事業所名

株式会社メディックス

所在地

愛媛県伊予郡

事業内容

高齢者福祉事業

従業員数

103名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由
内部障害
知的障害	2	施設内外の清掃及び洗濯等
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの内容
3. まとめ

事業所外観グループホーム（すずらん・こすもす）

1.事業所の概要

（1）沿革

（2）Aさんの場合

（3）Bさんの場合

2.取り組みの内容

Aさん、Bさんを送り出した社会福祉法人のCさん（就労支援スタッフ）の視点から、表現している。

（1）Aさんの場合

松山高等技術専門校の訓練事業として実習を行ったことで、よりスムーズな訓練を行うことができた。期間は、平成18年1月24日～2月23日までの1ケ月間であった。実習内容は全く心配していなかったが、問題は通勤である。Aさんの住む地区は公共交通機関がなく、徒歩か自転車しか手段がない。当然、本人は安全を考えて今まで自転車に乗ったことがない。訓練が決まったその日から、自転車乗りの猛特訓がはじまった。「就労への糸口を見失うものか」と本人も頑張り続け、何とか自転車に乗れるようになった。Aさんの住居から職場までは約5.7km、40分をかけての通勤である。より安全な通勤ルートを決めるため、Aさんと支援者は何度も確認しあった。

実習は、専門学校の先生と受け入れ先である「すずらん」のホーム長の連携による支援で順調であった。実習期間が終了し、Aさんの就職は決定したが、平成18年4月採用ということである。3月の1ケ月間をどうしよう。せっかく仕事の内容を理解したが、1ケ月間のブランクが、本人のやる気と仕事技術を後退させてしまうことにならないだろうか。そこで私たち就労支援スタッフは考えた、「1ケ月間、今度は、施設からお願いする実習という方法で、何とかこのまま仕事を続けさせてもらえないだろうか…」と。この前向きな依頼に、株式会社メディックスの担当者とすずらんのホーム長の快諾を得て、スムーズに就職へ移行できた。

就職から、もうすぐ5年が経とうとしている。その間、色々なことがあった。一番、驚いたのは、通勤途中の事故である。バイクや車にぶつかりそうになって転倒し、ずいぶん自転車も壊れた。4回はびっくりさせられる事故があった。その度、1週間ほどは一緒に通勤し、危険な場所の確認や安全確認をする場所をひとつずつ止まって何度も教えた。たぶん6年目も7年目もそうなるだろう。仕事はAさんのスピードや能力に応じて、「すずらん」の方で工夫をしてくれる。いつも「すずらん」のスタッフが声がけをしてくれている。時々、「気がゆるんでますよー」と電話があると訪問する程度である。Aさんは現在49歳。まだまだ10年は、頑張ってもらえるかな。本人にも「すずらん」にもぜひお願いしたい。

作業の様子

（2）Bさんの場合

Bさんの場合は、Aさんの就職にコツをつかんだ、素敵な就労支援スタッフがいたことから始まる。「こすもす」のホーム長に猛烈なラブコールをしてしまった。「採用して下さったら絶対後悔させない逸材がいますので、是非、実習だけでもお願いできないでしょうか」と、情熱的な気持ちを胸に、日参したのである。

今、思えば、本当に「熱い」の一言である。Bさんの実習はジョブコーチが手弁当で行った。Bさんの仕事は主に掃除、洗濯である。モップを使う所、雑巾を使う所、作業内容をひとつずつピックアップし、使用する物と使い方の表を、本にして持たせた。

Bさんは、少し自閉的な傾向がある。決められた仕事を行うには特に問題はないが、新しい仕事を依頼する時は、ジョブコーチが訪問し、その仕事をどのようにすれば良いか、そして、今までの仕事の流れのどこに入れるかなどを支援していく。きちんと時間割りができれば、あとは、黙々と仕事をこなしていく。

Bさんは、平成20年1月～3月の3ケ月間、ヘルパー2級の資格取得に挑戦した。勉強仲間や講師の方々に恵まれ、励まされながら見事にヘルパー2級の資格を取得することができた。（その後、ガイドヘルパーも取得した。）資格を取ろうと思ったBさんの頑張りも素晴らしいし、職場の協力もあってこその資格取得である。じっくりと本人の仕事ぶりを見るスタッフの厳しくも温かく、やさしい目と、理解により、Bさんも就職してから4年が経とうとしている。

作業の様子

3．まとめ

株式会社メディックスには、一本の芯がある。

「地域社会への貢献」「自分の事業所だけが良ければ良い訳じゃない」という会長の考え方がベースになっている。介護事業の事業運営推進部長である岡村氏は、「障害のある者にしろ、ない者にしろ、夢を持つことが大切です。私は職員さんに夢について時々聞くのが楽しみです。」と言われた。ちなみにAさんの夢は、「おしゃれ」をすること。Bさんの夢は、「預金」だそうである。

障害の有無にかかわらず、人は自分を必要としてくれるフィールドがあるから生きていける。AさんにもBさんにも、そのフィールドが有る。2人を受け入れた株式会社メディックスの基本理念を見れば、さもありなんと納得するのである。

企業理念