グループ全体の競争力強化に貢献
- 事業所名
- 日東ビジネスサポート株式会社亀山事業所
- 所在地
- 三重県亀山市
- 事業内容
- 福利厚生サービス業
- 従業員数
- 269名(2012年1月16日現在)
- うち障害者数
- 15名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 3 検査作業、梱包トレー洗浄・巻芯洗浄・古紙リサイクル 肢体不自由 3 クリーニング、洗濯、清掃 内部障害 知的障害 8 通い箱洗浄、段ボール組み立て、クリーニング、緑化 精神障害 1 清掃 - 目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
日東ビジネスサポートの沿革は、1968年4月25日に日栄興産株式会社として創立され、翌年1969年に亀山事業所が開設された。2000年4月1日に日東ビジネスサポート株式会社へと名称を変更し、亀山事業所において2004年から製造請負を開始した。
「日東電工グループのトータルアウトソーサーとして高品質なサービスを提供」し、「すべてのお客様に喜ばれ、感謝されるサービスを提供する」会社として設立された。
本事業所は、「日東電工グループの一員として、グループ業務を受託するとともに、福利厚生他、多岐にわたるサービスを提供し」、「『日東ビジネスサポートの企業品質は人の品質』をモットーに、正確、誠実、タイムリーな業務の遂行と、お客様に感謝されるサービスの提供」を目指している。
「お客様への感謝を忘れない会社である」ことを心がけ、「変化するグループ及び社会において、存在価値の高い会社になるよう総力を挙げて邁進」すると宣言している。
事業内容に関しては、「私たち日東ビジネスサポートは、日東電工グループのアウトソーサーとしてグループ全体の競争力強化に貢献」し、「生産性の向上や安全性の追求、環境への貢献といったことはもちろん、私たちはすべてのお客様に喜ばれ、感謝されるサービスの提供を目指します」と事業を紹介している。
日東電工グループのビジネスから社員のくらしまでをトータルにサポートするとともに、トータルコストの削減にも貢献している。
環境安全事業として、警備保安、リサイクル、営繕、緑化があり、製造サポート事業として、製造請負、設備メンテナンス、資材受入・運搬、倉庫管理を行い、オフィスサポート事業として、事務業務受託(総務、人事業務)、メール業務、人財派遣、電話交換、受付などを展開し、ビジネスライフサポート事業として運転業務(役員、従業員送迎)、旅客チケット手配などを行っている。
さらに、従業員のライフプランのサポートとして、パーソナルサポート事業(生命・損害保険、財形貯蓄、持株会、マイカーリース)や福利厚生事業<EAP:employee assistance program>(独身寮・社宅管理、食堂・売店運営、住宅サービス【家探し、引越し手配】)も進めている。
経営理念として、「新しい価値を創り出して皆の幸せを求めよう」が掲げられている。
(2)障害者雇用の経緯
日東電工グループは、障害者雇用に関して、「積極的な採用と障害に合わせた職場環境の整備」を行い、2000年5月に設立した障害者雇用特例子会社である日東電工ひまわり株式会社を中核として、障害者雇用を積極的に推進している。
日東電工ひまわり株式会社では、障害者の採用とともに、地域の特別支援学校・ろう学校生に対する就業体験実習の受入も実施し、「今後もグループ一体となって、さらに障害者の採用を積極的に進めるとともに、障害者の人々の活躍の場を広げるために、職業環境の整備を進める」と積極的な姿勢を明示している。
さらに、日東電工グループにおける障害者雇用は、「日東電工ひまわり株式会社」の特例子会社における取り組みだけに留まらない。国内グループ会社の1社としての日東ビジネスサポート株式会社は、各事業所において、主に日東電工グループの福利厚生業務や付帯関連業務を受託している。とくに亀山事業所においては、障害者雇用に関連して、その中心的役割を果たしている。
すなわち、障害者雇用促進に関し、日東電工株式会社亀山事業所から日東ビジネスサポートに事務局機能が委託され、グループを含めて全体で取り組んでいる。障害者雇用促進事務局会議、障害者雇用促進全体会議の開催及び進行、亀山事業所全体の障害者採用の窓口、関係機関との連携、各職場の意見、要望等のとりまとめに関わり、事業所全体の旗振りの役割を請け負っている。
日東電工グループが自社の問題として、障害者の法定雇用率1.8%以上を定めた障害者雇用促進法の改正にともない、企業の社会的責任に正面から取組み、亀山事業所においては、2008年9月から活動を開始した。当初はトップダウンで始めたが、その活動に当たり、2段階の目標を定め、2011年3月までに2.0%+αをめざし、2013年3月までに亀山事業所の職場配属率100%を目指すことにした。
基本理念は、自立への意欲ある障害者を支援し、地域社会に貢献すること及び障害者が障害のない人と共に仕事を通じて生き活きと能力を発揮し挑戦できる環境を整え、社会に参画する機会を提供することである。さらに、「一人ひとりが心のバリアを無くし、一体感のある職場作り」をスローガンとして推進している。
障害者雇用は初めてのことであり、前事業所長の木下さんが担当し進めることになり、11年間授産施設での経験のある青木さんを加えて出発した。まず障害者雇用を始めるにあたり、仕事と障害のマッチング、出来る作業の創出のために、データベース化に取り組んだ。それぞれの職場に出向き、どのような仕事があり、障害者の出来る仕事かどうかを尋ね、障害者が出来ることを調整することに努めた。
また同時に組織作りも進めた。各事業部との連携を図るために、障害者雇用促進事務局会議が日東電工亀山事業所長、統括(日東電工亀山事業所総務)、事務局(日東ビジネスサポート亀山事業所)で構成され、月1回の企画の方向付けを行うことにした。
また、障害者雇用促進会議体として、障害者雇用促進全体会議が各部署の窓口担当者と上司から編成され、2ヶ月程度に1回の割合で活動報告と懸案事項等の討議を行い、雇用受入窓口相談を該当部署担当者と事務局が受け持ち、求人相談や受入障害者相談、対応相談等を随時開催し、情報の共有化を図った。
さらに、障害者職業生活相談員資格取得により雇用の定着、推進を図るようにし、8部署に11名の障害者職業生活相談員(うち日東ビジネスサポートは4名)を配置している。関係機関からの情報収集や情報提供を行うとともに、実習の受入れも行い、職場環境の整備を行いながら、人財の募集と人財の導入を図り、亀山事業所全体の障害者雇用率の推移は、2008年9月で14名(17カウント、0.9%)から出発し、2010年3月には1.85%で法定雇用率をクリアし、2011年3月の段階で目標であった2.0%+αを達成して2.51%になり、2012年1月10日に2名増えて2.56%である。
職場配属率は、85.7%で、14の対象職場に12の配属職場であり、2013年3月までに第2の目標である職場配属率100%をめざしている。
2. 取組みの内容
上述の通り、日東ビジネスサポート株式会社が中心となって、障害者雇用が運営され、それが日東電工亀山事業所全体にも広がっているといえる。
職場開拓のための各事業部において障害者のできる作業の創出を進め、全事業部を巡回することによって可能な作業を抽出し、データベース化した。毎年、見直しも行い、また新たな作業・職域の拡大も図っている(例:2011年3月にスタートした古紙リサイクル作業の導入)。
また、職場定着、推進を図るための障害者職業生活相談員資格取得に関しても、積極的に受講を薦めている。
求人に関する基本方針として、職場環境については、障害のない人と共に働く環境を整備し、労働条件に関しては、就業規則、賃金規則、退職金規則等の規則整備を行い、給与条件は、三重県の最低賃金以上、年1回昇給、年2回賞与を目指している。身分としては、常用雇用で、準社員または契約社員であるが、正規登用の道も開かれている。
原則一人で通勤できること、6時間以上働くことができること、身辺自立していることが応募条件である。採用条件としては、トライアル雇用制度または試行訓練実施後に就労可能と判断されることがあげられ、鈴鹿、津、四日市ハローワークでの求人募集を行っている。
募集と採用に関しては、「採用・定着のためのフローチャート」が作成されており、求人・採用の流れとして、選考基準としての書類選考・面接、基礎学力調査、実務試行が行われ、事務局が定着のサポートと支援機関との連携を進め、各部署は受け入れ準備、作業指導、定着支援を担当している。
最終判断は、職制長と事務局構成メンバーが受け持っている。本採用になると、事務局が定着サポートを実施し、各部署に雇用される。この段階で日東電工グループ各社の総務は、処遇の決定を含む採用手続きを済ませ、助成金の申請手続きも行う。定着サポートの3ヶ月間は、各採用者に応じて、月1回以上の訪問・面談を行い、3ヶ月以降は必要に応じて対応している。また、支援内容についての個人記録も作成される。
日東電工グループ亀山事業所全体では、ビジネスサポートを含めて31名の障害者(女性11名、男性20名)が雇用されている。このうち、日東ビジネスサポートの障害者15名の年齢構成は、20歳未満(2名)、20~30歳未満(6名)、30~40歳未満(1名)、40歳~50歳未満(5名)、50歳以上(1名)であり、女性5名、男性10名であり、亀山市7名、鈴鹿市7名、四日市市1名となっている。
配属先は、製造支援関連では、通い箱洗浄(知的1名、重複1名)、段ボール組み立て(知的1名)、梱包トレー洗浄・巻き芯洗浄作業・古紙リサイクル(身体1名)、クリーニング(知的2名、身体1名)、洗濯・清掃作業(知的1名・身体1名)、清掃作業(精神1名)の他、検査作業(身体1名)、受託関連での緑化作業(知的1名)及びクリーン工場における清掃作業(知的2名、身体1名)となっている。それぞれの特性に応じた職場配置が、トライアル雇用段階から検討され、最終的な配属となっている。
職場における工夫には、分かりやすい手順書の作成、身体への負担軽減のために姿勢の保持を可能にするよう肘置き台や足置き台の制作などがあり、また5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を指導するために、悪い見本と良い見本を可視化し、使ったものは元の場所に片付けようと提示している。
各種助成金を活用して、身体障害者のために床面をフラットにバリアフリー化したこと、清掃作業時の効率アップのためにショルダー掃除機を導入したこと、シュレッダー室での一人作業時の安全確保のために、作業員常駐職場への連絡用ランプを設置したこと及び、引き戸のドアを横開きに改修したことがあげられる。さらに、3人の聴覚障害者のために地震予知速報伝達手段を取り入れ、緊急速報が配信されると画面表示・専用着信音・バイブレーションでお知らせが可能な携帯電話を導入して、災害時の安全確保を向上させた。また、下肢障害者の避難対応のために2階から1階への階段に、非常用階段避難車を完備し、その実施訓練も行うことができた。



日常生活の留意点として、知的障害者に対しては、連絡帳によって提出書類、通院状況の確認、休み連絡などの必要事項を確認し、事業所の決まり事を意識づけるようにしている。身体障害者に対しては、通院状況の確認、持病の状況の確認がなされる。精神障害者に対しては、服薬、通院状況の確認、睡眠の状況、妄想・幻聴の確認をするとともに、産業医・看護師・専門トレーナーとの連携も心がけ、きめの細かい対応をしている。それと同時に、問題解決のために、就業・生活支援センターや障害者職業センター等の関係機関と連絡をとり、保護者との連絡を取り合っている。
障害者同士のコミュニケーションとして、親睦旅行、花見、忘年会旅行などの日帰り旅行や、バーベキュー、三重県障害者スポーツ大会、日東電工グループがメインスポンサーとなっている大阪国際女子マラソンにバスツアーで参加するなど、積極的に行っている。さらに保護者の懇親会も年1回開催されている。また、入社3ヶ月後のトライアル雇用終了後には昼食懇親会が開かれ、新人研修では分かりやすく事業所を説明している。これらの交流を通じてお互いを理解し合える環境づくりをし、聴覚障害者の研修では手話通訳もつけている。
障害についての理解を深めるために、DVD鑑賞による事例紹介や講演会の開催、企業・施設訪問を実施し、問題のある場合には、職場担当会議の開催、個別面談等で対応している。
3. 取組みの効果、今後の課題
(1)取組みの効果
障害者雇用に関して、事業所全体の取組みが積極的、組織的に実施されており、とてもきめの細かい対応がなされている。このような取組みの成果が障害者雇用率の向上に現れている。2012年1月現在で2.56%に上昇したこと、そのことにともなって亀山事業所の従業員に社会的責任の意識づけが浸透しつつある。日東ビジネスサポート株式会社は、全社への横展開を進め、亀山事業所と東北事業所をモデルとして障害者雇用促進計画を展開している。亀山事業所では、これまでの実績により、相談件数の増加、職場実習の受入、その結果として就労希望者が増えている。従業員からの相談や、障害をもたれたお子さんの諸手続の相談や相談先の機関の問い合わせもあり、また就労している障害者を見て、我が子と重ね合わせて見守っているとの励ましの連絡もある。こうしたことから、日東電工グループの生産性のアップに寄与すると同時に、リユース、リサイクルの観点から廃棄物などの削減にも寄与している。
毎月、職場紹介の中で障害者の活動の報告を行っており、障害者自身のコメントを載せている。「高い目標を設定してそれを達成したい」、「できるか不安だったができるようになりこれからも頑張る」との抱負を述べ、「やりがいのある仕事にしたい」という人もあり、「力を入れた掃除は大変だけれどきれいになると嬉しい」と仕事の喜びを話している人もいる。
(2)今後の課題
環境改善の他、作業の切り出しによる作業提供、避難時の誘導等、現場の協力の下で障害者雇用の促進が進んでいるのが実情のようである。
今後は、雇用促進のテーマとする「障害をもつ人と当たり前に働いている事業所」をめざし、各々の障害に合わせた指導方法の工夫や環境整備を行いながら、能力アップに努め、雇用継続はもとより会社に貢献できる人財の育成に努めていきたいと考えており、職業コンサルタントの青木さんに専門的なアドバイスを受けながら、今後の取組み方法を検討している。
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