事業所名

医療法人裕紫会  中谷病院

所在地

和歌山県和歌山市

事業内容

総合病院として高度専門医療から看護や介護の慢性期医療まで、地域の人々の多様なニーズに対応

従業員数

379名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	1
内部障害	3
知的障害	2	清掃業務
精神障害	2	清掃業務

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯・背景
3. 取り組みの内容
4. 今後の課題と展望

事業所外観

1．事業所の概要

開設日 昭和52年10月1日

診療科目 内科・消化器科・循環器科・放射線科・外科・整形外科・リハビリテーション科・婦人科

病床数 全195床

関連施設 介護老人保健施設 桔梗苑 他9ヶ所

医療法人裕紫会と社会福祉法人寿敬会からなる、『桔梗会』は、「これからの21世紀を安心して楽しく生きる」をテーマに、医療・保健・福祉の総合ネットワークを駆使し、地域貢献に寄与している。

医療法人裕紫会中谷病院は、195床の入院施設を有する地域の総合病院として初期診療・急性期医療から、ゆきとどいた看護や介護を提供する慢性期医療まで、地域の人々の多様なニーズに対応できる医療サービスを提供している。

MRI装置やCT装置、腹部エコー、胃カメラなど最新医療機器、医療システムを積極的に導入し、地域の人々の健康を守る役割を果たしている。また、予防医学においても毎年5000件以上の健康診断実績を誇るなど、保健サービスにも多くの信頼を得ている。一般病棟の他、病院から在宅に戻ることを目標とする人を対象に、日常生活が自立できるように援助することを目的とした回復期リハビリテーション病棟や、介護を必要とする高齢者の家庭復帰を支援する指定介護療養型医療施設も病院内に完備し、医療・保健・福祉の総合サービスを行っている。

2．障害者雇用の経緯・背景

（1）障害者雇用までの経緯

障害者雇用の必要性を従来から感じていたが、病院の業務として、障害者に何が出来るのか検討した結果、各病室等の清掃作業を職務とすることにした。

従来、病院全体の建物の清掃作業は、アウトソーシングとして、清掃業者に委託していた。清掃業者は、病院の建物の廊下、トイレ等を清掃作業の範囲内とし、病室は清掃作業の範囲外であり、病室の清掃は各病棟の職員（介護ヘルパー）が行っていた。その為、休日と休暇等の人員不足時に清掃の徹底に不安があった。

そこで、思い切って複数の知的障害者に「病室」・「食堂」の清掃作業を主業務とした「職場創出」を決定し、平成18年、2名の知的障害者を採用することに至った。当初は、一病棟に2名交代制を採用。Aさんは、「月・火・水」、Bさんは「木・金・土」という勤務シフトを採用。結果、仕事が非常に丁寧、かつ熱心であったので、他の病棟でも、「病室」・「食堂」の清掃を行って欲しいとの職場からの要望があり、2年後の平成20年、2名の知的障害者を追加雇用し、障害者の業務分担範囲を拡大した。

現在、4名の知的障害者が、当病院の入院患者の病室、食堂の清掃作業を任され、入院患者や職員から感謝されている。

仕事仲間と共に昼食を楽しむ食堂

（2）事業所としての姿勢

当事業所は「地域とともにいきる」をモットーに、地域との繋がりを大切に、地域の発展に貢献し、又企業の社会的責任から、障害者雇用を積極的に推進したい意向はあった。病院の業務は、患者の生命に係わる仕事が多く、些細なケアレスミスが多大なリスクを負うことになる。

その中で、平成18年に試行的に実施した知的障害者による病室、食堂の清掃作業は、無理なく職務を完遂することができ、また仕事を通じて「人の為に役立っている」と、障害者も働いていることの充実感を実感している。

3．取り組みの内容

（1）業務内容及び障害者の業務

病院内の「病室」、「食堂」の清掃

現在、4名の知的障害者が、それぞれの各病棟の「病室」・「食堂」の清掃作業を担当している。

コミュニケーションの場　談話室

時間帯は、9：00～15：00で担当病室数は、10室～17室である。

今では、各人の業務経験も長くなってきて、仕事ぶりも、その内容も向上してきた。例えば、入院患者が、最も気になる、「床頭台」は、各患者の気持ちに沿った掃除・整理のやり方が必要である。患者ごとにその違いがあることをよく理解した清掃作業は、患者から感謝されている。なお、4名の職務年数は、4年が1名、2～3年が2名、8ヶ月が1名である。

（2）就業以外のフォロー

当事業所では、障害者、職員が同じ食堂で食事を取り、休憩時間を楽しむ。 お互いが同様の入院患者のお世話をしているとの共通の「仲間意識」が芽生え、同じ「使命感」を共有できる場がそこにある。

同じスタッフ、同じ仲間の温かい協力体制と、各病棟の「師長」の適切な業務指導・業務観察の弛まぬコミットメントと、公私に関わるフォローが大きく寄与している。

（3）障害者の処遇

障害者の処遇としては、パート扱いとして、時給制を採用している。また、平均の勤務時間は、5時間で無理のない勤務体制となっている。先程上述したとおり、休憩時間も、他の職員と同じ時間にとることができ、障害者が、自立した一社会人としての、仕事の「誇り」と「働き甲斐」のある、処遇体制となっている。

4．今後の課題と展望

今後の展望として、各病棟で各1名の障害者が従事しているが、現在4Fの病棟に担当者がいないので、4Fの病棟も、同じく障害者の雇用を増やし「病室」「食堂」の清掃業務を実施したい計画を持っている。新規障害者雇用については、3ヶ月のトレーニング期間を通じて、ホームヘルパーが直接、清掃作業のジョブコーチを行い、仕事の習得状況は総括的に「師長」が把握するようにしている。

今後とも、障害者雇用については、同じスタッフ・同じ仲間として障害者が、明るく元気に働ける職場環境を構築、障害者雇用の推進に取り組んで行く。