事業所名

株式会社グランドシステム沖縄

所在地

沖縄県那覇市

事業内容

航空機地上支援業務

従業員数

510名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	3	貨物取扱業務及び機内食取扱業務
内部障害	1	旅客手荷物取扱業務
知的障害	2	旅客手荷物取扱業務
精神障害

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の概要
3. 障害者雇用の経緯
4. 取り組みの内容（従事業務の設定、配置）
5. 今後の課題と展望

事業所外観

ホームページアドレス

http://gso.co.jp

1．事業所の概要

昭和58年、株式会社エアー沖縄より、ANA旅客便機内清掃及び客室サービス業請負会社として沖縄キャビンサービス株式会社を設立、平成12年株式会社グランドシステム沖縄へ社名を変更した。現在では、ANA旅客便のカウンター業務以外の航空機地上支援業務は全て当社が委託を受け、また平成21年10月よりANA那覇空港国際貨物ハブ化に伴い、アジアの主要都市と沖縄を結ぶ航空貨物の窓口として事業展開を行っている。

2．障害者雇用の概要

会社設立当初より、那覇公共職業安定所および社団法人沖縄県雇用開発協会から「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づいて、障害者を雇用して欲しいとの依頼を受けていたが、航空機周辺での就業が大半である為、障害者雇用を見合わせていた。しかし、平成21年より沖縄国際貨物ハブ化事業が始まり、大量の雇用が必要となった事、就業内容が多様化したことが契機となり、企業としての社会的責務を果たすべく障害者就業場所を確保し雇用に取り組んだ。

3．障害者雇用の経緯

以前から当社では、障害者雇用については二の足を踏んでいる状態であった。その原因として、業務の大半が航空機周辺での作業及び高所作業、貨物取扱作業などの就業場所に限られ、現場従業員の理解がなかなか得られなかった。

このような状況の中、前任の人事担当者は、現場従業員の理解が得るには実績が必要と考え、機内食の部署で洗浄・物品セッティングラインを障害者専属で配置出来ないかと現場上長へ相談したところ快諾が得られ、当社において初めて障害者を雇用し、その後の障害者雇用推進への実績となった。

昨今の航空産業の落ち込みにより、当社でも生産効率を上げるため必要標準人員を設定しており、企業全体のスリム化を推進している。そのような中での障害者配置について現場従業員の理解を得られるのは非常に苦労した。雇用にあたって当面は標準人員に算入せず、障害者の入社後3ヶ月は試行雇用奨励金制度（沖縄労働局）を活用し、その後は雇用支援制度導入奨励金（沖縄労働局）、特定求職者雇用開発助成金制度（沖縄労働局）、また、那覇市在住の障害者ならば那覇市障害者雇用安定化推進事業奨励金制度（那覇市）等を活用した。

障害の状況にもよるが、1人で就業出来るまでに半年から1年程度は要するが、助成金対象の期間が終了するまでには標準人員に算入している。

4．取り組みの内容（従事業務の設定、配置）

雇用に際し印象深い3名を紹介

（1）Aさんについて（重度身体障害者）

当社において初めて雇用した障害者Aさんには、機内において使用した物品の洗浄、及び搭載前の物品セッティング等の単純作業ラインを設定し配置した。

身体の障害者であるため、狭い範囲の活動場所を配置、またセッティング物品の持ち出し時は、搭載担当従業員とのダブルチェックにより持ち出すことで、個人負担や責任負担をなるべく軽減させた。洗浄ラインでのAさんは、就業30分前に出社、率先して自分の就業場所の清掃から始め、洗浄業務及び物品のセッティング業務を開始する。当初、現場職員は障害者への配慮から、設定業務以外の配置は行わなかったが、「リハビリも兼ねて」と本人が率先して他の業務を手伝うようになり、半年もすると洗浄・セッティング業務以外に、消耗品の日付管理補助、在庫管理補助等の担当を経て、今では全ての物品管理を専属で行っている。彼の仕事への向上心および仕事仲間からの信頼は、前任の人事担当者が目指した後の障害者雇用への実績となった。

雇用第1号Aさん
（物品管理室にて）

（2）Bさん、Cさんについて

当社における初めての知的障害者雇用となった二人だが、当初、知的障害者に対して現場従業員には安全管理への不安があり、雇用に関し理解が得られなかった。沖縄高等特別支援学校から職場体験実習の依頼を受け、知的障害者雇用に向けたトライアルも兼ねて、実際に他の従業員と同じように、旅客手荷物の積み降ろし業務を体験場所として配置した。業務を習得するのに多少時間はかかったが、手荷物の積み降ろしのみの単純作業や、各空港行きへの仕分け業務等を、常に従業員1名が付き添い、他の従業員と同じような業務を体験させた。体験期間中は、無遅刻無欠席で出勤し、業務にも積極的に取組み、短い期間での職場体験であったが、本人達も自信をつけ、当社への就職を希望した事から雇用を決定した。雇用後も引き続き手荷物取扱業務に従事しているのは、職場体験時に手荷物担当従業員の信頼を受けたからである。

Bさん（手荷物コンテナ取扱中）

Cさん（手荷物仕分け場にて）

5．今後の課題と展望

障害者を雇用する上で、障害の種類や程度などを加味し、就業内容や就業場所等の環境改善を行うのと同時に、企業として障害者の能力開発を推進し、その中で障害の有無に関わらず就業できるよう、企業として努めている。また他の従業員の不安や理解を得るために上記であげた障害者自身の実績や各種助成金の活用は大きな要素となり実績となった。

昨今の航空業界間の競争の中で、当社として生き残りを賭け、従業員1人1人の意識改革や向上心を求め、また育てて行きたいと考えている。

障害者雇用についても「配慮はするが優遇はしない」のスタンスを基に、障害者自身も前向きに向上心を堅持することで、企業と共に成長し繁栄すると確信している。