地域に根ざして・人(障害者)も・会社も・商品も・自立型企業を目指す。
- 事業所名
- 株式会社協和精工
- 所在地
- 長野県下伊那郡
- 事業内容
- 精密部品・電気機器の製造販売
- 従業員数
- 125名
- うち障害者数
- 5名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 1 機械オペレーター 肢体不自由 内部障害 知的障害 4 機械オペレーター補助 精神障害 - 目次

- ホームページアドレス
- http://www.kyowaseiko.jp/
1.事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
昭和39(1964)年10月有限会社協和精工として創業し、昭和41(1966)年7月に株式会社協和精工に組織変更した。光学・省力化・半導体・液晶等の各種産業装置機器の分野で精密機械加工品・組立等を手掛け、昭和48(1973)年頃より大手メーカーの委託生産として行っていた電磁負作動ブレーキ&クラッチを平成16(2004)年に協和精工ブランド自社商品化した。
平成19(2007)年より国内の少子高齢化社会を視野に入れ、医療機器分野、介護分野での機器部品へ参入し、最近では顧客からの部品加工を含んだユニット組立も会社の新しい柱の一つとして目標を決めた。その一つとして防災機器関連の分野に進出し、日々技術の研鑽と日頃の地道な職場改善活動を(小集団:ホットサークル活動/改善提案等)通じて、スリムで強固な企業体質、経営の見える化を進めながら、社員一人一人が「いい会社をつくろう!」のスローガン(企業理念)のもと、「私たちは輝きのある、自立型企業を目指します」との経営理念をもって歩み続けている。
また、当社が生産拠点を置く高森町は「干柿の高級ブランド『市田柿発祥の里』」として知られ、長野県伊那谷南アルプスの麓のすばらしい自然環境の南信州に位置しており、従業員一人一人が自然に育まれた豊かな心と、自然の厳しさに耐えぬく忍耐力を備え、企業活動を通じ、お客様に信頼されるものづくりと、サービスの向上に日々努力し成長し続けている。
(2)障害者雇用の経緯
常日頃より、社長は障害者雇用については問題意識を持っていたが、どの様な仕事に従事できるのか、また受け入れ側の社内の体制はできているのか等、結論が出ていなかった。
その様な中で、地域貢献の一つとして、平成10(1998)年頃から地元高森中学校の職場体験学習の受け入れを行っていたところ、平成16(2004)年春に県立飯田養護学校より高等科生徒の職場実習の依頼があった。会社としても知的障害者の職場実習は初めてのことであったが、経営者の「障害者も我々と同じ仲間」であり、また受け入れる側、関わる社員、そして障害者も共に自立して貰いたいとの強い思いで、職場実習の受け入れが実現した。
同年6月の職場実習生は高等科3年のYさんであった。Yさんは一般就労を見据えて3週間、夏休みの間も本人の希望で実習を行い、秋には来年度の入社を前提とした見極めの実習(3週間)を行った。そしてYさんの「この会社で働きたい」との熱い思いに応える形で翌年、平成17(2005)年4月1日に採用することとなった。ここが障害者(知的)雇用の始まりとなっている。なお、現在も飯田養護学校からの職場実習の受け入れは継続して実施している。
その後は地域の就労支援機関の代表者からの声かけがあり、ハローワーク、飯伊圏域障害者総合支援センターとの連携を取りながら、飯田養護学校を卒業し他社にて就労したものの仕事量の減少等で、退社を余儀なくされた人達を含む数名の雇用を行い、現在はYさんを含め知的障害者4名と、聴覚障害者1名の計5名が働いている。
2.取り組みの内容
(1)採用方法
採用については、①飯田養護学校の数回にわたる職場実習の結果と、希望による方法、②地域の就労支援機関の代表者からの声かけからの方法により対応している。
採用に当たっては、養護学校の先生、就労支援機関の代表者、本人及び会社関係者を交えての当社の会社見学や面接を実施し、その後はハローワーク、障害者総合支援センターと連携を行い採用へと進めてきた。
(2)障害者の業務・職場配置
前述の障害者雇用の経緯にて紹介したYさんは、飯田養護学校の時の実習職場と同じ本社工場の機械加工部門(加工係)へ配属した。仕事内容も実習時より、レベルの高い単能旋盤で機械操作をして金属部品の脱着作業から始めた。今ではある部品の加工段取り・切削加工・検査・梱包等を責任と自信を持って行っている。また、業務遂行援助者が、日々の作業の指導、指示や相談を行ってきた。
その後、採用した人達は、当社の会社見学や面接により各部門へ配属し、県技術専門校による障害者委託訓練(実践能力習得訓練コース・期間3ヶ月)の受託による職業訓練、その後ハローワークによるトライアル雇用(期間3ヶ月)の合計6ヶ月を経て常用雇用とした。また、採用時から個人毎に担当する業務遂行援助者が、日々の作業の指導、指示や相談を行っている。障害者委託訓練・トライアル雇用の期間内にて生活面、仕事面での見極めも行っている。
Yさんの採用後に採用した知的障害の3名(Oさん・Tさん・Kさん)も、NC旋盤やマシニングセンター等の機械操作をして部品の脱着作業を主に行い、既に自分で加工段取りができる人も少しずつ出てきている。特にKさんは女性としては会社で初めて、マシニングセンターでの部品の脱着作業を担って貰っている。配属した職場内では、「皆同じ仲間」を同僚が意識して常に声かけをしている情景が見られる。
また、障害者職業生活相談員1名を配置して、業務遂行援助者からの情報の入手、障害者への声かけ、個人面接を通して働きやすい環境づくりを行い、状況に応じて障害者総合支援センターのワーカーさんに出向いてもらって共に相談を行っている。


3.取り組みの効果、今後の展望
(1)取り組みの効果
会社では「いい会社をつくろう」、そして「輝きのある自立型企業を目指す」ために「人としての成長」が大切とし、全社員が参画できる職場改善活動を実施している。障害者も全員が日々の業務の中に組み込み参加して、他の職員と共に活動をしている。活動に参加することで、障害者雇用の取り組みの効果が出てきている。その様子を以下に紹介する。
① | ホットサークル活動・・(現在は20サークルあり)知的障害者4名もそれぞれ別のサークルに所属し、そのサークルにおいて職場内の業務での問題を「皆で話合い・改善する・そして定例全社発表会にて発表して社員全員が共有化を目指す」に参加している。平成24(2012)年2月の発表会では、Tさんは発表者に選ばれて全社員の前で堂々と発表した。(写真右) Tさんもずいぶん成長して、少しずつ自立したな・・と感じた。 |
② | 改善提案・・個人毎に日頃の自分の仕事や、職場内での仕事を少しでもより楽に、正確にできるように改善をすることが目的で、月1件の提出義務があり、障害者もそれぞれの改善を実施し提出している。提出する物が無くて困った時は、担当する上司等が個人と共に考えて貰っているので、こんなこともお互いの信頼関係や本人のやる気に繋がっている。 障害者と共に一日を過ごすある職場の皆さんからは、障害者の入社後はこんな職場変化があったと言ってくれる。 |
- 一人一人への思いやり、気遣いができるようになった。
- 障害者が一生懸命に作業する姿を見て、職場の人達が前向きになってきた。
等々
一方社外へ目を向けると、電車好きなTさんは、平成23(2011)年12月に県内の広域ブロックで開催された「南信ブロック障害者就業支援ネットワークセミナ-・・働く、働きを続けるためにできること・・」のシンポジウムで、当事者として「入社の動機・仕事のおもしろさ・何故僕は働くのか」を発表し、最後に「一週間頑張って働いて、そのおかげで休日は電車に乗れる、だから僕は協和精工で働くことが大好きです」と締めくくった。当日は当社の社長も企業シンポジストとして当社の障害者雇用の取り組みを発表した。この様な会社の内・外の出来事や活動の様子は、コミュニケーションツール「社内報(月1回発行)」や協和精工ホームページ(http://www.kyowaseiko.jp/)のブログにて紹介している。


(2)今後の展望
それぞれの障害者が、入社後仕事を覚えながら職場のみなさんと、共に助け合い、共に共感し、お互いをより深めて、一人一人が自立をして来た姿を見た時、本当に障害者雇用を進めて来たことが、社員のモチベーションアップにつながり、障害者の関係者や地域に貢献できたと思っている。
先日(平成24(2012)年11月)も飯田養護学校の職場実習があり、今回初めての試みとして、障害者が実習生を数日間指導する場面があり、指導を受けた実習生は精一杯の頑張りで対応していた。この様に会社に係わる全ての人達が、「輝かしい自立型企業を目指し」を合い言葉に、障害者が自立して活躍できる、職場を提供し続けることは、当社の使命である。
アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてMicrosoft社提供のMicrosoft Formsを使用しております。