職員一人ひとりの自立心と職場のサポートを大切に
- 事業所名
- 株式会社十六銀行
- 所在地
- 岐阜県岐阜市
- 事業内容
- 普通銀行業
- 従業員数
- 3,441名(平成25(2013)年3月末現在)
- うち障害者数
- 67名(平成25(2013)年3月末現在)
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 11 肢体不自由 35 内部障害 7 知的障害 4 精神障害 10 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 事業所外観
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1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
十六銀行は、明治10(1877)年10月に設立された、東海地区を代表するリーディングバンクである。
「十六銀行は金融機関としての公共的使命を遂行することによって地域社会に奉仕する」、「十六銀行は広い視野に立ち、つねに合理性を貫き堅実な経営により発展をはかる」、「十六銀行はすべての職員が安定した生活ができるよう努力する」を基本方針として、お客様本位の経営姿勢のもと、地域経済の発展に貢献している。
名称 | 株式会社 十六銀行 |
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創業 | 明治10(1877)年10月 |
本店所在地 | 岐阜県岐阜市神田町8丁目26 |
総資産 | 5兆6,677億円(連結) |
預金等残高 | 5兆1,575億円 |
貸出金残高 | 3兆6,573億円 |
資本金 | 368億円 |
発行済株式総数 | 399,241,348株 |
連結自己資本比率 | (国内基準)11.27% |
従業員数 | 3,441人 |
営業拠点数 | 【国内】 本支店146か店、出張所11か所、ローンサービスセンター19か所、店舗外ATM225か所 【海外】 駐在員事務所2か所 |
(2)障害者雇用の経緯
金融機関を取り巻く環境が大きく変化するなか、十六銀行が地域金融機関としての役割を最大限に発揮する原動力は、何といっても生き生きと職場で働く職員一人ひとりである。
職員一人ひとりが自分の能力や個性に応じて、自立心と自覚をもって仕事に取組んでいる。一方で、仕事でうまくいかないことがあったり、分からないことがあったり、育児や介護などで大変なときには、職場全体で支えあい、サポートしていくことも大切にしている。
当行の行動指針においても、「和の精神=信頼と協力は明るい職場をつくる。相たずさえて心からの和を誓おう」の一文が刻まれている。
「職員一人ひとりの自立心と職場のサポート」は、障害者であるか否かに関わらず、3,000名を超えるすべての職員が、仕事をしていくうえで大切にしている基本姿勢である。当行においては従前から障害者雇用に取組んでおり、今も67名(※)の障害者とともに働いている。「和の精神」の行動指針のもと、障害者雇用だけを特別に捉えるのではなく、一人ひとりの能力や個性の違いの延長にあるものと捉え、同じ職場の一員として相たずさえて一緒に頑張ろうという風土が社内においても浸透している。
(※)平成25(2013)年3月末現在
2. 取組の内容
(1)募集・採用
- 方法
「障害者合同面接会」への積極的な参加、ハローワークや特別支援学校との連携を通じて、募集・採用を実施している。
- ①「障害者就職合同面接会」への積極的参加
ハローワーク主催の「障害者就職合同面接会」への参加を積極的に行っている。「障害者合同面接会」においては、一人あたりの面接時間が限られるため、採用に向けた検討ができる場合には、改めて本人との面接を実施している。
- ②ハローワークや特別支援学校との連携
「障害者就職合同面接会」は定期的な開催となることから、より適時性のある募集・採用を実施するため、ハローワークや特別支援学校と個別に連携するなかで、求職者の紹介を受けている。
- ①「障害者就職合同面接会」への積極的参加
- 採用時に配慮していること
採用時においては、「何ができるのか」、「何ができないのか」といった基本的な確認をはじめ、「健康上配慮が必要なことは何か」、「通勤や配属場所について配慮が必要なことは何か」、「そのほか、仕事をしていくうえで不安なことは何か」といったことまで、求職者と時間をかけてじっくり話し合うようにしている。
場合によっては、配属候補先となる職場の職員と人事担当部署の職員が一緒に本人と話し合うこともある。
このように、求職者と時間をかけて話し合うのは、当行が障害者の「中長期的な雇用の安定」に重きを置いているためである。
仕事を通じて自己実現を図るとともに、安定した生活を営んでいくことは、障害者に限らずすべての職員が働くうえでの基本的な前提条件である。採用時において、雇用する側、雇用される側に「認識のミスマッチ」があると、早期退職という残念な結果にもつながりかねない。
障害者が長く仕事を続けることができて、かつ、当行で働くことにやりがいを見出すことができてこそ、障害者雇用は成功と呼べるはず。こうしたことから、当行は採用時における求職者とのコミュニケーションを特に大切にしている。
(2)障害者の業務・職場配置
- 基本的な考え方
当行は、営業店における接客業務から、本部における企画・管理業務、関連会社(出向扱い)におけるオペレーション業務等に至るまで、幅広い業務を行っている。
こうしたことから、配属に当たっては、採用時における話し合いの内容を踏まえ、幅広い業務のなかから、どの職場が本人の障害に配慮した職場となりうるのか、どの業務が本人の能力や個性を最大限生かすことができるのかを十分に検討のうえ、きめ細やかな配属(職域開発を含む)を行っている。
- 配属事例
勤続26年となる肢体不自由のAさんは、融資関連書類をスキャナで読み込み、システムへのデータ入力を行う業務に従事している。左上下肢が不自由であるため、スキャナを自身の右側に設置して、できるだけ少ない動きで一連の作業が完結できるよう、レイアウトの工夫を行っている。
職場はペア制となっていて、2人が協力しあって仕事をする体制となっている。
Aさんの場合、重い荷物を持つことができないため、作業が終わった書類一式を書庫に格納するときは、ペアの相手方が荷物を運び、Aさんと一緒に格納場所の確認を行っている。
Aさんは、「仕事を覚えるために、しっかり勉強することが必要。また、できるだけストレスをためないようにしています」と語る。
なお、Aさんが働くビルでは、今年に入ってから、手すりや緊急呼出ボタンのついた洋式トイレへの切り替えが順次行われている。
聴覚障害のあるBさん、Cさん、Dさんは、各営業店から集約される伝票の画像をもとに、端末への入力を行う業務に従事している。仕事で分からないことがあれば、お互いに手話で情報交換をしながら、カバーしあうようにしている。また、銀行の専門用語で該当する手話がない場合は、いわゆる「指文字」を使って専門用語を習得している。
勤続29年、まもなく定年を迎えるBさんは、「私が会社に入ったころは手話ができる人がひとりもいなかった。そうしたなか、職場の所長が手話教室を開いてくれた。私が先生となって、社員やパートの皆さんが手話を覚えてくれた。いまでは職場のなかで同じ障害をもつ仲間も増えて、周りの社員やパートの皆さんも手話ができる。毎朝、必ずお互いに笑顔で目を合わせて手話で挨拶するよう心がけています」と語る。
![]() スキャナでの読み込みを行うAさん
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![]() 手すり、緊急呼出ボタンのついたトイレ
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![]() 端末への入力を行うBさん、Cさん、Dさん
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3. 取組の効果、今後の課題と展望
(1)取組の効果
はじめはお互いにどのように向き合って良いか分からないこともあったが、障害者雇用が進むにつれて、障害者とともに働くことについての理解が深まってきた。
障害者が仕事をしていくなかで、人間関係や仕事のトラブルなど、時には壁にぶつかることもあるが、そういったときこそお互いが膝を突き合わせて1つ1つ問題を解決していくことによって、固い信頼関係を築くことができるようになってきた。
(2)今後の課題と展望
障害者雇用の裾野が広がるにつれて、同じ職場で複数の障害者が働くケースも珍しくなくなってきた。障害者同士でも、互いに認め合い、助け合い、励まし合えるような「繋がり」をより強く、深いものにしていきたい。また、「定年まで働くことができた」、「複数の職場を経験して仕事の幅が増えた」といったロールモデルを増やしていくことも、これから働く障害者にとっては心強いはず。
障害者雇用において、一朝一夕に成功を収める特効薬はない。
職場で働く本人、それを取り巻く職場の仲間と、人事担当部署の担当者。皆が一緒に、時間をかけて、じっくりと自分と向き合い、仲間と向き合う。職員一人ひとりの自立心と職場のサポートを共通認識に取組むことで、当行の障害者雇用は1歩ずつ、着実な前進を続けていく。
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