事業所名

社会福祉法人 清和園

所在地

京都府京都市

事業内容

高齢者福祉・児童福祉

従業員数

約300名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	機能訓練指導員
聴覚障害
肢体不自由	4	介護支援専門員・営繕、運転業務
内部障害	1	営繕業務
知的障害
精神障害	1	介護職員

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取り組みの効果
3. 今後の展望と課題

事業所外観

1．事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

当法人は昭和28（1953）年、浄土宗円覚寺を母体に設立され、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、特別養護老人ホーム、児童館など多数の事業を展開する社会福祉法人である。

平成24年現在、当法人が運営する施設や事業は次のようになる。

（2）障害者雇用の経緯

当法人の障害者雇用は、平成25（2013）年1月現在、身体障害者6名、精神障害者1名を雇用し、それぞれの適材適所で活躍してくれている。

今回、事例紹介する障害者雇用は、当法人の運営施設のうち最も大規模となる「特別養護老人ホーム「吉祥ホーム」利用者の送迎用自動車の運転業務を専属に行う肢体不自由がある人の雇用である。

この人の雇用の経緯は、ホームをご利用頂いている高齢の皆様に外出の機会を確保したいという職員の気持ちが出発点だった。

高齢者の多くが下肢筋力の低下により、外出先と言えば病院かデイサービスくらいで、それ以外は家または入所施設で過ごしている。我々は、そのような高齢者にもっと楽しく過ごして頂く為には何をしたら良いか、自分なら何をしてくれたら嬉しいかを考えた。職員からは「おしゃれなカフェで、おいしいスイーツを食べたい。」、「新しくできた名所に行きたい。」や「他府県の観光に行きたい。」など様々な意見が出た。それらの意見は、高齢の皆様のご要望と共通するものだった。

そこで、自動車の運転経験が豊富であり、安全に運転してくれる人材を求めることとなった。

求人活動を行っていく中で、障害がある為になかなか仕事に就けない人がいることを知るに至り、障害者とはいっても車を運転するには問題はなく、高齢者とも気さくに接することができる人と出会うこととなった。

2．取り組みの効果

利用者の外出の機会を増やすことができた。これまでは、運転も現場の職員が担当していた為、利用者の外出に同行すると、残る介護職員が少なくなるという問題があった。しかし、新しく運転手を雇用したおかげで、これまで運転をしていた介護職員が施設に残り他の利用者の対応をすることができるようになった。

また、以前は洗車を業者に依頼していたが、その場合、洗車の時間を予め決定しておかなければならないが、急に入所者を病院へ受診にお連れしないといけない場合にはそれをキャンセルしたり、柔軟性にかける部分があった。しかし、障害者雇用の人が洗車も担当して下さるようになってからは、急に依頼することもキャンセルすることも簡単にでき、柔軟に予定を立てることができるようになった。

雇用当初は送迎用自動車の運転業務を専属とする予定でいたが、職場に慣れるに従い職域も拡大することができた。考えていなかった館内の清掃をお願いできたことは望外の効果であった。デイサービスの職員であれば、ご利用者様の送迎が終わった後、清掃し、明日の準備を整え、その日の日報などの記録を書かなければならず、非常に慌ただしく雑になることもしばしばであった。清掃をしてもらえることにより職員は明日の準備の為に時間を充分に使うことができ、日報も詳細に書くことができるようになったことで、以前にも増してご利用者様への理解、職員間の情報共有が可能となった。

更に、園芸の特技を活かし、施設の玄関などにある花壇に手を加えてもらったことで施設の外観が華やぎ、面会に来られたご家族様やボランティアの方々から好評を得ている。

（労働者コメント）

現職場に勤めて1年が経ちました。振り返ってみると、毎日が充実しています。勤務時間、休日、休憩時間、超勤の処理、有休消化促進など、きちっとしています。職員、介護士、看護師、パート勤務などのみなさんの明るさ、あいさつ、心遣い気遣い、やさしさが前面に出ている爽やかな職場です。

施設のご利用者様との毎日の顔合わせで、顔と名前を覚えていただき、あいさつを交わし、呼び止められては、会話に加わり、わきあいあいと過ごしております。行事の準備やカラオケサークルの準備、参加となかなか多忙な毎日です。車椅子のパンク修理、タイヤへの空気入れなどのこまごました作業にも気配りをして、備品をいかに長持ちさせるかを考えております。

ご利用者様の外出レクリエーションにもお供させていただいております。行く先々の模様を下調べした知識で案内をさせていただいており、喜んでいただいております。

病院などの送迎もかなり気を遣いますが、看護師さんの適切な判断・指示のもと、大過なく職務を全うしています。

用務員の同僚は、60歳以上の身体障害者の方々で、みなさん生き生きと勤務しておられます。1年ごとの契約社員ですが、エンドではありませんと、言っていただいております。

働きやすいたのしい職場で60歳定年後、第2の人生を歩ませていただいております。

観光地や病院への送迎

リフト車の操作の様子

玄関スロープ脇の花壇

3．今後の展望と課題

高齢者の日常生活を支えることを業務とする老人ホームの仕事は広範囲かつ多岐にわたるものであった。介護職員は清掃業務や行事の設営などの業務の負担が減少したことにより、ご利用者様の健康状態に合わせた介護に専念できるようになり、事務系の職員は送迎に時間を取られなくなったことで効率良く、請求業務、労務管理業務や連絡・調整業務に専念できるようになった。

障害者雇用の人の業務は○○と言ったように固定化されてきているが、この業務しかできない、あの業務しか頼んではいけないと限定するのではなく、様々な業務を依頼していきたい。

障害を持つ人が能力を発揮し、その能力によって、高齢者の生活の質が向上するように人員配置や業務を開拓していく必要がある。