事業所名

株式会社エスマート

所在地

鳥取県鳥取市

事業内容

各種商品小売業

従業員数

240名

うち障害者数

5名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	2	鮮魚担当・青果担当
内部障害	1	惣菜担当
知的障害	1	青果担当
精神障害	1	惣菜担当

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 取り組み内容
4. 取り組みの効果
5. 今後について

事業所外観

1．事業所の概要

当該事業所は平成18年9月、株式会社シバタから全事業を譲り受け、鳥取市内に本部を置き市内7店舗で営業を開始、その後倉吉市内1店舗、鳥取市内に1店舗、岡山県津山市内2店舗を出店しスーパーマーケット「Sマート」を展開している。比較的低価格で、生鮮食品に強みをもっている。

スーパーマーケット業界は同業他社、コンビニ、インターネットショッピング等多くのライバルとの厳しい競争にさらされている。競争に勝つために“お客様から選んでいただける店づくり”をコンセプトに、生活者の動向や地域の嗜好性など様々なことを把握し、「自分たちの暮らしのことを考えてくれている」と実感できる商品構成やサービスに心掛けている。

2．障害者雇用の経緯

株式会社シバタより全従業員を受け入れた際、内部障害者（心臓）1名、アルバイトとして身体障害者（2級）1名が在籍していた。内部障害者はレジ係、身体障害者は鮮魚場の作業を担当していたが、店長から「職場の戦力として十分」との報告を受け、継続雇用をすることとした。特に身体障害者については、母親が当社の従業員であることから、正社員になることを親・本人を交えて話し合ったが、本人より「体力的に長時間勤務に耐えることが出来ない」との申し出があり、アルバイトのまま雇用することとした。

更に平成20年7月、鮮魚部門で働いていたDさんが高次脳機能障害を克服し職場復帰を希望したため、関係機関に相談、アドバイスを受け、職場の確保、支援体制、勤務期間等を計画し継続雇用することとした。

当該事業所は、障害者でも働く意欲があり、職場の戦力として認める者については支援を惜しまないとしている。

3．取り組み内容

① Aさん

本人はシバタ時代からレジ係として勤務し、エスマートに移籍後、心臓病を患い手術を受けた。職場復帰後もレジ係として勤務していたが、長時間の立ち仕事のため疲労回復が遅れ体調不良が続くため、退職を考えた。人事担当者、店長を交えて対応を協議し、とりあえず職場配置の変更（惣菜づくり）と、主治医の健康相談日に合わせて公休日を設定するなどの配慮をして様子を見ることにした。Aさんは体調不良の時には休養を取るなど健康管理を十分に行い、現在も1日来店者数が1,000人を超える職場で惣菜部門のチーフとして忙しく働いている。

② Bさん

Bさんは皆生特別支援学校高等部からスーパーマーケットで職場実習、卒業後も同業他社に勤務していたが会社が倒産。しばらく失業していたが、母親がシバタに勤めていた関係でパートとして鮮魚部門に勤務、エスマートに移籍後はアルバイトとして勤務している。2年前の母親の退職を機に、本人の希望と鮮魚をさばく以外の作業は何でも出来ることから正社員に登用、現在に至っている。

③Cさん

Cさんは株式会社シバタに入社後、腎臓病を患い、長期に亘り薬での治療を行っていたが、薬害により両下肢が不自由となり手術。身体障害者 (3級)となり離職した。製造業に就職するも、本人は接客業への仕事に就きたい希望が強く、平成20年に当社に入社。以後青果部門を担当、現在は責任者として頑張っている。20～30kgの荷物の搬入など厳しい作業で両下肢が痛いときは、上司・同僚の了解を得て休憩し、体調管理に気をつけている。

④Dさん

Dさんは株式会社シバタ時代から数えて13年目の中堅社員。青果部門・配送関係を経て、鮮魚部門を担当していた時期に自宅で倒れた。3ヶ月の長期療養後、障害者就業・生活支援センターしらはまを通じて障害者福祉センター厚和寮にて職場実習、更に鳥取障害者職業センターにて職場復帰の支援を受けた。

職場復帰の業務と支援内容

指導責任者として鮮魚部門チーフを指名し、チーフを中心にスタッフ全員が支援することとした。尚、障害者雇用助成金の「業務遂行援助者の配置」助成金を活用している。

現在は本人の希望を入れ、惣菜部門に配置転換。注文の整理等の補助的業務を担当している。

4．取り組みの効果

在職中に突然中途障害者になった者はかなり精神的なダメージを受けるため、心の面からの支援も必要で、本社幹部、店長等の対応が重要となる。職場復帰に当たっては、働く意欲を引き出すために、本人との面談を通じて職種変更・公休日の指定・勤務時間等について配慮している。しかし、中小流通業においては会社の支援も限界がある。そのため、中途障害者は自ら働くモチベーションを高め、企業の戦力とならなければならない。幸いにして当社の方々は、障害にめげることなく業務に励み、それぞれが担当部署のチーフあるいは責任者となって頑張っている。

5．今後について

当社は障害者雇用については、今在職している障害者で法定雇用率を達成している。（平成22年7月の納付金改正に伴い、納付金申告事業所の対象事業所となるが、雇用率　は2．23％と法定雇用率1．8％をクリアしている。）

しかし、“お客様から選んでいただける店づくり”を目指す当社としては、商品の欠陥などの不祥事は、社会的責任を果たしていない企業として判断され、売り上げの減少は勿論、厳しい競争社会では淘汰されると考える。そのため当社はコンプライアンスの遵守は勿論、CSR活動を通じ消費者から高い評価を得なければならないと考えている。今後障害者雇用についても、現状に満足せず、1人でも多くの障害者が雇用できるよう会社全体で考えていきたい。