心を満たすあたたかいふれあい
- 事業所名
- 社会福祉法人 平成会
- 所在地
- 長崎県長崎市
- 事業内容
- 社会福祉事業、介護保険事業(高齢者、障害者支援)
- 従業員数
- 408名
- うち障害者数
- 8名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 1 介護職員 肢体不自由 4 介護職員、運転手、用務員 内部障害 2 用務員 知的障害 1 用務員 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
社会福祉法人平成会は平成3(1991)年5月に法人設立し、平成4(1992)年7月1日に長崎市横尾に介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)プライエム横尾を開設した。また、プライエム横尾と同一敷地内に、平成6(1994)年3月1日に老人保健施設ナーシンケア横尾、同年4月1日に軽費老人ホームケアハウス横尾を開設した。その他通所介護、訪問介護、認知症高齢者グループホーム等をはじめとする在宅支援サービス事業、また介護保険法施行後も居宅介護支援事業所など、高齢者または障害者支援事業を幅広く運営している。
また、長崎市宿町には養護老人ホーム日見やすらぎ荘、地域密着型介護老人福祉施設日見あけぼの荘(日見やすらぎ荘に併設)を開設し、東長崎地域とのネットワーク作りにも取り組んでいる。
(2)障害者雇用の経緯
障害者の雇用に関しては、理事長の基本的姿勢である「平等の理念」により行われ、これが全職員に浸透し、能力が発揮できる職務の創出・職場環境の整備を行っている。
法人設立以来、障害がある人の雇用に特別な取組みをしているわけではなく、障害があっても、その人の持っている能力や技術、またその人柄に合わせて仕事内容を検討し、工夫することにより、法人の求めている人材や業務内容とマッチさせている。特別扱いというのではなく、その人その人の能力に合わせた業務内容を考えることは、障害がない職員でも雇用条件は同一と考えている。
初めての障害者雇用は、平成7(1995)年で、下肢障害がある男性である。介護職員として配属され、軽微な介護や送迎自動車の運転などから始めて経験を積み、介護福祉士の国家資格を取得した。その後の雇用に関しては特別に障害者の雇用枠を意識していたわけではなく、一人の職員として障害者を含めての雇用を行い現在に至っている。
2. 障害者の業務配置
雇用する障害者の業務配置について、身体障害者であるAさんとYさんの事例を紹介する。
(1)Aさん:下肢障害:女性
作業内容は「支援員」という名称のもと、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)プライム横尾に入所している入所者に対し家事援助、生活援助的なサービス、活動の支援等を他職員6人で行っている。
- 勤務時間
・基本勤務時間:8:30~18:00(週休2日)
・夜勤(定期的な巡回及び軽微な介護業務)
・宿直(電話応対、施錠確認、その他緊急時の対応業務)
*職場勤務表によるローテーション勤務。
*知的障害者は除く。
- 作業内容
a 家事援助 (食事の準備、掃除、洗濯等)
b 生活援助 (外出支援、その他生活の支援)
c 活動の支援(行事、趣味活動の支援等)
- 職場環境
- 全職員の理解、協力等は十分に得られており又障害者の自主性が尊重されており良好な環境を維持している。
- 勤怠関係 遅刻、無断欠勤等なく勤務態度は他職員の模範となっている。

①掃除の様子

②趣味活動支援の様子
写真①については、廊下や食堂の掃除は各階を4名の障害者と分担して行っている。
*快適な入居生活を送る重要な業務と位置付けている。
写真②については、入所者の趣味活動に合わせ、ぬいぐるみ作りの補佐を行っている。
*毎日の生活で唯一の楽しみ又痴呆の進行・防止を担っている。
(2)Yさん:左半身麻痺:男性
作業内容は主に地域密着型介護老人福祉施設日見あけぼの荘の環境整備(ごみ回収・清掃活動等)を担当している。
- 勤務時間
9:00~15:00(変形週休2日制)
- 作業内容
- a 玄関・1階フロアーモップがけ(9:00~9:15)
- b 施設外周のゴミ広い(9:15~9:30)
- c 全館ゴミ回収及びモップがけ(9:30~12:00)
- d 2階・3階の掃除機・モップがけ(13:00~14:30)
※共用スペース(更衣室、トイレ等)の清掃
- 地域貢献
※月1回の地域貢献活動による施設近隣公園等の環境整備を行っている。
・リーダーとして先頭に立って参加している。
・全職員の半数が交代で参加している。
・毎月1回自治会が行う清掃活動とは別に行っている。
- 用務日誌作成(14:30~15:00)
*日誌提出後は当法人の障害者職業生活相談員の指導、助言等を受けている。
- 勤怠関係
勤労意欲は旺盛であり他職員の模範的存在である。
*月1回の近隣公園等の清掃日は近隣住民から好評を得られている。
作業計画内容等は自主性を尊重して自身でスケジュールを立て計画的に実施している。また作業内容については『用務日誌』にてその日の活動内容を記載している。
業務日誌の報告に関しては業務内容及び業務実施後内容について障害者職業生活相談員から指導及びアドバイスを受け業務計画等の変更、修正を行っている。

①玄関のモップがけの様子

②ゴミ回収の様子(共用フロアー)
3. 取組みの内容と効果、さいごに
(1)取組みの内容と効果
- 事例紹介1(Aさん)
Aさんは、上記2のⅠに紹介した人で、当施設においては、日常的に介護を要する入所者は比較的少なく、軽微な介護を要する入所者が比率を占めていることから、Aさんは他スタッフと同様の介護業務に携わっているが、特に何の問題もなく毎日の業務をこなしている。入所者との年齢的較差はなく、人柄、親切心等対応に対して好評が得られている。業種柄対人折衝が重要であり他職員の範となっている。平成25(2013)年4月で入社3年目を迎える。 - 事例紹介2(Yさん)
Yさんは、上記2のⅡで紹介した人で、身体障害者手帳1級を所有している。
長く洋裁関係の職に従事した後、平成22(2010)年9月に長崎市障害者訪問介護員養成研修2級課程を修了し、その後、地域密着型介護老人福祉施設日見あけぼの荘の開設に併せ、平成23(2011)年4月より当施設の用務員(非常勤)として入社した。
上記障害のため、身体介護や運転業務は行えないものの、用務員として入所者とのコミュニケーションを図りながら、施設全体の環境整備や清掃活動に従事していただくことで、施設内の環境美化に努めている。
訪問介護員2級資格を取得したことで、高齢者介護について、また入所者との関わりにおいても過去の人生経験等がプラスされて生かされている。 - 事例紹介3(Tさん)
知的障害(軽度)のTさんは平成18(2006)年4月1日入社。担当業務は施設内における清掃業務に従事している。清掃業務員の求人(障害者求人)をハローワークに提出していたところ、その求人に応募されて雇用した。トライアル雇用や職場実習等は行わず、面接にて担当業務を説明し納得し雇用に至った。Tさんは軽費老人ホーム・ケアハウス横尾内での清掃業務を担当している。勤務時間は午前8時30分から午後4時までの週休2日制の雇用契約となっている。
入社当初は指示内容とおりの業務ができなかったが指導担当職員の根気強い毎日の指導、教育等が功を奏し現在では施設内の清掃業務は本人なしでは完了しないまでに成長した。施設内の職員や利用者のアイドル的存在であり持ち前の明るさ、素直さは他職員の模範となっている。 - 事例紹介4(Bさん)
聴覚障害のBさんの担当業務は入所者の介護である。
当法人では「平成会アカデミー」という名称でホームヘルパー養成講座(2級課程通信制)を年5回開催している。講座修了者にはホームヘルパー養成研修2級課程修了証明書を交付している。
Bさんは当講座を修了した人で、介護業務に従事している。意思伝達等業務遂行上に関しては聴覚障害による不自由は特にない。他職員の理解、協力等を十分得られており公私にわたってバックアップしている。
(2)さいごに
社会福祉法人平成会は、基本理念「私たちは、地域と共に、福祉社会を支援します」とあるように、自分達の暮らす地域の福祉拠点として存在できるよう日々事業運営を行っている。また法人で働く職員についても性別、年齢、障害の有無に関わらずその人らしく地域で働ける職場であるよう目指している。
今後も、特段障害のあるなしに関わらず、基本理念に共感し、忠実に業務にあたられる方に門戸を開いていく所存である。
求人手段としてハローワークの紹介、各施設からの推薦等幅広く求人の輪を広げ多くの障害者と面接して企業は人なりに立って、また時代の流れに先んじて新規の職務の創出等も検討して適材適所に職員採用、配置を今後も行っていきたいと考えている。
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