事業所名

三重銀行

所在地

三重県四日市市

事業内容

銀行業(普通銀行業)

従業員数

常用雇用労働者数      1,129人
短時間労働者数            303人

うち障害者数

21人(うち重度11人)

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚障害	8人(うち重度6人)	手形交換、パソコン入力、清掃、メール便仕分け等
肢体不自由	7人(うち重度3人)	システム関連、融資事務、調査業務補助、依頼書確認、清掃、印刷業務等
内部障害	4人(うち重度2人)	本部、法人営業部、支店の役職者、関連会社出向
知的障害
精神障害	2人	調査業務補助、関連会社出向

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの内容
3. 取り組みの効果、今後の展望と課題

事業所外観

1．事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

当事業所は、1895(明治28)年11月15日に四日市銀行として設立され、その後三重県内の複数の銀行と合併しながら、1939(昭和14)年12月に現在の三重銀行に行名を改称した。1995(平成7)年11月には創業100周年を迎え、地域と共に歩む「地元の銀行」として、地域社会の発展とともに今日の基盤を築いてきている。

地域とともに発展する銀行、お客さまとともに栄える銀行、株主・従業員とともに歩む銀行を経営理念とし、三重県をはじめ愛知県、東京、大阪に合計75の支店を有し、31の法人営業部、13のローンプラザを営業拠点としている（2012年12月現在）。

2012（平成24）年からは新しい中期経営計画「信頼と共感  第Ⅱ章」(2012年4月〜2015年3月)がスタートし、引き続き目指す姿を「地域に広く深く根を張り、親しまれ信頼される銀行」と規定し、地元での営業力を一層強化することで、地元の役に立ち、存在感を高めることを目指している。

それぞれの拠点では、担当するお客さまや職員の職務を明確にすることで、お客さまの高度化するニーズへの対応力を向上させ、ノウハウやスキルの蓄積も進め、これをさらに進化させて、お客さまのお役に立つ提案を積極的に行うことを目指している。

長期目標としては、地元三重・愛知における業容の拡大、収益力向上を通じた財務体質の強化、株主還元の向上を掲げている。この目標を達成するための重点施策として、地元の皆さまのお役に立つことのできる人材を育成し、その人材を活かして、お客さま一人ひとりの満足度最大化、地元における取引基盤拡充、業容拡大と採算性向上による収益力強化に取り組んでいる。

これらを遂行することに加え、持続的成長のための財務体質強化、内部管理体制の継続的充実を通じて、企業としてなくてはならない確固たる基盤を拡充させ、目指す姿に近づけるよう努力している。

（2）障害者雇用の経緯

障害者雇用の経緯については、障害者雇用率が努力目標から義務化された1976（昭和51）年の身体障害者雇用促進法の改正後に進められたようである。また、企業としての社会的責任(CSR)の観点からも障害者を積極的に雇用するようになった。そのために、毎年9月に開催される、ハローワーク主催の障害者就職説明会・面接会に積極的に参加し、求人票を提出して、採用に結びつけるように方向付けている。障害の部位を勘案しながら、能力適性にあった部署に配置するように心掛けている。

障害者のうち、正規職員として7名(女性3名：肢体2名うち重度1名、精神1名。男性4名：内部3名うち重度2名、精神1名)が在籍しており、女性は、本部システム部門、営業店融資事務、関連会社に配属され、男性は、本部、法人営業部、支店の役職者として配属されている。

また、勤務時間が正規職員とほぼ同等で、1年契約を更新して雇用する有期雇用職員である嘱託職員については、9名(女性6名：聴覚4名うち重度2名、肢体2名。男性3名：肢体2名うち重度1名、内部1名)が雇用されている。

9名の配属内訳をみると、女性は、集中部門（手形交換、パソコン入力等）や庶務・清掃部門（本部清掃、営業所清掃、印刷業務等）に従事し、男性は、集中部門（調査業務補助、依頼書確認等）や、関連会社、庶務・清掃部門（寮の清掃業務）に従事している。

パートタイム職員は、一年契約を更新して雇用する短時間勤務の有期雇用職員であるが、女性5名(聴覚4名うち重度4名、肢体1名)であり、庶務・清掃部門に所属し、営業店清掃、メール便仕分け等に従事している。

以上の障害者雇用状況は、全体で女性14名、男性7名である。

年齢構成は、20代女性1名、30代2名(女性1名、男性1名)、40代7名(女性4名、男性3名)、50代5名(女性3名、男性2名)、60代6名(女性5名、男性1名)となっており、勤続年数では5年未満9名、10年未満6名、10年以上6名である。

勤務時間は、正規職員が8：45〜17：10であるが、特殊日である月末と週初末(月曜日・金曜日)は8：45〜17：45である。嘱託職員もフルタイム勤務である。またパートタイム職員は4時間から5時間の勤務となっている。

清掃作業

メール便仕分け作業

2．取り組みの内容

障害者雇用の最も重要な意義は、企業の社会的責任という観点である。この観点からの障害者雇用が拡充され、その結果として、障害者雇用率も達成できるようになったといえよう。

特別な取り組みはしていないが、ごく自然体で、働きにくいことのないようにコミュニケーションを取ることを心がけているとのことである。また、各々の現場で障害のある職員がスムーズに仕事ができるよう日常的な配慮を行っている。

たとえば、聴覚障害のある職員とのコミュニケーションをスムーズに行うために、読唇の可能な人とは対面で話しをするようにしたり、筆記での対応の場合にはコミュニケーションボードを利用している。精神障害の職員に関しては、健康状態が一定しているとはいえないこともあり、主治医や産業医を通じて、その診断によって対応し、あるいは保健師がケアすることにより対応することとしており、場合によっては、休職や欠勤という対応もとるようにしている。

本事業所は、お客さまに対しても喜ばれるサービスを提供しており、特にHPでは、「三重銀行ではお身体の不自由な方や高齢者の方が安心してご利用いただける店舗づくりに取り組んでいます。お気軽にご来店ください」とし、安心してご来店いただくための取りくみとして、全店舗にハンドセット付ATM、筆談器、耳マーク、コミュニケーションボード、補助犬同伴可ステッカー、杖ホルダー、ルーペ・老眼鏡、クリップ付バインダー、太いボールペン、認知症サポーターなどを備え配置するとともに、一部店舗ではあるが、点字ブロック、AED、スピ－チオも設置し、「これからも皆さまに喜んでいただけるよう、さらに取組みを拡充してまいります」と謳っている。

さらに、アンケートコーナーも設けられており、そこでは「今後、お身体の不自由な方、ご高齢の方へのサービスをさらに向上させ」るために、来店された「障害をお持ちの方（ご本人）」「ご高齢の方(ご本人)」「障害者・高齢者のご家族の方」「ヘルパーの方」「その他」の方々から、利用したいサービスや追加したいサービスなどについての改善策を提案してもらう取り組みもなされている。

こうした全店あげての障害者や高齢者に対する取り組みが、障害者雇用のあり方にも反映されているように思われる。

障害者の採用方法については、ハローワークが主催する障害者就職面接会を積極的に活用している。この面接会は毎年多数の企業、求職者が参加する盛況な面接会であり、障害者雇用を考えている企業、職を探しておられる障害者の方々双方にとって有益な機会となっている。

3．取り組みの効果、今後の展望と課題

本事業所は以上のような取り組みの結果、障害者雇用優良事業所として2回、2006（平成18）年度三重県知事表彰および2011（平成23）年度独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰を受けている。これらの表彰は、障害者の雇用の重要性を認識し率先して雇用に努めその職業的自立に寄与した功績に対しなされたものであり、さらに障害者を積極的に多数雇用し、障害者の雇用の促進および職業の安定に著しく貢献した事業所であり、障害の状況に応じたきめ細かな職務配置、職場改善等による障害者の採用および職場定着に積極的に努力していることが評価されたものである。

さらに本事業所は、2007（平成19）年には次世代育成支援対策推進法に基づく「基準適合一般事業主」の認定を三重県で初めて受け、「次世代認定マーク」(愛称「くるみん」)を取得すると同時に、2011（平成23）年には、三重県より「男女がいきいきと働いている企業」として知事表彰を受賞している。これも、少子高齢化が進展する中で、子育て支援や仕事と家庭の両立支援も企業の社会的責任と捉え、職員が長く安心して勤務を継続できるよう「わくわく子育てサポートプラン」を展開し、育児短時間勤務制度、育児休暇期間の延長、育児再雇用制度などの施策を社会貢献活動の柱として実施している。こうした取り組みも障害者雇用につながる良い影響を与えているように思われる。

また、障害者を雇用することにより障害のない職員は障害のある職員とのかかわり方を知ることができる。このことが、業務においてのお客さま応対にも活かされており、さまざまなお客さまに利用していただきやすい、親しまれ信頼される銀行を実現しているといえる。

今後の課題の一つは、2013（平成25）年4月から、障害者雇用率が1.8％から2.0％に引き上げられることに伴い、障害者雇用における求人活動も継続的に展開していく必要があると同時に、退職者分の自然減を考慮して、さらに積極的に活動していかねばならない状況にあり、その対応を検討しているということである。