障害者雇用に取り組む視察先から学んで、障害者雇用を実施した事例
1．事業所の概要
当社は、1949年から廃棄物処理業に携わる中で、大量廃棄社会の問題点を目の当たりにし、リサイクル、リユースに、いち早く取り組んだ。
近年は、『環境優先の循環型社会』の構築に少しでも貢献できるよう、廃棄物の適正処理と再生資源・未利用資源の活用を事業の中心に据え全精力を傾けている。また、障害者雇用を積極的に行うため、平成21年11月に「環境福祉室」を設置。人的資源の開発と、障害者の自立支援を行っている。
2．障害者雇用の経緯
産業廃棄物の仕分け作業、とりわけ再資源化を行う、缶・ビン・ペットボトルの仕分け作業には騒音ストレスが伴うため、改善を検討していた。ある日、神奈川県の会社視察を行った際に、騒音作業の中で苦痛の表情なく作業をしている従業員がいた。ヒアリングしたところ、その作業に当たっている従業員が「聴覚障害者」であることを聞き、会社に戻るとすぐに聴覚障害者の雇用を検討し、実施するに至った。
3．取り組み内容
（1）募集・採用
当初は、地元ハローワークからの紹介による採用であった。後には、障害者同士の繋がりや担当行政、障害者職業センターと連携し、採用活動を行っている。
（2）障害者の業務・職場配置
産業廃棄物の中間処理分別作業（ベルトコンベア上に流れる廃棄物の選別）
4．取り組みの効果
採用を開始した平成19年4月から複数名の雇用を行い、一斉に業務内容を把握してもらった。これにより、聴覚障害を持つ従業員同士、互いに仕事を覚える際に、手話によるコミュニケーションを確立し、新たに就業する聴覚障害者への指導は、グループ内で完結しており、円満な就業状況を作り上げている。また、聴覚障害者との簡単なコミュニケーションができるように、障害を持たない全従業員に対して、月3回の手話講座を開催している。
5．今後の課題と展望
たまたま巡り合った「聴覚障害者」の従業員採用ではあったが、その頑張る姿には周囲の障害のない従業員も頭が上がらない。全従業員を対象とした手話講座開催により、従業員同士の理解が深まった。
現在、当事業所では、産業廃棄物の分別では聴覚障害者、また当社が行う別事業所（ウエス工場：古着の選別、裁断ウエス加工など）では、知的障害者、精神障害者等、障害の特性や能力に合わせた雇用を行っており、今後とも積極的に障害者雇用に取り組んでいきたいと考えている。
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