各人の特徴・個性・特性に応じた仕事を提供し、グループ内外で、なくてはならない存在となることを目指す
- 事業所名
- 株式会社ベネッセビジネスメイト
- 所在地
- 東京都多摩市(東京事業所)
岡山県岡山市(岡山事業所) - 事業内容
- サービス業(メールサービス、清掃、総務代行サービス、コピー業務、マッサージサービス)
- 従業員数
- 170人(うち東京116人、岡山54人)
- うち障害者数
- 100人(うち東京69人、岡山31人)
障害 人数 従事業務 視覚障害 6 コピー業務、オフィス業務、マッサージ業務、人事・総務 聴覚障害 10 コピー業務、メール業務、清掃、人事・総務 肢体不自由 11 オフィス事務、メール業務、人事・総務 内部障害 6 コピー業務、メール業務、オフィス事務 知的障害 55 コピー業務、メール業務、清掃 精神障害 12 メール業務、清掃、コピー業務 - 目次

東京本部ビル

岡山本社ビル
- ホームページアドレス
- http://www.benesse-bizmate.jp/index.html
1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
- 会社設立:2005年(平成17年)2月2日
- 事業開始:2005年(平成17年)4月1日
- 資 本 金:5,000万円 ベネッセホールディングス 96%
- テレマーケティングジャパン 2%
- ベネッセスタイルケア 2%
- グループ適用 7社
(2)障害者雇用の経緯(特例子会社設立の趣旨)
当社は、株式会社ベネッセホールディングスの特例子会社である。ベネッセ(Benesse)は、ラテン語のBene(良い、正しい)+esse(生きる)を一語にした造語であり、私たちは、一人ひとりの「よく生きる」を実現するために、人々の向上意欲と課題解決を生涯にわたって支援する企業グループである。
このようなグループ企業理念に立って、働く意思と能力を有する障害者に対し、雇用の機会ならびに能力発揮の場を継続的に提供し、職業的自立と社会参加の支援を行うことは、これからの企業の重要な「社会的責任」であり、また、人のよりよく生きるを支援するBenesse にとって不可欠な取り組みであると考える。
当社は、人権に配慮し、社会的責任を高いレベルで果たす会社を目指すベネッセグループにおいて、より積極的に障害者雇用の創出を図るため、特例子会社として設立されたものである。
2. ビジョンと人事ポリシー、組織体制と業務内容
(1)ビジョンと人事ポリシー
① | 企業理念
|
② | 目指す方向性![]() |
③ | 人事ポリシー ベネッセビジネスメイトの主たる事業は「人」の力を中心とした事業であり、「人」こそが最も大切な資産です。 働く意欲を持った人に対して、個人の持つ能力や適性に応じて活躍できる場を提供します。 またお互い理解し協力できる自立した人材・向上意欲を持って努力し続ける人材を育てます。 |
④ | 社員育成への取り組み
|
⑤ | クレドの作成 2010年4月より全社員の意見を取り入れたクレドを作成し導入した。 「クレド」は、「お客様」「社員」「パートナー」(取引先、家族、支援機関)への約束と定義し、その約束を守り続け「お客様」「社員」「パートナー」から信頼される企業を目指し、社員全員が「クレドカード」を携帯し、さまざまな取り組みを通して、クレドの浸透を行っている。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
(2)組織体制と業務内容
① | 組織体制![]() |
② | 業務内容 以下、2事業所、4拠点で6つの業務を行っており、いずれも、ベネッセコーポレーションのオフィスビル内での業務である。
![]() フロア清掃作業
![]() デリバリ-作業
![]() ICカード入力作業
![]() マッサージサービス
|
3. 立ち上げから現在までの変遷、職場定着の取り組みと効果
(1)立ち上げから現在までの変遷
特例子会社設立当時は、クリーンサービス、メールサービスの業務がメインで、一度に多数の障害者(特に知的障害者)の雇用を進めたこともあり、社員が働きやすいように、物理的な環境の整備、指導員の配置という段階でスタートした。ただし、現場指導員は、業務知識はあっても、障害者と接することは初めての経験という者も多い中、障害の種別や特性、配慮事項など、情報共有が不十分であり、メンバー社員(主に、知的障害者社員を指す)が、毎日7時間、週5日勤務して、業務習得をしていく姿をゆっくり見守るという雰囲気であった。その後、障害者職業生活相談員認定講習の受講や、職場適応援助者養成研修等へ参加し、障害者雇用の知識の習得に加え、日々の現場での経験を通じて、障害特性や、配慮事項などの理解を深める等、体制が徐々に整っていった。
2008年には、OAセンター業務受託に伴い、精神障害や内部障害等、様々な障害をもつ社員も採用し始め、現在では多種多様な障害を持つ社員が働く職場となっている。
2009年以降は、各課の業務を見直し、より市場競争力をもてる動きをスタートし、グループ会社内での戦力化を目指すようになった。クリーンサービスでは、現場指導員を筆頭に専門性のアップ(ビルクリーニング技能士等)、OAセンターでは、委託料金の見直し等、それぞれの業務で、品質アップ、効率化を図っている。また、業務の品質や効率化だけでなく、障害特性を考慮しながら、仕事とのマッチングを行い、人材の育成を推進している。
(2)職場定着の取り組みと効果
① | 各現場での働きやすい環境整備・作業指示等の工夫
![]() (表1)1日の予定表
![]() (表2)報告メモ
|
② | 各種研修制度 専門の講師を招いて、座学だけではなく、現場の業務シーンを想定したケーススタディやロールプレイを取り入れた研修を行っている。
|
③ | ビジネスマナー強化期間の開催 研修で学んだことをピックアップし、「強化期間」として、指導員を中心にメンバー社員への周知、習慣づけを行っている。(表3)
![]() 参考図書:特別支援教育清掃マニュアル
社団法人 東京ビルメンテナンス協会 |
⑤ | 仕事以外でのチャレンジできる場の参加支援 業務におけるスキルアップ、対人対応力のアップ等を目指し、アビリンピック(障害者技能競技大会)への参加を積極的に推進している。また、当社職場見学での発表等もできるだけ多くのメンバー社員が経験できるようにしている。さらに、毎年開催される障害者ワークフェアへも出展し、社員の活躍の機会を創出し、支援することで、モチベーションアップを図ったり、チャリティ駅伝、のど自慢大会、ベネッセグループ会社対応のソフトボール大会へ参加し、会社としての一体感の醸成を行っている。 |
⑥ | 指導員・指導者のサポート(ジョブサポート会の実施) 当社設立2005年以来、障害者社員数は17人から97人(約5倍)へと増えたこともあり、2009年より、現場指導員の様々な悩みを情報共有し、職場改善につなげる為、「指導員定例会」を始めた。発足当時は、メンバー社員に対する不満や愚痴などが大半であったが、メンバー社員の成長した点に目を向けるように意識付けを行っていくことにより、できないところから、できるようになったこと、できることに視点が変わり、肯定的に捉えられるようになってきた。そして、対応方法の提案、助言等、前向きな改善に向けての情報共有ができる場へと変わっていった。 翌年2010年より、指導員を配置しているクリーンサービス、メールサービス以外にも障害者社員が増えてきた為、各課で障害のある部下、同僚と直接関わりのある社員を中心に「ジョブサポート会」と名称を変更し、毎月1回東京・岡山両拠点で開催している。会の中で、各課の改善目標を設定し、チームで達成していくことなどを通じて、指導者同士のコミュニケーションの活性化と、指導方法の統一を図っている。 また、2011年からは、定着推進課員が受講した「職場適応援助者養成研修」の伝達講習や、具体的事例のグループワーク等を行い、指導者個人個人の指導力のアップを目指している。メンバー社員がいかに安定的に、自立して仕事ができるように組み立てていけるか、品質向上のための有効な指導とは何かといった、個人個人の特性や能力に応じた指導方法の必要性を強く感じるようになっている。より一層、指導力の向上を目指し、新しい知識の勉強会、指導ノウハウの共有等、充実した内容を検討していきたい。 ![]() (表4)障害者社員のカウント数
(各年6月1日の数値)
|
4. ベネッセグループに向けての発信、今後の課題
(1)ベネッセビジネスメイト
① | 障害者雇用率の月次集計 ベネッセグループでは、雇用率2%維持を目標に掲げており、毎月の障害者雇用率をとりまとめ、集計し、グループ各社の担当者へ発信を行っている。また、各社へのヒアリングを行うほか、制度改正等に関する情報共有に努めている。今後も、当社はグループの中心となり障害者雇用の促進を図っていく役割を担っていく。 |
② | 新人研修受け入れ 2009年度より、ベネッセコーポレーションの新入社員に対して、弊社での2日間の現場研修を行い、障害者雇用への理解促進とビジネスマナーの実践を図っている。 「相手への思いやりの気持ちをしっかり持った社会人になりたい」「仕事をする上でいろいろな人に支えられていることがよくわかった」「挨拶を率先してできる社員になりたい」等の声を頂いている。 |
③ | その他 ベネッセグループ内で整備されているイントラ、グループ社内広報誌を利用し、グループ社員に向け、当社の取り組みを広報している。岡山事業所では、グループ会社内でワークフェアのような展示を行い、理解促進を図っている。 |
(2)今後の課題
当社の主たる事業は「人」の力を中心とした事業であり、「「人」こそが最も大切な資産である」という理念に基づいている。一人ひとりの能力を見極め、その個人に合わせた育成計画を立案し実行していくことが先ず基本となる。
一方、そのような目標の達成に向けて「人」を育てていくためには、社員の業務習熟度の向上に伴う指導のあり方や強化拡大の方向性の検討・実践が不可欠と考えられる。リーダー・現場指導員についても日々の現場における障害者雇用に関する知識・経験、指導力向上、また更なる業務専門性のアップと新規業務に対する理解をも高めていく必要がある。
当社は、かねてから多様な価値観・能力を有する人が集まる会社としての一体感の醸成に正面から取り組んでおり、2010年から、「お客様」「社員」「パートナー」への約束としての「ビジネスメイトクレド」を導入している。信頼される会社をめざしてサービスの拡充と品質向上の期待に応えるべく取り組む中で、今後、その成果を形としていきたい。
アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてMicrosoft社提供のMicrosoft Formsを使用しております。