障害者雇用について
- 事業所名
- 社会福祉法人陶技学園
- 所在地
- 岐阜県多治見市
- 事業内容
- 社会福祉事業(障害者支援施設、グループホーム、ケアホーム、相談支援事業)
- 従業員数
- 165名
- うち障害者数
- 3名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 1 生活支援員 内部障害 知的障害 2 洗濯業務、調理業務補助 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次

事業所外観
1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
当法人のある東濃地方は古くから窯業原土に恵まれた日本有数の陶磁器の産地で、その生産工程には知的障害者に適した仕事も多く、その技術習得が就労にも好条件となることから、陶磁器産業を中心とした職業指導施設が最適であるという考えに基づいて昭和37(1962)年、岐阜県下では最初の民間障害児施設として「陶技学園」が設立された。
その延長として昭和41(1966)年成人更生施設「第二陶技学園」を設立し、さらに昭和55(1980)年に「陶技学園通勤寮」、昭和61(1986)年には「旭ヶ丘福祉ホーム」を設立して支援体制も整えながら、時代の変化や利用者の状況、ニーズの多様化に対応できるよう、作業の内容や生活内容にも変化を加えながら進めてきた。
平成5(1993)年には障害児童施設「陶技学園」が全面改築されたのを機会に成人更生施設「第一陶技学園」に変更改称し、平成9(1997)年4月には瑞浪市に高齢者更生施設「陶技学園みずなみ荘」を創設するとともに、平成13(2001)年には昭和41(1966)年設立の「第二陶技学園」を改築した。
その後平成18(2006)年には旭ヶ丘福祉ホームは「旭ヶ丘ホーム(共同生活援助)」に事業移行し、同年「陶技学園相談支援センター」を開設した。
「陶技学園相談支援センター」は、平成21(2009)年に事業を開始した「東濃障がい者就業・生活支援センター サテライトt」とともに、地域で暮らす障害をお持ちの方への就業や生活支援、相談支援体制の役目を担っている。両センターにおいては、平成24(2012)年度実績として月約195件の相談支援や、年27件の就職あっせん、職場定着支援等、障害者の就労支援を行っている。
なお、平成20(2008)年には陶技学園みずなみ荘が障害者自立支援法による新事業体系へ移行し、翌年には第一陶技学園、第二陶技学園も事業移行を行い、平成24(2012)年には陶技学園通勤寮、旭ヶ丘ホームと新たに新設したあじさいホームとともに「共同生活とうぎ」として再編した。現在は、多治見市内に第一陶技学園、第二陶技学園の2箇所、瑞浪市内に「陶技学園みずなみ荘」1箇所の障害者支援施設(生活介護、施設入所支援)と多治見市内にケアホーム2箇所、グループホーム1箇所の「共同生活とうぎ」において、利用者約300名に障害福祉サービスを提供している。
また、法人としては地域に根差した施設運営をめざし、障害者理解を目的に、地元の中学生、高校生との交流事業にも積極的に取組んでいる。
(2)障害者雇用の経緯
Aさんは、第一陶技学園の通所部の利用者として洗濯作業を訓練のひとつとして行っていた。法人としても障害者雇用について検討しており、時期がきたところで雇用に至る。ガス式の乾燥機も使用するため機械の取り扱いについて心配する声もあったが訓練中も問題なく、現在も同様である。他の職員の見守り、助言を必要とするが、業務は責任をもって行えている。自宅から列車と徒歩にて通勤している。
Bさんは、第一陶技学園の入所利用者であったころより、炊事当番として、食器の片付け、食堂の清掃をしていた。調理員の欠員や近隣のケアホームの空きもあり、今後の本人の将来も考え雇用に至る。職員採用後は近隣にあるケアホームにて生活しながら通勤している。こちらも栄養士、調理員の見守り、助言で業務に当たっている。
また、2名の雇用について他の職員は当然ながら理解があり、他の事業所のように知的障害者に接したことがない等の問題もなく、職場の仲間として接している。
2. 業務の内容、取組の様子
(1)Aさん
Aさんは第一陶技学園の施設入所支援利用者(以下「入所利用者」)100名分の衣類、シーツの洗濯業務を行う。平成20(2008)年3月より勤務している。勤務時間は8:30~15:30である。
洗濯業務は、天候の良い日は問題なく、手順どおりに業務を進めることができるが、天候がはっきりしないときは、乾燥機を使用するのか、外に干すのか、判断が難しいため他の職員が助言をする。また洗濯するものによって返却する順番があるのでそれについても確認しながら進めていく。第一陶技学園の入所利用者はAからEの5つのグループになっているが、衣類の乾燥終了後はそのグループごとにまとめて返却する。年度替わりで入所利用者のグループ分けが変更になると少し混乱するが利用者の名前を表にして、作業場所に貼ることで覚えてもらうようにしている。
また、多治見の夏は暑く、外で衣類を干す業務は熱中症に注意して水分摂取の確認が必要である。障害の特性により予定の変更は苦手だが、わかりやすく説明すること、仕事をして給料をもらうことの大切さを話すようにしている。
生活面では自分で計画をして、旅行等をすることを楽しみにされており、休日を利用して外出している。また、毎月の給料日の確認、貯金はいくらになったかの確認は欠かさない。
性格は元気で明るく、朝の挨拶もしっかりできるので、他の職員にもいい影響があり、また業務としては同じ作業の反復だが、もくもくと業務に当たってくれている。洗剤等の消耗品が無くなる前に、必ず報告があるので責任感も見られ、欠勤されることがないので事業所として貴重な戦力となっている。実際にAさんが欠勤となると大量の衣類洗濯に支援員が時間をとられ、入所利用者への支援にも影響することになると思われる。
![]() Aさん 洗濯業務の様子
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(2)Bさん
Bさんは第一陶技学園の調理業務補助として食堂の清掃、配膳、食器の片付け等の業務を行う。平成22(2010)年3月より勤務している。勤務時間は9:00~13:30、15:00~17:30である。
毎日の業務の最初には、検温等体調のチェック、本日の業務内容の説明、確認を行う。
施設利用者の食事は毎日施設内の厨房で調理して提供しており、食堂の厨房職員は栄養士1名、調理員6名、調理業務補助2名で調理・提供の業務を行っている。
平日の昼食は約160食を一度に調理する必要があり、調理員は栄養士のもとチームワークが良く、提供時間に間に合うように調理している。
本人は業務内容が切り替わるときなど、次の判断が難しいようで、業務に集中しにくいこともあるようだが、栄養士を中心に働く意欲を維持、継続してもらえるように心がけてサポートしている。
また、施設利用者の中にはBさんのようになりたいと炊事当番を自ら希望する利用者もおりBさんの仕事ぶりが励みになっている様子が伺える。
生活面での楽しみは給料を貰ったら、今月は何がほしいか等、ケアホームの世話人と相談しながら買い物の計画を立てることで、現在の一番の希望は古くなったテレビを買い替えることである。
施設入所からケアホームに移った頃は、一人で外出できるのは、近隣のコンビニぐらいだったが、少しずつ経験を積むことにより、一人で列車に乗り、病院受診をして、外食ができるようになっている。
仕事中に指示、助言されたことを気にして若干落ち込むこともあるようだが、ケアホームの職員の励まし、助言をもらいながら、前向きに勤めている。比較的長く利用者として入所していたこともあり、食堂内のことはよく把握しており、食堂内の変化によく気づき、備品の破損等の報告が栄養士にしっかりできる。業務としては清掃等の反復作業であるが、根気よく行うことができて貴重な戦力となっている。
![]() Bさん 調理業務補助の様子
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3. 今後の展望
現在、ふたりとも加齢により少し動作が遅くなっているが、体調を崩すことなく勤務できている。しかし体調の変化等、本人からの訴えが少ないことがあるので定期的に様子を伺い、何か心配事がないかを本人に確認をしながら、健康管理に努めたい。また随時、作業環境を考慮して働く意欲を維持、継続することにより充実した生活が送れるように、家族等と引き続き連携する必要もある。
今後については法人内の就業・生活支援センターはもとより、他の関係機関、地域と協力しながら環境等を整備し、障害者雇用の継続、拡大をめざし、それにより障害者の自立につながるように事業を展開していくことが社会福祉法人としてのひとつの使命ではないかと考える。
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