人をはぐくみ、人と人との絆をつむぎ、仕事を通じて社会に貢献できる人材の育成を目指して
- 事業所名
- シダックスオフィスパートナー株式会社
- 所在地
- 東京都調布市(本店・調布センター)、東京都渋谷区(本社)
- 事業内容
- 事務、データ入力、印刷、倉庫管理等
- 従業員数
- 63名(平成25(2013)年10月10日現在)
- うち障害者数
- 52名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 名刺作成、印刷指導 聴覚・言語障害 肢体不自由 4 名刺作成、事務、倉庫管理 内部障害 1 デザイン、印刷 知的障害 7 郵便仕分け、シュレッダー、事務 精神障害 39 事務 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 本社外観(渋谷)
|
1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
Ⅰ.事業所名 | シダックスオフィスパートナー株式会社 (シダックスグループの特例子会社) |
Ⅱ.設 立 | 平成23(2011)年3月 (平成23(2011)年5月18日特例子会社認定) |
Ⅲ.事業開始 | 平成23(2011)年4月 |
Ⅳ.資本金 | 1,000万円(シダックス株式会社100%出資) |
Ⅴ.従業員数 | 63名(調布36名、渋谷24名、その他3名) |
≪企業理念≫
①シダックスグループにおける障害者雇用への理解と協力を促進する。
②シダックスグループの一員として、誇りを持ちプロの仕事を目指せる社員を育成する。
③感謝のこころと素直な気持ちを持つ自立した社会人を育成する。
④シダックスグループの発展に貢献するとともに、地域に根ざした企業として社会に貢献することを目指す。
≪スローガン≫
次の①~⑥のスローガンを調布・渋谷等の事務所に掲示している。
①明るく、楽しく、元気よく
②礼節を重んじ、挨拶を忘れず
③出会いと絆を大切にし
④お互いを尊重し、人を育て
⑤常に向上心を持って仕事に取り組み
⑥自立した社会人を目指す
障害者雇用への取り組みについては、現在のところ社内報での紹介を行っているが、全事業所・全社員に社内LAN等を活用し、積極的に周知することが今後の課題である。
(2)障害者雇用の経緯
- 特例子会社設立の目的
- ①企業のCSR活動の一環として、障害者の職業的自立と社会参加の場を提供する(ノーマライゼーションとダイバーシティ)。
地域と一体となって障害者雇用を促進することは、社会問題解決型企業を目指すシダックス株式会社の思想に合致している。
- ②人々の幸せや喜びを第一に考え、働く意思と能力を有する障害者に対して、生きがいのある、働きがいのある職業生活の場の確保をすることは、シダックス株式会社のモットーである、母親が愛情をもって子供に食事を提供する「マザーフード」の考えに即した活動でもある。
- ①企業のCSR活動の一環として、障害者の職業的自立と社会参加の場を提供する(ノーマライゼーションとダイバーシティ)。
- 特例子会社設立の経緯
- ①平成12(2000)年代に特例子会社の設立を検討したが、当時はグループ内の各事業会社において直接雇用する方がメリットがあるとして保留となる。
- ②平成22(2010)年に社会情勢の変化や法律の改正(短時間労働者の常用カウント、除外率の引き下げ等)を鑑み、再度特例子会社設立の研究・調査を始める。
- ③平成22(2010)年7月、設立に向け専任者を配属、社内調整・準備段階に入る。特例子会社設立のメリット(雇用率の合算算定、企業イメージのアップ、柔軟な経営、企業姿勢の表明、各種助成金の活用等)の説明を社内の各会議(事業本部長会議、HQ会議等)にて行う。並行して、管轄のハローワークの雇用指導官の協力・支援のもと、特例子会社の見学、社内の業務切り出しや人材確保に向け各就労支援機関・特別支援学校等へアプローチする。
- ④平成23(2011)年1月、会社設立の承認を親会社取締役会で得て、法人登記手続きに入る。また、就労支援機関・特別支援学校へ募集要項の配布・説明会を行い、応募者の面接や実習を行う。
2. 障害者の従事業務・職場配置
(1)事業所別・障害別人員状況
視覚障害 | 聴覚障害 | 肢体不自由 | 内部障害 | 知的障害 | 精神障害 | |
調布事業所 | 1名 | 0名 | 4名 | 1名 | 5名 | 20名 |
渋谷事業所 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 | 2名 | 19名 |
(2)業務内容
- 調布事業所
- ①郵便仕分け、シュレッダー
- ②名刺作成・印刷
- ③人事事務補助、調理メニューデータ入力・作成
入社書類番号順並べ替え、ハローワーク求人票受付・作成・取り消し・再掲載・変更等データ入力、グループ関連会社の人事書類のPDF化・ファイリング、各種証明書発行事務、自動車保険等免許・任意保険更新確認 等
- ④会計伝票仕分け・ファイリング
- ⑤情報システム部関係請求書・申請書の取り込み
- ⑥相模原倉庫管理
会計・財務・経理・人事・広報・グループ内事業会社関係書類の運搬、入出庫保管管理
- ⑦関係会社事務処理
- 渋谷事業所
- ①郵便仕分け、シュレッダー
- ②関係会社資料封入・データ集計
- ③購買部受発注
- ④契約書管理・PDF化
- ⑤納品書作成
- ⑥人事情報・勤怠情報取り込み・データ作成
- ⑦車検証管理
- 定着支援チーム
グループ内事業会社で雇用している障害者を側面からサポートするために編成され、各事業所・店舗を巡回し、障害者及びその管理者と面談を実施している。雇用安定の成果をあげている。
![]() 印刷(調布)
|
![]() 事務(調布)
|
![]() 倉庫管理(調布)
|
![]() 名刺作成(調布)
|
![]() 事務(渋谷)
|
![]() 郵便仕分け後の大口荷物部署内配達(渋谷)
|
3. 取組の内容
(1)職域の開拓・業務の切り出し
- 平成23(2011)年4月:従業員23名(障害者20名)
グループ内事業会社の各部署、担当者に細部にわたる業務内容の記入を依頼し、その中から請負可能業務を抽出し業務を開始する。
〔当初の業務〕
総務:名刺作成、郵便仕分け、シュレッダー
会計:伝票仕分け
人事:求人票作成、会社案内等封入
グループ内事業会社:店舗割引券仕分け・集計、給与明細・商品案内等封入等
- 平成23(2011)年10月:従業員38名(障害者33名)
業務が軌道に乗り始めた2か月後から更なる業務拡大を目指し、グループ内事業会社の請負部署と切り出し可能業務の洗い出しや詳細な打合せを行い、新規請負業務を開始する。
〔新規業務〕
標準メニューPC入力
相模原倉庫伝票類配送、倉庫内管理等
- 平成24(2012)年4月:従業員46名(障害者40名)
業務の丁寧さ、正確さに対する評価が特例子会社への信頼構築につながり、新規業務の発注が急増する。
〔増加した新規業務〕
総務部:稟議書・契約書のPDF化・ファイリング
人事部:人事書類のPDF化・ファイリング
会計:金券・クレジット伝票カウント、支払明細書封入・発送
情報システム部:申請書・請求書処理
グループ内保険代理店会社:保険関係書類受付事務等
- 平成25(2013)年4月:従業員58名(障害者49名)
デジタル印刷機を導入し、本格的な印刷業務(チラシ、ポスター等印刷)や障害者の安定雇用の実績を活かし、グループ各事業会社の障害者定着支援業務等も開始する。
〔増加した業務〕
総務部:駐車場契約書PDF・ファイリング
人事部:グループ内事業会社作成人事書類の一元化入力
グループ内事業会社:値札印刷・切り分け・封入・JR発券補助等
- 平成25(2013)年10月:従業員63名(障害者52名)
〔増加した業務〕
総務部:郵便書留・配達記録受付、ペットボトルキャップ回収
会計:月次書類仕分け・ジップ並べ替え・発送・売上入力
人事部:各種証明書発行事務、自動車保険等免許・任意保険更新確認等
現在に至る。
(2)職域と障害の種別について(配属や担当業務について)
配属と障害特性については特に配慮はしていないが、PCスキルやMac操作の知識が要求される業務やスピードより正確性が要求される業務等があるため、実習を通じて各人の能力が発揮できる業務を判断している。
視覚障害 | 名刺作成、印刷業務指導 |
肢体不自由 | 事務業務指導、相模原倉庫管理指導、名刺作成、事務 |
内部障害 | Mac操作、デザイン、印刷 |
知的障害 | 郵便仕分け、シュレッダー、名刺作成、事務 |
精神障害 | 相模原倉庫管理、事務 |
(3)募集
就労支援機関を活用し、募集を行っているが、適切な人材が見つからない場合には管轄のハローワークを通して募集を行っている。
(4)採用
面接→2週間程度の実習→採用の流れで行い、採用後の労働時間、勤務日数については本人、就労支援機関担当者と相談し、決定している。
(5)雇用条件
雇用形態 | 年間契約社員及び3か月パート社員(正社員化に向け制度準備中) |
勤務時間 | 10時~17時(6時間) 朝礼10時、終礼:17時、休憩:50分(業務後に5分~10程度リフレッシュ休憩) |
休日 | 週休2日 |
試用期間 | 実習(約2週間)を通じて人物評価 |
有給休暇 | 法定通り |
(6)指導・研修体制
指導員の心得
①作業と仕事は違う
②マネジメントをしよう
③お客様(社内)の感動を勝ち取ろう
指導員会議を月1回開催し、指導員としての「心得」を徹底するよう努めている。
指導員のレベルアップのための研修としては、各行政機関で開催している各種セミナーや日本精神障害者リハビリテーション学会等に積極的に参加させている。
4. 取組の効果、今後の展望と課題
(1)取組の効果
- 特例子会社を設立し、障害者雇用に積極的に取り組んだことによりグループ内事業会社に変化が起こった。
- ①企業における社会的責任についての自覚がより強くなったこと。
- ②従来は、封入・発送・数値データ入力等を正社員が行っており、多くの残業時間が発生していたが、その業務を委託することにより数値分析・計画立案等に時間を費やすことができるようになり、また残業時間が減少したこと。
- ③業務の切り出しを通じて、現状の業務を整理・見直す機会ができ、生産性向上につながったこと。
- ④障害者に対しての偏見がなくなり、各現場において更なる雇用につながったこと。
- 日頃の障害者雇用への取り組みが評価され、平成25(2013)年に「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」より障害者雇用優良事業所として表彰を受けた。
![]() 平成25年度 障害者雇用優良事業所等表彰式(平成25(2013)年9月27日)
|
(2)今後の展望と課題
- 今後の展望について
特例子会社で培った雇用ノウハウをもとにグループ内事業会社で水平展開を図り、障害者の雇用促進を通じて能力開発と自立に寄与する。そのためには、更なる個性豊かな特例子会社としての専門家集団を目指し、請負業務の質において一層の高度化、専門化を追求する。
- 今後の課題
- ①能力に応じた業務の確保
今後の更なる職域の拡大を展望し、障害の種別や程度等にも配慮しつつ、社員の能力に合わせた業務ローテーションを行うとともに、更に能力が発揮できる業務のマッチングを図るため、現在の個人別評価制度の在り方を見直していく必要がある。
- ②更なる業務の切り出し
今後更なる障害者雇用を進める上で、グループ内事業会社の各部署の請負可能な業務と請負までに時間を要する業務等の仕分けを行い、長期的な視野に立ち既存業務の更なる切り出しと新たなる業務の掘り起こしを行う。
また、現在の業務は調布・渋谷等においては「本部業務」の請負が中心であるため、今後更なる障害者雇用の促進を計画する場合、全国に展開する営業現場(店舗等)における新規業務の掘り起しが必要となる。
- ③グループ内事業会社の専門家としての役割・地位の確立
専門職の採用(精神保健福祉士)によりグループ内事業会社に勤務する障害者の更なる戦力化に向けた定着支援を促進するとともに、障害者の働く場の拡大のために現場責任者への教育活動を継続的に実施していく必要がある。
- ④指導員の育成・知識の拡大
グループ内に正社員が約3,000名いる中で、指導員としての能力を発揮できる年齢層は50代以上の経験豊かな社員が担当することが望ましいという考え方から、指導員候補は社内より選抜することを基本としている。そのため、今後も就労支援機関からの情報を大切にするとともに、社外の研修会・講習会にも積極的に参加させるよう努める。
- ①能力に応じた業務の確保
障害者雇用アドバイザー 畠山 千蔭
アンケートのお願い
皆さまのお役に立てるホームページにしたいと考えていますので、アンケートへのご協力をお願いします。
なお、事例掲載企業、執筆者等へのお問い合わせや、事例掲載企業の採用情報に関するご質問をいただいても回答できませんので、あらかじめご了承ください。
※アンケートページは、外部サービスとしてMicrosoft社提供のMicrosoft Formsを使用しております。