【安全】に【正確】に【早く】をモットーに環境整備を行い、
知的障害者の仕事意識を高めて会社の戦力化を図る
- 事業所名
- 株式会社ジーマック
- 所在地
- 沖縄県浦添市
- 事業内容
- 一般貨物自動車運輸業・貨物運送取引業
- 従業員数
- 270名
- うち障害者数
- 7名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 7 日用雑貨、加工食品、酒類等のバラ商品ピッキング 精神障害 - 目次
- ホームページアドレス
- http://www.gima.co.jp/
1．事業所の概要
（1）株式会社ジーマックは、平成5年ジーマグループの一員として設立されて以来、沖縄県全島を網羅し、県民のライフラインの一翼を担うべく食品・日用雑貨等の運送に努めてきた。平成9年4月、第一種利用運送事業の認可を受け、メーカーから販売店へと一貫した効率的な運送システムを確立している。
（2）現在当社では、総従業員270名のうち7名の障害者が在籍し、7名全員が日用雑貨・加工食品・酒類等のバラ商品のピッキング業務に従事している。この業務では、ピッキングカートという端末を装備した台車を使用して、端末に表示される指示に従い、商品毎に登録されているロケーション（商品棚）から、指定された数量の商品を取り、その全数量をハンディスキャナーによるバーコードスキャン検品を行い、コンテナーに商品を投入していくという作業が主体となっている。
2．障害者雇用の経緯・背景
障害者雇用を開始するに至った経緯の最初に挙げられる事は、当社の基本方針のひとつである『法令遵守』がある。当社は物流事業者であり、施設内には多くの車輌やフォークリフト等を使用しているため、事故発生のリスクの高い事業所である事から、日頃の従業員に対する安全確保には注意を払い、そのための大きな労力を要している。従って以前では、従業員が障害のない者であっても安全確保に苦慮している状況にあって、障害者である従業員の安全をも十分に確保できるであろうかとの大きな懸念があり、障害者を積極的に雇用する考えはなかった。しかしながら、多くの政府広報や、労働セミナー等への参加によって、障害者雇用促進法の改正等による法定雇用人数への認識が高まり、『法令遵守』を優先として現在のように障害者を雇用するに至った。最初の雇用にあたっては、ハローワークの専門援助部門からの紹介で、平成20年11月に、男性の知的障害者1名と女性の重度の聴覚障害者1名の2名を、トライアル雇用を活用し採用した。その後、聴覚障害の女性1名と知的障害の男性6名を障害者合同企業面接会等で採用している。残念ながら、聴覚障害の女性2名に関しては、本人からの申し出があり、退職されており、当社としても重度聴覚障害者への安全確保のハードルの高さも痛感した。
現在、企業連携職業訓練にて、知的障害の男性1名の研修受け入れをしており、本人の適正等を踏まえて採用の方向で調整を進めている。
3．取り組み内容
障害者7名が配置されている部署は、当社センターの中央部に位置しているバラ商品の仕分け場で、沖縄県内の大手スーパーマーケット、ドラッグストアー、ホームセンターやコンビニエンスストア等に納品する商品の小分けピッキング作業で、各台車に搭載されている無線端末の指示によるスキャンピッキングで、『考えず、場所を探し回らず、正確に』作業が出来ることを特徴とした機器を使用しての作業を行っている。
Aさんにおいては、当初、商品の表示ロケーションを覚える事が難しく、的外れな場所へ何度も迷い込み、商品ロケーション表示の見方を丁寧に何度も繰り返し指導し、1ヶ月近くかけ完全にマスターし、現在では更に作業が早くなり生産性も向上して、かなりの戦力として活躍している。
Bさんは、黙々と作業をしているが、当初生産性が上がらなかったが、現在は日々の目標値を提示して、生産性に対する意識をもって作業をするよう指導している。
Cさんは、作業中に頻繁（5時間の間に10回程度）にトイレと言って小休止が入る状態であったが、勤務時間とそうでない時間の切り分けを指導した結果、現在ではよく理解して業務に従事している。
Dさんは、休憩時間の過ごし方について苦情が出たこともあったが、仕事場での礼儀や他の従業員との接し方等の指導成果もあり、従来からの意識が変わってきている様子が認められる。
Eさんは、初めから仕事に対する意識が高く、常に前向きな考え方を持って業務に従事し、現在では他の従業員のお手本となり得る人材である。
FさんとGさんにおいては、入社からの日も浅く、兄弟で勤務しているが、全く異なった性格で、家族と障害者職業センターの職員を交えて、二人の今後の指導の方向性を確認し、更にジョブコーチ支援による研修を現在も行っているところである。
4．障害者雇用による効果
当初、他の従業員も障害者と業務を共に行う事に戸惑っていたが、障害者全てにジョブコーチ支援を利用し、指導して受けた成果も大きく、現在では個々の性格等も理解し、周囲の従業員もうまく対応できるようになっている。今まで、障害者と近くで接する機会が無かった従業員が殆どで、彼らと付き合うにつれて、その接し方が変わってきているのが目に見えて分るようになり、障害者へのイメージや認識が大きく違ってきていると感じられる。また、作業の面においても、障害者が黙々と取り組んでいる姿勢が、周囲の従業員の意識を変えていき、いい意味での競争心が現れ、全体の生産性の向上にも繋がり、グループ単位のピッキング当番を介しての作業にも皆で協力し、スムーズな作業が出来るようになった。
5．今後の課題と展望
現在7名の障害者全て、ジョブコーチ支援を経て勤務しており、何か問題が発生すると常にジョブコーチの方に連絡を取り、共に解決しているのが現状である。将来においては、障害者との円滑なコミュニケーションが取れるようになり、企業内で解決できるように努力していかなければならないと実感している。また、彼らの自立心の更なる向上のため、どのような形で業務内容のステップアップをしていけば良いか、これからの課題として構築していくべきと思い、関係機関および家族を交えた話し合いの場を設ける事にも積極的に取組んでいく必要があると感じている。
現在、岡山県の国立吉備高原職業リハビリテーションセンターより、企業連携訓練委託として1名の研修を行っているが、これまでの職業経験もあってスムーズに受け入れが出来、本人も職場の雰囲気にかなり慣れてきており、このままでの直接雇用を視野に入れて研修を進めているところである。
当社における障害者雇用は2年程の実績しかなく、まだまだ多くの課題があると思うが、今後、更なる雇用拡大に繋がるよう、障害者が安全快適に職務に従事できるだけでなく、自身の職務が、事業所概要にも触れたように、人々の生活を支え社会貢献の一端を担っていると実感し自負できるように、職務能力の向上が図れる職場環境の整備にも取り組みを進め、その成果が、全ての従業員にとって快適な職場となり、企業の発展にも寄与される事を期待している。
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