事業所名

株式会社日本タクシー

所在地

岐阜県岐阜市

事業内容

タクシー、介護タクシー、観光・送迎バス、自動車教習所、有料駐車場

従業員数

480名

うち障害者数

10名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害
肢体不自由	6	タクシー乗務員、配車係、駐車場清算業務
内部障害	4	タクシー乗務員、運行管理者補助者
知的障害
精神障害

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 雇用の状況
3. 今後の課題

事業所外観

1．事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

株式会社日本タクシーは昭和25（1950）年に会社を設立し、現在では一般タクシー(中型車)のほかユニバーサルデザインタクシー、車いす専用タクシー、寝台車、ジャンボタクシー等を200台、また、観光・送迎バス（大型、中型、小型、マイクロ）を70台保有する県下最大手のタクシー会社である。

タクシー事業では、岐阜市内を中心に隣接する各務原市、本巣市、瑞穂市を営業エリアとし、バス事業については岐阜県のほか愛知県内に営業所をもち、安全・親切・丁寧をモットーに移動・観光など輸送のあらゆるニーズにお応えしている。

近年では、介護が必要な高齢者のケアプランに基づく移動手段として、介護保険の適用が可能な「介護タクシー」、指定の講習を受けた乗務員が妊産婦、乳幼児から小さなお子さん及び保護者の移動をお手伝いする「子育てタクシー」、岐阜市消防本部の認定を受けた乗務員が通院、退院、一時帰宅を手助けする「患者等搬送事業」さらには岐阜市より委託を受けた「コミュニティバス」の運行など、既存のタクシーやバスが提供してきたサービスの枠をさらに拡大し、より多くの皆さまが「安全に安心で快適な移動空間」を利用できるよう社員一丸となって取り組んでいる。

また平成24（2012）年度には、平成28（2016）年度からの無線のデジタル化に向けた早期対応として、各務原配車センターを本社に統合するとともに、デジタル無線及びカーナビゲーションの全車導入をすすめ、より効率的な稼動ができる体制を整えた。

その他、自動車教習所、自動車整備工場、有料駐車場など車に係わる多種多彩なラインアップで事業を展開している。

（2）障害者雇用の経緯

当社は設立以来60年を経過し、障害者の雇用については、およそ40年以上前（昭和46（1972）年）から取り組んでいる。

障害者の就労については、「障害者にタクシー乗務員はできない」と決め付けるのではなく、「タクシーに乗務するのは本当に不可能か？」、「どんな工夫や仕組みを作れば乗務できるか？」を考え、積極的に採用を行ってきた。

一般的に、「タクシー会社の社員」というと全てタクシーの運転手だと思われがちであるが、お客様から電話を受け、タクシーに指示を出す「配車オペレーター」、あるいはタクシーが安全に運行するために、選任が義務付けられている「運行管理者（およびその補助者）」など必要な人材は多岐にわたる。

初めての障害者の採用から現在まで、途切れることなく障害者の雇用が続いており、今後も引き続き戦力として積極的に採用をしていきたいと考えている。

2．雇用の状況

（1）タクシー乗務員

①  免許、車輌について

カーナビを全車に搭載

指令センターの配車システム

②  勤務形態および処遇について

（2）その他従業員

タクシーを走らせるためには、付随するいくつかの業務が存在する。

その1つに、運行管理業務がある。

勤務時間の管理、乗務員各自の健康状態の把握をはじめ、車輌が安全に運行できるよう指導・管理をする立場にある者が運行管理者である。指定の講習を修了した者は選任された後、運行管理者（営業所長）の補助業務にあたることができる。長年タクシー乗務員として活躍した後、講習を受け70歳以降もその経験を生かし、精力的に勤務する障害者もいる。

また、配車オペレーターとして活躍する人もいる。

丁寧な電話応対やタクシーへの的確な指示は生命線ともいえる。地理に詳しくなければ従事できない業務であったが（以前はタクシー乗務の経験が必要であった）、タクシー搭載のカーナビに連動した最新の配車システムでは、パソコン入力が可能であればタクシー乗務経験のない障害者であっても仕事に従事できる。

当社では、タクシー事業のほかにバス事業、有料駐車場など多角経営を展開しており、それぞれの現場で営業、料金清算係りとして障害者が活躍している。中には勤続25年以上の人もおり、定着率は非常に高いといえる。

3．今後の課題

障害者の定着率の維持および向上を図るために、まだまだ当社では改善すべき点も多い。

新設の営業所においては、障害者に配慮した駐車スペースやトイレの設置をしているが、既存の営業所の中には築30年を経過した建物等も多くあり、必ずしも障害者が満足して働いていただける職場環境とは言い難い。

今すぐにすべての営業所等を障害者が安心して働けるようにリフォームすることはできないが、助成金などを活用しながら、より働きやすい職場環境の整備を徐々に進めていくことで、障害者が活躍できる場を拡大していきたい。

また現在当社では、乗務員が不足しており、採用・雇用が緊急の課題となっている。従業員も高齢者が多くなり、70歳での契約満了を迎える人が、1年におよそ10名にのぼる。この従業員を補充するためにハローワーク、民間の職業紹介所及び新聞等の求人広告などあらゆる方法を利用して、従業員を募集しているものの応募はわずかである。

「障害者には、タクシー乗務員はできない」と思われがちであるが、当社では6名の障害者が活躍しており、「できない」ではなく「できる」というのが実感であり、現実である。

タクシー乗務は、未経験であっても自分の体調にあわせ、自分のペースでできる点では、障害者に向いているといえる。もちろん頑張っただけの収入も得られる。

これらのことをより多くの人達に知ってもらえるよう積極的に情報発信をし、従業員（乗務員）の確保につながればと考える。

乗務員以外の分野でも働くことができる職種は多いので、募集・採用・職場…どんな場面においても、障害者だからと区別しない環境づくりを推進し、障害者雇用を進めていきたい。