2013年度作成

事業所名

株式会社トベ商事

所在地

（本社）東京都北区  （工場）東京都足立区

事業内容

リサイクルシステムのコンサルティング、再資源加工（ガラスびん、缶、発泡スチロール、ペットボトル、廃プラスチック類）、ガラスびん洗浄、一般廃棄物収集・運搬、産業廃棄物収集・運搬、産業廃棄物処分（選別、破砕、圧縮、溶融、減容）

従業員数

126名

うち障害者数

42名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚・言語障害
肢体不自由
内部障害	2	事務・工場責任者
知的障害	40	びん・かん・ペットボトル等選別作業
精神障害
発達障害
高次脳機能障害
難病等その他の障害

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
2. 取組の内容
3. 取組の効果、今後の展望と課題

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

1. 事業理念

   「ヒューマンパワーが、安心の環境マネージメントを実現する」をキャッチフレーズに、次のことを事業理念としている。

   ○仕事の流れをすべてオープンにして、グレーゾーンのない環境マネージメントを実現する。

   ○先の先まで見据えた環境支援体制で、あいまいにしない！人ごとにしない！

   排出物の行方に関する安心感を提供する。

   ○国際環境規格を取得したノウハウを活かし、様々な環境対策ニーズに丁寧に対応する。

2. 組織

   当社は、営業部、生産部、事務管理部及び教育部から組織構成し、雇用する知的障害者等は、洗びん作業所、びん・缶作業所を含む7作業所から構成する生産部と、板橋リサイクルセンター、川口リサイクルセンターにおいて就労している。

   現在社員総数126名のうち42名が障害者であり、特に知的障害者を多数雇用している。

   障害者の配置は、事業毎にしており、担当する業務は多岐にわたっているが、知的障害者が担当する主な業務は、びん・かん・ペットボトル等の選別作業である。戦力として社業になくてはならない存在として貢献している。

   障害者の勤続年数は15年～20年が多く、平均年齢は36.0歳である。

（2）障害者雇用の経緯

創業100年の歴史ある「壜商」（びんしょう）事業の労働力として28年も前から障害者の雇用に取り組み、継続・拡大してきた。障害者の雇用は、29年前に先代社長と重度の知的障害のある青年との出会いが始まりであり、この青年は昭和59（1984）年に30歳で入社した。

入社当初は母親が同行しないと通勤できない社員であったが、通勤に慣れてくるとGPSを活用し、会社のサポートを受けながら通勤を続けた。平成24（2012）年に58歳で退職するまで28年間勤務し、平成14（2002）年にはその頑張りが認められ、永年勤続等による優秀勤労障害者として厚生労働大臣表彰も受賞している。

知的障害者40名のうち20名は、熱心な先生の紹介を受け、就労移行支援事業及び就労継続支援（B型）事業を行う社会福祉法人うらわ学園からそれぞれ2回の実習を経て現在まで採用してきたもので、平成24（2012）年には第8作業所（川口リサイクルプラザ）及びかん作業所に10代・20代の社員を計4名採用した。

2. 取組の内容

（1）実習

実習期間は夏期2週間と冬期2週間の計4週間を基本として実施している。

実習生の多くは、同じ学校の先輩社員で同じ障害のある社員が多く働いていることとマンツーマンによるOJTの効果からか、初日から3日目位で慣れてくる。

（2）採用

定着率を高めるため、障害者を採用する際には1名だけでなく複数名採用するようにしている。

（3）指導

各部署の経験豊かな社員がOJTにより仕事を教えている。最近では勤務歴10年以上の障害のある社員が教えることもある。同じ学校の先輩・後輩ということで教えやすいということもある。また、様々な業務を担当してもらうことで自信を持たせ、1年から2年かけて仕事を任せられるよう指導している。

ドライバーとして採用された知的障害のある社員（現在はドライバー助手）は23区のうちの1つの区の委託業務を任されている。すべての訪問先を覚え、順番も完璧に掌握していて同乗のドライバーの間違いを指摘することもあり、トレーナー役も果たしている。

また、管理職で重度の内部障害のある社員が各々の作業現場を頻繁に巡回して、障害のある社員のトラブル時だけでなく普段から機会あるごとによく話しかけ、話を聞くようにしている。

（4）配置換え

障害のある社員の生産性が低下している場合には、本人の希望及び個々の特性を把握した上で、各作業所の責任者会議（社長含む）において検討し配置転換を行っている。

（5）家族等との連携

家族には社員が帰宅した際に会社でその日に何があったのかをよく聞いてもらうようお願いしている。また、帰宅後何かあった場合には会社に連絡してもらうことにしている。また、年1回家族や学校の先生向けに職場見学会を実施している。設備の変化や安全への配慮状況を確認してもらうとともに、家族から要望や質問も伺っている。

3. 取組の効果、今後の展望と課題

（1）取組の効果

1. 社員に自信を持たせる指導法により社員一人一人が戦力として仕事を任せることができるようになった。特にびん選別班の社員は、びんの選別のほか、ロボットとともに行うパレットへの積み込み作業についても30種類もの方法をマスターしており、また手で積み上げる作業もできる。障害のない社員以上の成果を出している。また、社員一人一人に様々な業務を担当させているため、欠勤者が出てもローテーションにより問題なく仕事が回せている。

2. 生産性が低下している社員については配置換えを行っているが、これまでも配置換えにより洗びん作業所において、びんの供給担当（洗うびんをコンベアに載せる作業）から小型家電分解担当になった社員はその特性を活かし、生産性を上げ、良い結果を出している。
3. 家族との連携を密に図ることにより、適切な対応が可能となった。例えば、帰宅後に社員が怪我をしたとき、家族からその旨連絡をもらうことにより、次の日会社でどう対応したらよいか事前に検討し、対応することができた。

（2）今後の展望と課題

今までの経緯を振り返ってみた時、当初担当した作業所の作業において障害特性が当該作業に合わないためか仕事がスムースにいかない社員もいた。そのような時でも管理職は社員の定着を図るため、その対応について試行錯誤を繰り返し行ってきた。

現在では一人でしょんぼりする障害のある社員を作らないように、管理職が作業所の巡回する頻度を高め、度々話しかけたり、話を聞いてあげており、また働く現場の社員同士の交流がしやすい環境作りに努めているが、今後も障害のある社員への配慮として継続していく。また、家族との連携も必要不可欠であり、併せて継続していく。

今後の課題としては、「大事な仕事をしているんだよ」といつも呼びかけ、補助的な存在ではなく、一人前として対応し、一人一人が自信と責任を持って働いていけるよう、障害のある社員の適性を早い段階でつかみ、適正な配置を行っていくことができるかであると言える。

これは、長期安定雇用に向けた基本的行動として注目に値し、障害者を雇用している企業、これから障害者を雇用する多くの企業の心強い支えとなる。障害のある社員が活き活きと働く現場訪問を終え、今後の更なる障害者雇用の拡大に大いに期待したい。

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