ぴゅあの使命障害者社員が働くことにより希望を持ち自己実現出来る“舞台”を継続的に提供し続けること
- 事業所名
- 日総ぴゅあ株式会社(日総工産株式会社の特例子会社)
- 所在地
- 神奈川県横浜市
- 事業内容
新横浜事業所: 親会社の事務請負、昼食・菓子等の販売、名刺販売、バラエティグッズの製作販売、清掃、マッサージのサポート業務 仲町台事業所: 製造請負軽作業、食品加工及び飲料品の製造 - 従業員数
- 82名(2012年2月末現在)
- うち障害者数
- 62名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 1 サーバントチーフ 内部障害 知的障害 53 事務・販売・食品加工・物づくり等 精神障害 8 事務・販売・食品加工・物づくり等 - 目次


1. 設立の経緯と障害者雇用、障害者社員の支援体制
(1)設立の経緯と障害者雇用
親会社の日総工産株式会社は、製造業を中心とした派遣、請負を行う企業であり、顧客先の業務が多いため、障害者の雇用に苦慮していた。
また、法定雇用率の未達の問題もあり、検討した結果、関係機関の指導援助のもと、平成19年日総ぴゅあ株式会社を設立し、同年9月特例子会社に認定された。
創立当初は親会社の業務を切り出し作業していたが、社員の雇用拡大と共に親会社からの業務だけでは仕事量が足りないことと、社員の障害個性により適した業務を担うことで当社に定着できるような業務開拓が課題となり、社外から製造請負の軽作業、自社製品のハーブ&ティの製造販売、食品加工販売、介護施設の清掃、名刺印刷等の業務を開拓してきた。


(2)障害者社員の支援体制
【1】当社を支える社員の呼称について
当社の組織運営の基本「サーバントマネージメント」つまり障害者社員を含め逆三角形の各々上の層の仕事が円滑に行われる様に自らが支援する。
この考え方を具現化する為に当社の社員呼称を2011年度から以下の様に変更した。
① | 障害者社員⇒CS社員:「チャレンジドスタッフ」(前向きに挑戦し続ける障害者社員) |
② | スタッフ社員(指導員)⇒SS社員:「サーバントスタッフ」(障害者社員を単に指導するのでは無くチャレンジ姿勢をサポートする) |
③ | 従来の幹部社員⇒SM社員「サーバントマネージャー」(所属社員を支援する) |
【2】階層別の支援のイメージ図
・・・全ては「チャレンジドスタッフ」を支援する階層の考え方

【3】スタッフ社員の資格取得に対する積極的な支援
当社では障害者社員を支援するため、現在5名のジョブコーチ2(第2号職場適応援助者)が在籍し、併せて障害者職場生活相談員の資格を社長以下全員に取得させている。これにより当社は直接の指導員だけでなく、間接部門のスタッフ社員も含めて全社挙げて障害者社員をサポートする体制を整えている。
【4】当社を囲む「就労支援体制のトライアングル」

【5】会社方針保護者説明会
① 目的: | 家族並びに支援者に対して当社企業活動をご理解頂き、強力なサポーターとなって頂く仕掛けが必要でありそのための「相互コミュニケーション場面」を設営 |
② 内容: | 前年度の会社の活動内容及び当年の年度方針を説明し、会社の実施しようとしている事を理解していただく |
③ 対象者: | 家族・支援者 |
④ 開催時期: | 毎年4月 |
【6】感謝祭
① 目的
- 当社の活動、障害者社員の積極的な働き、当社の製品を全ての関係者に知って頂く。
- 保護者やその他支援者に障害者社員の働いている姿を実際に見ていただく。
② 内容
- 殆どの運用を障害者社員が明るく元気に行なう。自分達の活動の発表会。
- 自分の仕事をパワーポイントで発表する「仕事紹介コーナー」
- 障害者社員の作ったマフィン等の「お菓子販売コーナー」
- 障害者社員がブレスレット等の作り方を指導する「制作体験販売コーナー」
- 新作の「ハーブ&ティ」ギフトの発表や試飲等による「イベントコーナー」
- BGMとして障害者社員がピアノを会場で演奏する
③ 対象者: | 家族、支援者、学校、支援センター、行政や障害者施設の方、老人ホームの方、業務上のお取引先、グループ関係企業、近隣住民の方を含めた一般のお客様 |
④ 開催時期: | 年に1回6月の初旬に2日間 2011年の感謝祭は東日本大震災があった為、同時に「東日本復興支援バザー」を開催し、売上金の一部は、新聞社を通じ救援金とした。 |





2. 人材育成制度
障害者社員の「個性や能力を伸ばす」「モチベーションを高める」ために、下記の制度を導入している。
(1)チャレンジ目標
目的: | 年に1度設定する個人目標は、個々のペースやレベルに合わせたものとなっており、目標達成に向けてチャレンジしていくことを目的とする。 |
内容: | 目標設定は基本各個人で行うが、難しい場合にはスタッフ社員がサポートし、目標を決める。目標達成に向けて奮起するために、思い思いの個性豊かなデザインで作成した「目標カード」をロッカーの扉に貼っている。ロッカーを使うたびに目にすることにより、自分の目標を確認し、達成に向かって励んでいる。 |

(2)賞揚制度
目的: | 事業所相互の融和協力を促進しながら、障害者社員のモチベーションを高める。 |
内容: | 月に一度、スタッフ社員からの推薦をもとに、その1ヶ月間の実績や成長(新しい業務にチャレンジした、お客様や親会社社員から挨拶を誉められたなど)が称えられる機会を設けている。同僚たちの前で毎回必ず社長から直接賞状を授与されることにより、自分自身に対する存在意義を実感するとともに、「上司や会社はあなたの働きをきちんとみています!」というメッセージを伝えている。毎月、事業所ごとに1名以上の社員を選出している。 |

(3)マイスター制度
目的: | 各業務のスキルアップを目的として、業務の技術レベルを設定する制度。 |
内容: | 各業務の小項目を全てクリアすると、その業務のマイスターとして認定される。業務の種類は、ナプキン折り、食品加工、ハーブ&ティ製造、清掃、菓子販売、パソコン技術など。 現在、パソコンマイスター、食品加工マイスターが各1名、認定されている。 |

(4)リーダー・サブリーダー制度
目的: | 責任ある職務につくことで、責任感と積極性を持って仕事に臨むことを目的とする。人事上の制度のため、手当てを支給している。 |
内容: | 決められた業務の範疇で仲間を直接サポートできる社員を登用している。 |
【リーダー】新横浜1名、仲町台2名
スタッフ社員から指示を受けて、業務をスケジュール通りに実施する。5人程度の障害者社員の仕事を支援できる技術力を持つ。
【サブリーダー】新横浜2名、仲町台4名
3人程度の障害者社員と共に業務ができる。スタッフ社員の指示のもとに業務の遂行を行う。
3. 業務紹介、地域貢献活動
(1)業務紹介
【新横浜事業所】
【1】業務の概要
新横浜事業所の業務は大きく分けて親会社からの委託業務、販売、清掃の3種類の仕事である。いずれも人と接する事が多い業務の為、コミュニケーション能力の高い特性を持った障害者社員が担当している。
【2】業務の内容
① 親会社からの委託業務
- 回収作業(ペットボトルキャップ、溶解紙、布きん 等)
- 給湯室清掃
- お客様や会議へのお茶出し業務
- 宅急便やメールの仕分け配達
- 植木水やり・書類のファイリング作業
- 年末調整書類仕分け発送
- 音声録音からのテープ起し
- PC使用による各種データ入力、処理
- コピー用紙補充
- タイムカード印刷及び配達
- 都度の親会社よりの業務請負
② 販売業務
- 本社ビル内、養護学校、老人ホーム、他企業での『ハーブ&ティ』『お菓子』『パン』販売
- 販売商品・備品・金庫の準備
- 商品陳列
- 販売・接客(金銭授受を含む)
- 販売高集計・在庫チェック
- 名刺作成、販売
- 名刺データ抽出
- 印刷・検品
- カット
- 納品書・発送伝票作成
- 包装・発送
- マッサージの受付業務(親会社社員を対象に福利厚生の一環として導入しているマッサージ施術時の予約管理、当日の受付等のサポート業務)

③ 清掃業務
- 老人ホームでの各種清掃
- 居室、風呂、トイレ、共有スペース 等の清掃
- 施設内備品の補充


【3】業務の特徴
新横浜事業所の業務の特徴は少量多種業務を複数のチームが手分けして行うところにある。
各チームが担当職場を巡回して作業を行う体制としているが、同じ作業の繰り返しにならないよう、業務をローテーションで変えることにより障害者社員がチャレンジできる工夫を図り、モチベーションを高めるよう配慮している。
【仲町台事業所】
【1】業務の概要
仲町台事業所の業務は、大きく分けて、請負軽作業、ハーブ&ティ、食品加工の3種類の仕事である。全般的に重度の障害を持つ(職業上の重度判定者を含む)社員が多く、コミュニケーション能力の不足による対人関係を苦手としているが、各人の特性により集中力の高さ、五感の鋭さ、単調さの中での持続力等、各位の長所(持ち味)を大いに発揮し、日常の業務を遂行している。
【2】業務の内容
① 請負軽作業部門
- ボールペン、シャーペンの組立と検品・箱折り、箱内体作成
- 多色ボールペンの替え芯袋詰め作業
- カタログ、DM発送・電子部品の組立と検品
- 袋への封入、梱包・封入、封緘、ラベル貼り作業
- 乾電池式携帯用充電器電池入れ、検品・衣料品のボタン付けと検品
- アンケート集計


② ハーブ&ティ部門
- ティバッグフィルターのカット、シーラー止め・パッケージカット、リボン付け
- 茶葉の軽量とティバッグへの詰込み・各商品の種類毎に箱セット
- 茶葉詰めのティバッグのシーラー・包装作業、出荷準備・パッケージへの封入シーラー
- 棚卸作業
③ 食品加工部門
- 調理パンの加工・調理の下ごしらえ
- 調理パンの袋詰め包装
- 洗浄と消毒
- マフィンケーキの製造
- 清掃・あられの袋詰め・棚卸作業
(自分の調理したパンを販売する事によりお客様に喜ばれる事を体験するために毎週1回一般顧客に直接販売をしている)




【3】業務の特徴
① 請負軽作業部門
- 複数の外部業者と取引をしているため、受注する作業の内容、数量、納期が常に変動をおこす環境にある。そのため、スタッフ社員は障害者社員の個々の能力と特徴を把握して作業工程を作り、直接の作業説明指示又は治具を作製して活用を図り、障害者社員へ細かく指導を行っている。
- 障害者社員の業務スキルにはバラツキがあるため、難易度の高いもの、中度、軽度、検査のような細かい業務等、障害者社員各位にジョブマッチさせる方向で業務シフトを編成している。
- これにより最近では客先からの信頼度が向上し、難易度はあるが単価の高い業務の受注も増えつつある。

② ハーブ&ティ部門
- 中元、歳暮のギフト時が繁忙期であり、通常期においては在庫の作り込み及び他部門の業務の応援に回り、業務量のバランスを取っている。
- 多能職社員化の推進を目的に部門間での障害者社員の相互乗り入れ応援は、各部門の業務量と各障害者社員のスキルと能力を合わせ、柔軟に対応を図っている。
③ 食品加工部門
- 調理台、調理器具、その他備品類の洗浄消毒作業を毎日徹底し、安心の持てる衛生管理を行っている。
- 昼食時の各販売業務の時間を考慮し、勤務時間を1時間早くしている。
(2)地域貢献活動
「横浜型地域貢献企業」認定
横浜市とIDEC((財)横浜企業経営支援財団)が、本業及びその他の活動を通じて、地域貢献活動に取り組んでいる企業を、一定の基準の下に「横浜型地域貢献企業」と認定する制度。平成21年3月に横浜市より最上位企業として認定された。
認定されたことにより、地域に貢献する企業で働くという社員のモチベーションUPに結びついている。また、2年ごとに実績が監査されるので、CSR活動と地域貢献を意識した企業活動を行うよう、日々意識し実行している。

「2010 日本APEC」への協賛
2010年11月に横浜で開催された日本APEC(アジア太平洋経済協力)協賛企業に認定。国際メディアセンター(プレスセンター)にて当社が製造販売を行っているハーブ&ティ『ぴゅあたいむ リフレッシュ(癒し)』を会期中各国の報道スタッフに試飲頂いた。
障害者社員の製造した「ハーブ&ティ」が国際会議で出され、世界各国の方に飲んでいただいたことは、仕事への大きな自信となっている。


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