人のつながりを大切にする。
- 事業所名
- ひまわり交通株式会社
- 所在地
- 神奈川県川崎市
- 事業内容
- 一般乗用旅客自動車運送事業
- 従業員数
- 178名
- うち障害者数
- 3名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 3 タクシードライバー(70代身体障害者重度1名、50代身体障害者重度以外2名) 内部障害 知的障害 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病その他の障害 - 目次

本社外観①

ユニバーサルデザインタクシー
1. 事業所の概要等
(1)会社概要
会社名 | ひまわり交通株式会社 |
設立 | 昭和37(1962)年3月 |
資本金 | 1,200万円 |
代表取締役 | 村木 緑 |
本社所在地 | 川崎市幸区 |
従業員 | 178名 |
保有台数 | 73台(福祉車輌1台) |
事業案内 | 一般乗用旅客自動車運送事業 |
グループ企業 | 和光交通株式会社 横礼自動車株式会社 神礼自動車有限会社 |
(2)安全管理
安全に関する「方針・施策・計画」については、障害のある乗務員のために特別に定めたものは無い。これは障害者であってもお客様からすれば一人のタクシー乗務員に他ならず、特別に扱われることはないからである。従って以下に続く「方針・施策・計画」については一般乗務員と同一のものなのである。
- 輸送の安全に関する基本的な方針
- ①社長は、輸送の安全の確保が事業運営の根幹であることを深く認識し、社内において輸送の安全の確保に主導的な役割を果たす。また、現場における安全に関する声に真摯に耳を傾ける等、現場の状況を十分に踏まえつつ、社員に対し輸送の安全確保が最も重要であるという意識を徹底させる。
- ②輸送の安全に関する計画の策定、実行、チェック、改善(plan do check act)を確実に実施し、安全対策を不断に見直し、全社員が一丸となって業務を遂行することにより、絶えず輸送の安全性の向上に努める。また、輸送の安全に関する情報については、積極的に公表する。
- 輸送の安全に関する目標及び当該目標の達成状況
目標
- 重大事故件数:0件
- 事故件数前年比:20%減
達成状況
- 重大事故件数:0件
- 事故件数前年比:0.07%減少(平成21(2009)年度より実施)
- 輸送の安全に関する重点施策
- ①輸送の安全の確保が最も重要であるという意識を徹底し、関係法令及び、安全管理規定に定められた事項を遵守すること。
- ②輸送の安全に関する費用支出及び投資を積極的かつ効率的に行うよう努めること。
- ③輸送の安全に関する内部監査を行い、必要な是正措置又は予防措置を講ずること。
- ④輸送の安全に関する情報の連絡体制を確立し、社内において必要な情報を伝達、共有すること。
- ⑤輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し、これを適確に実施すること。
- 輸送の安全に関する計画
- ①計画
自動車事故対策機構の行う適性診断を活用し、全乗務員の運転状況等を把握すると共に、安全教育の年間計画により乗務員に対する教育を実施している。
春、秋の全国交通安全運動及び夏の事故防止運動、年末年始自動車輸送安全総点検に合わせ、事故防止運動を重点的に行っている。
また、日々の点呼において、乗務員ごとに安全運転目標を設定させ、毎日の安全運転向上に努めさせている。経営トップの安全に対する意識を速やかにかつ効率的に伝達する為に、またあらゆる情報収集を効率的に行い、安全の為の内部チェックと改善の為に【事故防止委員会】を設置し、月1回開催している。
トップの意識を現場に反映させ、現場の意見をトップに伝えるパイプ役であると同時に、輸送の安全に関する事柄をあらゆる場面を通じて現場に波及させていくことになるのである。
- ②実施
安全運転支援ツールとして、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダー、アルコール検知器、ナビシステムを導入している。
- ①計画
- 輸送の安全に関する教育及び研修の計画
- 現任乗務員研修会(乗務員全員 月1回)実施
- 事故防止委員会(月1回)実施
- 事故反省会(事故惹起者 月1回)実施
- 無事故コンクール(年1回)実施
- 適性診断活用
2. 障害者雇用の経緯と取組
(1)取組のきっかけと経緯
当社の障害者雇用のきっかけは、今から数十年前に遡るが、乗務員の一人に足が少し不自由な人がいて、その乗務員がたまたま障害者であったのがきっかけと当時の採用担当者から聞いている。最初は、その乗務員が障害者だとは気付かなかったとのことである。
タクシーの乗務員というのは、普通免許を取得後3年経過したのちに取れる2種免許が必須で、その資格を取得しないとタクシーに乗務できないのだが、その乗務員は2種免許を持っており運転に支障はなかったとのことで、採用後しばらくしてから気付いたとのことである。筆者が採用担当を引き継ぎ、障害者雇用について考えさせられた出来事があった。それは、就職説明会の際、一人の求職者との出会いであり、その求職者の第一声が、「障害者だけど、雇ってもらえるのですか?」との質問であった。見た目は、障害のない人と変わらない人であった為、突然の質問に驚いた。話を伺うと、人工透析を行っており、障害者というだけで面接すら受けさせてもらえないとのことで、あえて最初にこのような質問をして確認したとのことである。障害者雇用の現状を実感した出来事であった。就職に際し、採用に至るまで障害のない人と比べ狭き門なのだと感じた。
そこで、現状弊社において、障害のあるドライバーが勤務しているので、多くの人に、そのことをまず知ってもらう必要があるのだと思い、平成23(2011)年8月1日付けで「神奈川県障害者雇用推進企業」として認証を頂いた。「障害者だから無理」と決め付けることはなく、タクシー乗務員は、障害者の仕事選びの選択肢の一つとして考えてもらえればと思っている。
(2)障害者採用方法及び採用基準
業務上必要な2種免許を所有もしくは、普通免許を取得後3年経過している障害のない人と変わらずに運転のスキルと、お客様とコミュニケーションをとることができる人は採用している。タクシー業務は、お客様の命を預かり無事に目的地まで運ぶことができるか否か、その意識を持てるかどうかという所も重要である。
タクシー乗務員という仕事は、自分が頑張れば頑張った分だけ収入が増える。まさにやる気のある人の努力が報われる仕事だと思っているので、働く意欲があり、接客のできる人であれば、基本的な採用基準は変わりない。逆に、障害のある人や高齢者のお客様の立場に立った目線で接することができる分、この仕事は向いているかもしれない。未経験者であっても、安心して働けるように丁寧にバックアップしているので、是非一度、タクシー乗務員という仕事を考えてみてもらえればと思うのである。
(3)障害者社員の就業時間・休日
原則的には障害のない乗務員と同一のタクシー乗務員の勤務形態であるが、人工透析が必要な内部障害のある乗務員は一日おきに出勤しており、無理なく働くことができるシフトになっている。
タクシーというのは基本的に歩合制の仕事である。さらに、電車やバス、飛行機といった大量輸送機関とは異なり個別輸送になるので、この人が休んだら別の人に絶対出勤してもらわないといけないということではない。一人の人が体調不良で休んでしまった場合、スペアの人には連絡はしているが、最悪休車になってしまっても、一台のタクシーが減るだけで社会的影響力がない為、周りに大きく迷惑がかかりにくい点がこの業種の特徴であり、この点は、障害のある人にとっては働きやすい環境といえるのではないだろうか。
(4)障害者雇用において会社全体で配慮していること
障害のある乗務員だからといって特別扱いはしていない。障害のない乗務員よりは、健康管理面においては気を使っている。よって具合が悪いと言われれば無理に勤務させることはしない。旅客運送は人の命を預かる仕事であるから、シフトの調整や休憩を取ってもらうなどの点については配慮している。現状、障害のある乗務員でも障害のない乗務員と何一つ変わらずに業務を行っているので差別や偏見もなく、障害のない従業員と同じフィールドでの労働環境が整備されている。
3. 障害者雇用による効果、今後の課題
(1)職場における障害者雇用取組による効果
仕事の業務において、高齢者や障害者、妊婦、車いすの人など、交通弱者である人々の運送引き受けも多く、他の業種の仕事よりも身近に感じる分、障害のある乗務員に対する社内の反応は、至ってフランクな雰囲気で接している。
(2)今後の課題
残念ながら、現状として障害のある乗務員の人数は少ないが、実際に乗務にあたることができる職場だと思うので、まず、できるできないは別として、仕事選びの選択肢の一つに入れてもらうよう、もっと多くの広報が必要と感じている。
そして、障害のある乗務員への労働環境の向上策をさらに検討し、より働き易いシフトや環境を整えていければと思うのである。
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