事業所名

株式会社東樹園

所在地

新潟県新潟市

事業内容

花き球根等の輸入・生産・販売、鉢花等の生産販売等

従業員数

14名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	2	生産現場における、出荷準備等
精神障害	1	インターネット販売部門でのデータ管理

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 障害者の従事業務・職場配置
4. 取り組みの内容
5. 取り組みの効果
6. まとめ

事業所外観

1．事業所の概要

1　事業の特徴・内容

当事業所は、昭和34年に花き種苗・球根生産販売の「東樹園」として旧白根市に創業し、業務拡張により平成4年7月に有限会社東樹園となった。さらに平成12年10月には現在の株式会社東樹園と組織変更している。

ガーデニング材料となる球根や宿根草等を市場や量販店、通信販売向けにラベルを付けて袋詰めする、パッキング作業の他、顧客の要望に応じた商品のオリジナルラベルやパッケージの企画・提案・製作を行っている。

約100坪の発根室と約1200坪の生産ハウスでは鉢花や苗物育成、花の国オランダを始めとしてデンマークやアメリカ等、世界中からの直輸入、また輸入になじまない植物については、直接国内生産者へ委託し球根栽培等、幅広い顧客ニーズに合わせた事業展開を行っている。

また、「美しさ」だけではなく環境にも配慮した新しい時代の花の証明である「花き産業総合認証（MPS）」に参加し、花きの生産や流通上の環境負荷の低減や鮮度・品質の管理、さまざまな社会的責任に取り組んでいる。

平成21年には、地元ハローワークからの推薦もあり、障害者雇用優良事業所として社団法人新潟県雇用開発協会長賞を受賞している。

2　経営方針

「花をとおして、豊かな暮らしに貢献したい」

3　業務の流れ

4　障害者雇用の理念

「障害者に働く場を提供することは企業の責務であり、経営者の喜びである」 障害のある人達が、それぞれの地域社会への参加と社会復帰を目指し、「この会社で働いて良かった」「働くっていいなぁ」と思える職場環境作りを心掛けている。

また、入社時に見られる個々の苦手な部分をクリアできるよう、障害者職場定着推進チームの設置と障害者職業生活相談員によるバックアップを行いながら、将来を考えた家族同然の指導を実施している。

2．障害者雇用の経緯・背景

近隣には福祉施設が多数あり、また社長自身が日常的に福祉施設等との付き合いがあったことから、実習受入れの依頼は随時あった。

土いじりは人間生活での基本と考え、植物の栽培等を覚えることができれば、障害者の将来的な自立へも繋がるのではないかとの想いもあり、平成19年に施設からの実習受け入れをきっかけに、知的障害者を1名、20年に知的障害者を2名・精神障害者2名を雇い入れた。

出荷作業をするTさんとKさん

3．障害者の従事業務・職場配置

現場作業と総務業務に従事している。

知的障害者には、生産現場で、球根の袋詰め、植え込み前の準備（トレーへポットを並べる等）、出荷における段ボールへの積み込みや梱包などを任せている。常に一生懸命取り組み、集中力の高さには感心しており、大変助かっている。

精神障害者には、得意のパソコン操作を活かして、インターネット販売部門での販売データ管理業務を任せている。業務遂行援助者を配置し、毎日一定量の作業ができるように根気よく指導している。

どちらの作業も慣れからくるミスが出ないよう、特別扱いせずに他の従業員と一緒に日々業務を進めている。

受注処理をするYさん

4．取り組みの内容

1　取り組みの具体的内容

～自分なりのマニュアルの作成～

福祉施設から実習を受け入れる際は、必ずジョブコーチを活用し、障害の特性を理解し、それぞれの障害と向き合う方法を助言してもらっている。

作業を進めていく中では、指導者がおおまかな手順をフローチャートで作成し、本人が担当する業務を説明する際に、自分で詳しい内容を書き足させることで、自分だけのマニュアルが完成する。

一つ一つの作業の意味や大切さを知ることで、自分の業務がどういう役割であるのかを理解できるようにした。

2　活用した助成金等

採用後、業務を進めていく上で必要と判断し、障害者雇用納付金制度による業務遂行援助者等配置助成金を活用している。

5．取り組みの効果

1　取り組みの効果

業務に取り組む際に、自分で作成したマニュアルを活用することで覚えが早くなった。他者から認められることの喜びを得て、自分の仕事として責任をもって業務に取り組むようになった。また、自信を持つことにより、様々なことに意欲的に取り組む姿勢がみられる。中には、新しい職場を見つけ転職した者もいるとのことである。

2　感じていること

アルバイトや従業員、様々な形で障害のある人達と関わってきたが、社会へ送り出す福祉施設での準備訓練がもう少しできていれば・・・と思うことが多々ある。また弊社のような零細事業所では、1人が様々な業務を行わなければならないため、一ヶ所で同じ作業を続けることが難しく、環境の変化への対応という面では苦慮している。

採用時、本人の得意なところではなく、苦手なところを会社として知ることができれば、指導方法等を考え、克服できるように支援し、さらに伸ばしてやることもできると思っている。“これができるようになった”と自信につながるように育てていきたいと思っている。

障害を克服することに前向きな人は、仕事に取り組む姿勢にも自ずと変化が見られ、職場定着にも繋がっているように感じている。

6．まとめ

「この会社で働いて良かったと思ってもらいたいんだ。」

会社全体に家族のような空気が流れている。時に父母のように、兄姉のように彼らを見守り、1人の社会人として自立できるように、厳しくそして沢山の愛情をもって日々指導している、総務のWさんの姿が印象的だ。

「土いじりは人間の生活での基本」。きれいな花をお客様に届けるため、毎日一生懸命に与えられた仕事に取り組む彼らの作業場には、今日も満開の笑顔が咲き誇っている。

社長の気持ちと同様に、定年まで勤め上げて欲しいと強く願っている。