「至上協働主義」 社員一人ひとりが主役、全員参加で自立への挑戦
- 事業所名
- パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社(旧社名 滋賀松下電工株式会社)
- 所在地
- 滋賀県彦根市
- 事業内容
- 電子回路を中心に電器機能部品の製造・販売
- 従業員数
- 57名 (平成26(2014)年3月1日現在)
- うち障害者数
- 31名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 8 接合検査修正、外観検査ほか 肢体不自由 15 接合検査修正、日報入力作業ほか 内部障害 知的障害 8 自動実装機のオペレートほか 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次

事業所外観
1. 事業所の概要
(1)設立の経緯
当社は、「重度障害者多数雇用事業所」として、働く意志と能力をもちながら適職や職場環境に恵まれない人々に安定した環境と雇用を確保・促進するために、滋賀県と彦根市及び当時の松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)の第三セクター方式(出資割合:滋賀県:44%、彦根市:5%、パナソニック株式会社:51%)によって平成6(1994)年8月に設立、翌年7月より操業を開始した。
平成8(1996)年3月に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)の「特例子会社」の認定を受けている。
また、設立に際しては障害者雇用納付金制度による助成金も活用された。
(2)概要
当社は、電子回路を中心に電器機能部品の製造・販売を行っており、「メンズシェーバー」「アラウーノ(温水洗浄タンクレストイレ」「ナノイー関連」などの商品に採用されている。
2. 障害者雇用の状況
(1)会社の基本的な考え方
設立当時の障害者雇用は新規学卒障害者8名と既卒の障害者11名、合計19名の障害者雇用からスタートした。
当社は、障害のある人々とない人々が、ともに明るい環境のもとで生産活動に励み、快適な職場生活がおくれるよう十分な配慮がされており、障害がある人々の職業的自立を支えるモデル事業所として、地域社会に貢献できる会社を目指している。
(2)障害者雇用と社会貢献について
パナソニック株式会社の障害者雇用における雇用率は2.0%以上を目標としており、平成26(2014)年5月現在、パナソニック連結で2.16%となっている。
その他の社会貢献として、当社は、次のような取組を行っている。
- ファンづくり
学校・官公署・福祉関係を含め積極的に工場見学の受入を行っている。平成25(2013)年3月現在、累計9,254名もの方々に来社いただいた。
- 社外へのPR活動
- 障害者ワークフェアにおける社団法人全国重度障害者雇用事業所協会の展示会への出展
- 全国障害者技能競技大会での入賞
- 滋賀県内の特別支援学校(滋賀大学教育学部附属特別支援学校、県立養護学校、県立聾話学校)、就労支援センタ-等の就業体験実習の受入
- 滋賀県内市立中学2年生の就業体験学習の受入(中学生チャレンジウィーク)
- 高校2年生のインターンシップの受入など
(3)障害者の作業風景
写真は「部品取り付け工程」である。整理整頓され適切な安全対策がとられている静かな作業スペースで、従業員は静電気靴を履き、所定の作業服を着用し、労働安全教育が行き届いていることが伺えた。
![]() 部品取り付け工程
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3. 障害者の雇用管理のための取組
(1)働く環境の整備
- 障害者の雇用確保のため「ロボット工程」の採用
2名の請負社員で行っていた工程にロボットを採用することにより、1名の障害者での作業を可能とした。
- 障害者の作業効率改善
「車いすの高さ」「背の高さ」「好み」に合わせて「作業台の高さ」を変えることにより障害者の作業負担の軽減、作業効率の改善を図っている。
- 障害者の負荷軽減(障害者に優しいラインの新規導入)
「部品挿入~はんだ付け~電気検査~外観検査」を一貫ラインとすることで、「ラックの取り出し、運搬、入れる」作業を除外することが可能となった。
- 施設面での配慮
- ①作業スペ-スは「グリ-ン」色を基調として暖かい雰囲気を出している。
- ②食堂(休憩室)は可能な限り「開口部」を大きくして、自然光を多く採り入れている。
- ③車いす使用者には、「屋根付駐車場」を提供し、雨降りの日の配慮をしている。また、従業員用玄関は緩やかなスロ-プとし、ゆったりとしたスペ-スを採っている。
- ④自動扉の設置、玄関フロア-の“段差レス”(色分けにより土足域との区分)、手すりの付いた通路、電気のスィッチをやや低く設置するなどのきめ細かい配慮がされている。
- ⑤驚かされたのは「トイレ」。便器の設置方向や仕様を変えて4ケ所に設置することによりすべての障害者が安心して用を足すことができるよう配慮されている。
- ⑥万が一の管理体制として、聴覚障害者に配慮した「火災警報パトライト」の設置、事務所に直接連絡が入るトイレ内の「緊急呼出し」など緊急事態にも対応されている。
(2)労働条件及び社内規則
勤務時間は午前8時50分~午後5時35分の8時間労働で、昼休み45分間、午前午後に各10分間の休憩となり健常者と同一である。
原則として、自力で出社できることを採用の条件としているが、当社の立地環境から朝・夕には最寄駅までの送迎バスが用意されている。
(3)障害者の職務遂行上の不安軽減策
障害者の職務遂行上の不安軽減策の主なものとしては、月に2回、希望者からの産業医・看護師面談の機会を設けている。なお、必要な場合は会社から産業医と障害者との面談をセッティングしている。
また、休みが多く変調が見られる障害者に対しては、出身学校の先生や「障害者就業・生活支援センタ-彦根」等からの協力・助言を得て対応するケ-スもある。
※当社の障害者採用は主にハロ-ワ-クを窓口とし、その他、県立の聾話学校・養護学校と多岐にわたっている。
(4)活性化活動
従業員が委員となる各種の委員会活動を中心に活性化の基盤づくりを行っている。
例えば「活性化推進委員会」という委員会があるが、この委員会では定例行事として毎日の朝会の中で全員が参加する“手話の学習”を行っている。これは創業以来継続されており、従業員間のコミュニケ-ションの円滑化、情報共有に大いに役立っている。その他同委員会では心身のリフレッシュを目的としてボウリング大会やゲ-ム大会を実施している。
また、社外の技能コンクール(滋賀県障害者技能競技大会)にも積極的に参加している。その他、家庭情報のフィ-ドバックを目的として1回/年、「ご家族懇談会」も実施している。
![]() 「第12回滋賀県障害者技能競技大会」電子機器組立競技に参加する従業員(於:ポリテクカレッジ滋賀 2014.1.19)
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4. 今後の課題及び展望
約1時間半程度、工場長と課長代行のお二人からプロジェクタ-を使ってお話を伺ったり、工場内を見学させていただいた。
工場内見学の際は、従業員の皆さんから“こんにちは”と、丁寧なご挨拶を受け、社内教育が隅々まで浸透していることが実感された。
工場長から3つの自立、すなわち「個人の自立」「職場の自立」「仕事の自立」の説明を受け、この3つの自立の基に「経営の自立」が可能となる「至上協働主義」の説明を受けた。そのためには今後の課題として「障害者の中から“班長”や“リ-ダ”として活躍できる人材が早く出てきてほしい。そのためには、会社としても人材育成や職場環境整備に積極的に関わっていきたい」との話があった。また「電機業界の置かれている環境は、依然厳しいものがあり、障害者雇用の面で大きな飛躍はすぐには期待できないものの、当社の設立趣旨に沿って着実に取組んで行きたい」との力強いお話を伺った。
最後に、工場長から「“明るく笑顔で仲間意識を持って”、やり甲斐、生き甲斐を実感できる会社へ前進するため、心の通う明るい職場づくりを目指していきます」という力強いお言葉をいただき取材を締めくくった。
![]() 「至上協働主義」社員1人ひとりが主役、全員参加で自立への挑戦!
[パナソニックアソシエイツ滋賀㈱HPより抜粋] |
[個人の自立] | 自分の職場・仕事を大切に守り育てる気構えをもち、人格の育成に努める。 |
[職場の自立] | 障害がある人が、互いに友愛と連帯感を高め、心のふれあう明るい職場づくりに努める。 |
[仕事の自立] | たえず新しいものにチャレンジする精神を養い、仕事のノウハウを蓄積することによって仕事に強い集団となり、その仕事を通じて働きがいを見つける。 |
[経営の自立] | 自主責任経営を基本とし、永続的な経営の基盤を築くための適正利益の確保。 |
常勤嘱託 野村 賢三
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