時、午後3時、午後5時から10分間で、一斉に包装ラインベルトが停止する。

休日は、1年単位の変形労働時間制を採用し、カレンダーに添って決められる。

賃金は時給扱いだが、最低賃金より高めの670〜700円となっている。今後は時給から月給制へと変更できるように、頑張って欲しいというのが会社側の期待である。

4. 取り組み内容

（1）具体的な受け入れ体制

業務に慣れるまでは職場定着推進チーム（5名構成）が補佐したが、中心となるのは作業現場の責任者である。現場でサポートすることはもちろん、周囲の従業員も障害者が馴染めるように雰囲気づくりに協力した。繰り返し繰り返し続けることによって、とにかく慣れてもらうことから始まった。

数量の確認が必要な時は、混乱して乱暴な態度を取ったり、うまくできなくてニラの束を投げたりする等の行動もあったが、根気よく教えることで混乱はおさまった。

現在では、障害者の仕事だからといった問題もなくなり、職場仲間に可愛がられる存在になっている。

（2）現場責任者の声

受け入れ時に、障害者であることをはっきりと従業員に話し、理解と対応を依頼した。

しかし、「知的障害」ということが十分に理解できていたとはいえず、当初は自分も含めて抵抗はあった。例えば、対面で話す時直視が出来ず、まじめにやっているのだろうかと疑う事もあったが、障害ゆえのものであり本人の意志とは違うということも理解できるようになった。また、何度も同じ注意をしなければいけなく、ついきついことを言ったりして自己嫌悪に陥ることもあったが、今は信頼関係ができていると思えるようになった。

作業の習得は本人のやる気と自覚が第一で、とにかく反復することが第一と思う。
子どものように駄々をこねたり、思い込みの激しい場面もあったが、個別の会話でコミュニケーションを取るようにしてきた。

作業現場での基本は、「障害者やき許して」（土佐弁）はダメとしてきた。時間はかかったが、今では担当する作業においては、障害のない従業員以上こなせるまでになった。

はっきりとした声が出るようになったし、仕事に励みがついてきているようだ。

（3）活用した制度や助成金等

・業務遂行援助者の配置助成金

・トライアル雇用奨励金

5. 取り組みの効果と課題

障害者就業・生活支援センター等からの指導補助と、行政からの助成金がうまく活きている。今後は、仕事の現場で受け入れ出来る場面を増やしていけるかどうかである。

知的障害者の場合、ある程度仕事ができる人は次のセクションへの移動が可能ということになれば広げていくことも可能かもしれないが、まだまだ施設の先生方からのサポートが必要な段階と思える。

障害者が仕事をマスターするには時間がかかるが、熱意はあるし、仕事をマスターしてくれば自信も生まれてきて、自分がいないと困るから頑張っているという得意げな様子が見られようになる。しかし、次のセクションへの新しい好奇心はまだのようである。

会社としても、現場の指導を通じて職業人に仕上げていこうと考えている。

真面目で、何より礼儀正しく、先生方の教えをよく守っている。特に、あいさつは素晴らしい。

障害者のタイムカードは、本社の社員と同じ場所にあり、あいさつの一声でその日の機嫌も身体の調子もよくわかる。

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