事業所名

エフピコ愛パック株式会社

所在地

広島県福山市

事業内容

愛パック事業（容器組立、回収容器選別）を通じて障害者の就労の可能性と職域の拡大を行っている。

従業員数

301名

うち障害者数

227名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	3	プラスティック容器の組み立て加工、リサイクル工程作業
内部障害
知的障害	217	プラスティック容器の組み立て加工、リサイクル工程作業
精神障害	7	プラスティック容器の組み立て加工、リサイクル工程作業

目次

1. 事業の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者雇用の取り組み状況
4. 今後の展望と課題

事業所外観

1．事業の概要

2007年2月、ウッド容器（当社における合成樹脂製折箱容器の通称）の製造・組立を行う広島愛パック株式会社が、民間企業としては日本で初めて就労継続支援A型事業の認定を厚生労働省より受けた。その後、エフピコ愛パック株式会社へ社名変更し、現在ではウッド事業（当社では愛パック事業と呼ぶ）を北海道・山形・茨城・岐阜・兵庫・広島（広島市と福山市）・佐賀に8事業所を展開している。

同時に親会社の株式会社エフピコでは、スーパー等に消費者から持ち込まれた食品トレーを回収し、『トレーtoトレー』というエフピコ方式のリサイクルシステムの中で再び原料に戻し、エコトレーとしてまたトレーを作る循環型リサイクルを行っている。その中で人の手に頼らなければならない重要なトレーの選別部分を当社の従業員（当社では障害者を従業員と呼ぶ）が担当している。また、株式会社エフピコが平成20年に開始した透明容器のリサイクルにおいても、従業員はコンベアーで流れてくる透明容器の選別・整列作業や分別された透明容器の収集作業を担当している。これらのリサイクル事業（当社ではハートリサイクル事業と呼ぶ）は現在、北海道・山形・岐阜・兵庫・福山・佐賀の6事業所を展開している。

エフピコ愛パック株式会社では、従業員227名、スタッフ74名の301名(平成23年2月現在)が働いている。

回収容器の選別作業風景

2．障害者雇用の経緯

エフピコグループの障害者雇用は、千葉にあるダウン症親の会『あひるの会』とのお付き合いより始まった。当たり前のことが当たり前に出来る社会になるように、エフピコも企業市民のひとりとしてお手伝いさせていただきたいとの思いから、1986年に障害者の安定的な職場の確保や社会参加を目的としたグループ企業『株式会社ダックス』を設立し、厚生労働大臣から株式会社エフピコの特例子会社として認定された。

その後、1995年には『株式会社ダックス四国』、2006年には『株式会社ダックス佐賀』、2009年には『株式会社茨城ピジョンリサイクル』を加え、障害者のさらなる雇用の拡大に取り組みながら、障害者と障害のない者が相互に協力しあい操業を続けてきた。

同時に、2006年4月に障害者自立支援法の施行に伴い、一般の企業等で就労することが困難な者の更なる雇用機会の提供と、福祉サービスを受けながら就労することを目的としたエフピコ愛パック株式会社を設立した。現在では1道6県に14事業所を展開している。

また、株式会社エフピコでは社団法人全国重度障害者雇用事業所協会が発行する、障害者就労支援に関して特に優れた取り組みを行う企業に与えられる、『障害者雇用優良企業認証』を受けている。障害者雇用のリーディングカンパニーとしての誇りと責任を持って、これからも心のバリアフリー社会の実現に寄与していきたいと考えている。

3．障害者雇用の取り組み状況

（1）基本方針

1．雇用に際しては、障害もひとつの個性として受け入れる。

2．単に仕事が出来ないことを理由に、解雇は行わない。

3．問題と思われることが発生した場合、会社全体で対処すべき課題と認識し、衆知を集め対処する。 　

4．保護者及び関係者との連携を重視し、信頼関係構築に努力する。

5．働くことの意味を理解し、職業人としての自覚と責任感を身に付ける共に、喜びと自信を得てもらう。

（2）設備・機械などハード面での工夫

安全性に対する配慮として、動く機械の危険箇所と思われる場所には人感センサーを配備し、そのエリア内に少しでも入ると直ぐに機械が停止するような配慮をしている。

また、掲示物などは、漢字が苦手な人のためにふりがな付きの掲示をしている。数量を数えることが苦手な人には、その数量になるとランプが光ったり、音が鳴ったりするといったセンサーを取り付けている。

（3）ソフト面での工夫

<募集・採用>

採用に当たってはハローワークへ求人を堤出し、当社に入社する全ての従業員は、ハローワークからの紹介で採用している。採用面接に当たっては、採用後も家族や支援者との連携が不可欠であるとの考えから、家族や支援者を交えて行っている。職場定着には会社での支援はもちろんだが、生活の部分での支援がとても重要であると考えている。会社側と家族・支援者側の相互支援がなくてはよりよい支援も出来ず、自立に向けた取り組みも進まない。会社と家族・支援者の連携を密にし、その人にあった個別の支援を行っている。

また採用に当たってトライアル雇用は行っておらず、最初から本採用している。

<給料面>

最低賃金除外申請を行わず、最低賃金をクリアした基本給を支給している。また各種の社会保険への加入や、退職金共済への加入など障害のない者と同様の雇用条件としている。

また、就労継続支援A型事業所は毎月利用した分だけ利用料の自己負担（1割負担）が発生する。しかし、当社では利用者負担額の100％減免申請を行っているので利用料をいただくことはない。

<職場定着・配置>

障害者自立支援法では一つ一つのサービスを提供するにあたり、スタッフの配置基準が定められている。就労継続支援A型では、障害者10名に対しスタッフを2名配置する、といったものである。当社では、従業員227名に対し、スタッフ74名の人員配置としている。配置するスタッフは、サービス管理責任者、就労を継続していくために必要な職業能力向上に対する支援者である職業指導員、就労を継続していく上で必要となる日常生活上の支援を行う生活支援員を配置している。これら様々な職種のスタッフを多数配置し、よりスムーズな事業所運営を行えるようにしている。

また当社に入社すると、まず従業員個々にアセスメントを行い個別支援計画を作成する。これは、本人はもとより家族や支援者を交えて、本人のニーズや目標を取り入れた個別の支援計画である。この個別支援計画を基にして一人ひとりにあった支援を行っている。より良い支援を常に考えながら日々支援を行っている。

そのほかに、心配事や悩み事に対しては定期的な面接だけではなくその都度面接を行うことにより解決を図るようにしている。問題の大小に関係なく早期に解決することが大切なことであると考えている。

<助成金の活用>

当社では、様々な助成金を活用している。例えば、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行っている重度障害者等通勤対策助成金である。全国にある当社の事業所は、そのほとんどが公共の交通機関を利用するに当たり非常に不便な場所にあるため、会社から最寄の駅まで無料の送迎バスを運行して、従業員が安心して働けるように配慮をしているが、この送迎バスの購入や運転者の委嘱に対して助成金を受給している。

また特定求職者雇用開発助成金も活用しており、この助成金を基に設備面での整備などに取り組んでいる。

4．今後の展望と課題

当社では、親会社の株式会社エフピコ同様、積極的に工場見学を受け付けている。実際に従業員が働く現場を見てもらい、どれほど会社にとって必要不可欠な存在であるかを直に見ていただきたいと思っている。障害の有無に関わらず、全ての社員が夢や希望が持てる、そんな職場を目指している。当たり前のことを当たり前にやることで、全社員の共通の目標に向かいこれからも努力していきたいと思う。