お客様に必要とされる仕事を、チームワークで成し遂げる事例
1. 事業所の概要
光生舎は1956年、創業者で自ら障害者であった、故高江常男（たかえつねお）氏が身体に障害のある者とない者がともに手を取り合って、自らの力で働く場を事業化して作り上げた会社である。
当時の日本にそれまでなかった「企業授産」の理念の元に、同業の営利法人以上に進歩的な経営を実践して、1966年に生産施設と営業会社を分離した後も順調に業績を伸ばしてきた。これまで当社は幾多の困難を乗り越えてきたが、安定した成長を続けた原因は「常にお客様に必要とされる仕事をしてきた」からだと言える。
無理な投資や浮ついた業務拡大に走らず、しかも時代を先取りする革新の精神に溢れた経営を実践している。
2. 障害者雇用の経緯
株式会社光生舎が障害者雇用に取り組み始めたきっかけは、株式会社光生舎の母体である社会福祉法人北海道光生舎が、昭和34年9月2日に身体障害者収容授産施設として全国で5番目の厚生大臣指定施設に正式に認可されて以来、「授産」の持つ「生産の仕事を授けて生活の道を立てさせる」という意味と、その精神をしっかりと受け継ぎ、障害者雇用促進に貢献することを使命とし就労支援に積極的に取り組んでいる。クリーニング業は職種柄、特に工場の作業については、同じ作業の繰り返しという特性もあり、障害者の業務としても入りやすく、ひとつずつ作業を習得し、個人の能力に応じて仕事の幅を広げることも可能であり、障害者の訓練場としては最適と思っている。その後、近郊の高等養護学校からも職場実習の依頼がくるようになり、積極的に実習の依頼を受け入れ、採用も行ってきた。
近年の雇用は知的障害者が中心ではあるが、今後はより多くの様々な障害者を幅広く受け入れることが出来るよう体制の構築を課題としている。
◎ 菊水工場のクリーニング作業
3. 取り組み内容と効果
当社のクリーニングにおける障害者の作業内容として、主にワイシャツ部門の洗浄前と洗浄後の仕分け作業、特定機械による仕上げ作業、ワイシャツのボタン掛け等の直接生産に関わる作業から資材の整理・整頓、工場内外・機械の清掃まで、個人の能力に合わせて可能な限り障害のない者と同等の作業を習得させている。
職場では障害者と障害のない者がひとつのチームとして生産に携わっており、障害のない者と同様に「叱る」「褒める」を、障害者に対しても特別な意識を持たず適性に応じて使い分け接している。
また、常にチーム内の従業員とのコミュニケーションを通じて挨拶・礼儀作法が自然と身につき、基本動作の教育の場としても定評がある。
このように、当社では障害者が社会で働くための最低限のマナーと本人の自信と自立支援のため、一人ひとりの性格・障害の度合いに応じ、最大限に個人の能力を発揮することのできるよう環境作りに取り組んでいる。
4. 今後の課題と展望
重油価格の高騰や、綿花の高騰による資材費の高騰、厳しい経済情勢といったクリーニング業界に対する強い逆風が吹いている中で、当社は経費削減、生産性の向上、そして障害者雇用を含む人材育成とその確保を常に念頭に取り組んでいる。
中でも人材については、工場稼動の柱であり、優秀な人材を確保・育成することは、障害のあるなしに関係なく、生産性向上・経費削減に直接影響するため、特に慎重に雇用を行っている。
直近の予定として、平成22年秋に5週間、ワイシャツ部門の基本作業の習得と、従業員とのコミュニケーションを通して言葉遣いや礼儀作法を指導した近郊の高等特別支援学校の生徒1名を平成23年春に採用することとなった。
今後も事業拡大に伴い、母体である社会福祉法人北海道光生舎と協力・連携し、各特別支援学校や福祉行政機関からの実習依頼を積極的に受け入れ、随時採用を行っていき、授産事業者としての責任を果たし、障害者が安心して働くことの出来る職場作りをしていきたいと考えている。
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