事業所名

中和印刷紙器株式会社

所在地

和歌山県和歌山市

事業内容

オフセット印刷を中心に、企画、編集、撮影、製版、紙器、製本、加工、出版、
インターネットホームページ制作と一貫した総合印刷業

従業員数

85名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	1	製版全般
肢体不自由	1	生産統括部　全般責任者
内部障害	1	製本（折り）
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 取り組みの内容
4. 障害者の処遇
5. 今後の課題と展望

事業所外観（本社・倉庫）

1．事業所の概要

(1)沿革

（2）会社経営の4本柱

2．障害者雇用の経緯・背景

（1）障害者雇用までの経緯

当社では、昭和48年頃から、経営方針の一環として、障害者雇用に着手し、当初5人の障害者を雇用し、障害者が元気に働ける場を提供してきた。

現在、生産統括本部の重責を任されている集版部長が障害者である。昭和52年に入社した当時も、5名の先輩である障害者が、すでに各職場において活躍しており、当社の障害者雇用は、大変長い歴史がある。また、過去から現在に至るまで、障害のある者と障害のない者が、共に、その職務に専念し、その職責を全うする環境が、「企業風土」として、長く根付いている。

初めて障害者雇用を開始してから、約37年経過した現在、当社では、3名の障害者が元気に働いており、オフセット印刷を中心とした一貫した総合印刷企業の支え手として、重要な「戦力」となっている。

（2）事業所としての姿勢

昭和22年に社名を「中和印刷紙器株式会社」に改め、以来「前進」をスローガンに事業に取組んできた。

障害者雇用においても、昭和48年からの長い歴史を礎に、障害者雇用の重要性を認識し、障害者雇用の推進に、日々尽力している。

その障害者雇用推進の功績に対して、平成17年度に県の優良事業所「協会長表彰」さらには、平成21年度に「知事表彰」を受賞し、県下の障害者雇用の模範となる事業所として、注目されている。

当社では、障害のある者とない者の垣根を意識せず、個々の職責に対し、従業員が相互に理解し合っている。職場の仲間が、障害者への気配りを自然体で行っている。また、障害者が各職場で「働きがい」・「生きがい」を実感でき、職務に専念できる職場環境を、長年の先人が残した障害者雇用基盤を受け継ぎ、さらに進化させている。

当社としては、個々の従業員が持てる「能力」を遺憾なく発揮できるのであれば、障害の有無や、外見上のものでなく、「能力」、「実力」本位のスタンスで今後とも維持・強化を図っていく考えである。

3．取り組みの内容

（1）業務内容及び障害者の業務

現在3名の障害者は、それぞれ長年の職場経験を活かし、個々の「能力」「適性」に応じた職場で、その職責を任されている。それぞれの職務内容は、下記のとおりである。

A氏： 生産統括本部の責任者として、集版、デザイン、イラスト等の各業務全般を任され、24名の部下を掌握し、その大きな重責を担っている。

勤続年数は34年で仕事には、大変厳しく、当社の重要なる「要」として、周りの「信望」を集めている。

集版課の室内風景

B氏： 高度な技能・技術が要求される、印刷「刷版」の作製に関わる仕事に従事しており、長年の「経験」と「知識」が必要な仕事で、勤続37年の経験が、現在の仕事に活かされている。

C氏： 製本（折り）の仕事に従事しており、この折りの仕事は、全紙に印刷された印刷物を、それぞれの所定の大きさに折り畳む工程でページレイアウトを決定する重要な仕事で、勤続30年のベテランが担当している。

一貫生産ラインの製本設備

一貫生産ライン型抜き設備

（2）就業以外のフォロー

当事業所では他の従業員と同じく、各職場においても、同じ目線で同じ価値を共有するような職場環境を志しており、それが障害者にとっても有益な職場環境を形作っている。

障害者に対する事業所の温かい取組み姿勢は、その実績が高く評価され、上述のとおり、障害者雇用の優良事業所として「協会長表彰」「知事表彰」を受賞されており、輝かしい実績につながっている。

また、当事業所では、レクリエーション活動として、「野球」が盛んであり、障害者も、その試合に応援団として参加し、日曜野球を楽しんでいる。その活動が、事業所としての「一体感」を自然な形で構築しており、障害者を交えた、「職場」での「助け合い」の気風が堅固なものとして、長年定着している。

4．障害者の処遇

障害者の処遇は日頃から特別に意識せず、「適材適所」に人材を配置しており、仕事を行う「能力」に応じて、各々の処遇が決定されている。従って、障害者もまず仕事をいかに「効率」良く、かつ「正確」に処理し、そのパフォーマンスを最大限にあげることが、「処遇面」にフィードバックされることを理解しており、常に前向きの姿勢で仕事に精励することができる、「職場風土」を醸成している。

5．今後の課題と展望

当事業所では、障害者が和歌山県下の障害者団体等へのボランティア活動、例えば障害者団体のスポーツでの審判員に積極的に参加することに、理解と協力体制をとっており、広い意味での「障害者」の自立支援にも温かい対応を取っている。

今後は、障害者雇用対策だけではなく、企業を取り巻く地域（コミュニティ）活動にも積極的にかかわっていくことが必要になってくる。

また障害者自身も、積極的な自立に向けて、社会環境を作り上げていくことに参画する仕組みづくりが、これからの「課題」であり、「展望」につながる道筋である。