個々の特性を生かした職務でその能力を発揮させる
- 事業所名
- 株式会社なかむら
- 所在地
- 京都府京都市
- 事業内容
- スーパーマーケット
- 従業員数
- 243名
- うち障害者数
- 5名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 3 販売一般業務 知的障害 2 販売1、商品製造1 精神障害 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 事業所外観 | ![]() 生鮮館なかむらのマーク |
1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
昭和41(1966)年4月「株式会社なかむら」として法人化した。
地元の皆様に愛され続け、現在京都市内北半分を基盤に11店舗にて営業活動を行っている。
当社は創業地である京都市左京区を中心とした、京都市内北半分を営業基盤としている。これは創業以来お世話になっている地元顧客への還元をするため、地元密着を基本精神としている為である。
<当社基本理念>
- 地域の皆様に奉仕の精神で接客すること
- 清潔でフレッシュ感を抱かせる店舗であること
- 常に商品開拓に力を注ぎ、より良い品を安定供給できること
またCGCグループとして、その協業活動にも積極的に取り組んでいる。
![]() CGCグループのロゴグループ |
CGCとは全国レベルのレギュラーチェーンに対抗するため、ローカルの中堅・中小スーパーマーケットが結集し、地域のお客様の食生活を支えるため、共同仕入れやプライベートブランドの開発のほか、物流体制の整備・教育プログラムの共有などを通じ、全国の加盟店やお客様に貢献するCo-operative(共同で) Grocer(食料品を扱う) Chain(チェーン)<コーペラティブ グローサー チェーン・協業組織>のことである。現在全国225社3,878店舗からなる日本最大級のコーペラティブチェーンである。
昭和48(1973)年、原油価格が高騰し、トイレットペーパーや洗剤など石油関連商品が店頭からなくなり、わずかな商品を求めてお客様が店頭に殺到しパニックになった、いわゆる石油ショックが起こったことはいまだ記憶に留まっているが、その時に「お客様に良い商品をより安く、安定的に提供するためには、全国規模でまとまることが必要」と考えた中小スーパーマーケットが結集したのがCGCグループの始まりである。
(2)障害者雇用の経緯
当社は地元の皆様に育てて頂いたという思いから、地元に還元することを経営理念としている。当初は障害者ということで気遣いがあったが、仕事振りをみていると、その懸念もなく障害者も障害のない者も互いに意識もせず就業するようになっている。
2. 取組の内容と効果
(1)就労支援事業への協力
当社近隣の就労支援センターの要請により、同センター(就労支援事業所)に商品の袋詰め等の下請け作業を委託している(なお、このうち2名は下請け作業での働きぶりをみて、当社が直接雇用に移行した)。
直接雇用のほかにも障害者就労のために当社としてできることは何か?いろいろ思考した中で、現在実施しているのが当社敷地内に作業場を設け、商品の小分け・袋詰めなどの作業を通じ、仕事の楽しさや大切さを学んでもらおうということだった。
朝から商品を当社荷分け場からゴンドラや台車に乗せて作業場に搬送し、商品(大抵は、胡瓜や茄子、ジャガイモ、さつま芋などの青果物が多い)を決められた数量や重量に袋詰めをする作業を開始する。それら作業を覗いてみると、常に指導員が付き指導をされているが、作業中はそれはそれはにぎやかで、大変楽しそうな光景が飛び込んでくる。これらの経験が将来の社会復帰の足がかりとなれば我々としても大きな喜びだ。
![]() 商品の小分け・袋詰め作業 |
(2)学校との連携による新卒採用
同じ左京区の養護学校(特別支援学校)より新卒者の受入要請があり、平成19(2007)年4月に初めての新卒採用となった。当人は現在も在勤中で、一昨年には5年勤続表彰を京都市より受賞した。現在は当社一乗寺店にて勤務、販売員として商品の陳列や接客にも取り組んでいるが、特に商品の陳列などは他の者と比較しても全く遜色なく、むしろ群を抜いているように思える。仕事が丁寧なうえ、何事にも真面目に取り組む姿勢がお客様の評価も大変良くお褒めの言葉を頂くこともあり、そのことが当人にとっても大いなる励みとなっている。
![]() 商品の陳列作業 |
(3)障害者雇用のための作業構築
当社では、京都高齢・障害者雇用支援センターの指導・協力のもとで平成25(2013)年11月新たな作業構築のため、大量に発生する発泡スチロールを熱処理し再生資源にする機械を導入、その機械操作等の作業に従事する障害者の雇用に役立った。左写真は、発泡スチロールが1本10Kgのインゴットに変身積み上げられている状態のもの。右写真はその作業中のものである。これまで廃発泡スチロールは嵩が高く、軽いため散らばりやすいという面倒なものであった。この面倒なものを、熱処理し棒状のコンパクト樹脂にすることは、減容し、保管もしやすいメリットがあり、機械操作もしやすく高齢者や障害者にも十分作業ができるものになっている。またできあがった樹脂インゴットは、輸出され玩具や雑貨などのプラスチック製品に生まれ変わり再度輸入される。これらの流れを知ったうえで作業するとさらなる作業意欲が湧いてきている。この設備導入を機に、障害者の就業内容の幅をひろげ、雇用の促進にも貢献できるようになった。
![]() インゴットになって積み上げられている発泡スチロール | ![]() 発泡スチロールを再生資源にするための機械の操作作業 |
(4)その他の社会貢献
- S&B杯ちびっ子健康マラソン大会
毎年、都道府県単位で実施している小学生対象のマラソン大会である。スポーツを通じて将来の日本を担う心身共に健康な子供たちを育成する目的で、エスビー食品株式会社と共催して毎年実施している。
京都府では今年(平成26(2014)年)、28回目となる同大会を11月16日(日)に開催予定で、多くの小学生が参加する見込みである。大会は各学年男女別にレースを行い、順位よりも全員完送を目標にしており、これまで全国通算120万人を超える完送者を出している。今後も、子供たちの思い出の機会を作り、子供たちの健全な成長を願って継続していきたいと考えている。
- CGC全国児童画コンクール
「絵画を通じ、子供たちの情操教育をサポートするとともに、地域のコミニュケーション育成にも力を注ぎ地域の絆を大切に」をモットーにCGCグループで行っているものである。応募の受付はグループ社の各店舗で行っている。今年(平成26(2014)年)33回目を迎え、今年も1作品につき、5円を積み立て、東日本大震災の被災者の方々への寄付を行う。
- 青森県の高校生によるリンゴ実習販売
毎年、12月初め、全国唯一りんご科を設置している青森県立弘前実業高等学校(旧藤崎高等学校)の生徒さんが当社店舗にて、実習販売をしている。
校内の農場で自分たちが育てたリンゴ(リンゴは前日当校より直送)を京都の当社消費者の皆様に味わって頂きたいと、修学旅行のなかで半日をこの実習販売のために当社の4つの店舗に来てくれる(実施店・一乗寺店、衣笠店、円町店、下鴨店)。年に一度の実習であるが、実施4店舗のお客様のなかには待ち望まれ、今年は何時の開催か?というお問合せなども多くあり、開催日にはケースで購入される方も少なくない。その中で、生徒さんには商売の難しさや楽しさなどを学んでもらっている。
- インターンシップ
店舗近くの中学校や高等学校からの依頼に応じ、就業実習を受け入れている。期間は1人一回3日から5日程度であるが、朝から夕方まで当社社員が付いて作業の指導をして、就業の大切さや楽しさを実感してもらい、将来に備えて学んでいただいている。我々も実習が終わったあとの感謝の手紙を貰ったときは大変うれしい気分になっている。
3. 今後の課題
現在障害者に対する業務は限られたものとなっているが、今後さらに裾野を広げていくためにはどのような職場が必要なのか、他の従業員と隔たりなく融合していくにはなにが必要かなど、まだまだ検討していく余地はたくさんある。これらを解決していくために、今後更に職場での環境作りに取り組む必要があると考える。また、高齢者雇用についても当社では以前より就業規則を弾力的に運用しており、定年60歳を迎えた従業員に対して、希望者には継続雇用制度を適用し更に65歳に達した時点で、特に希望がなければ更に雇用の継続をしている。これは正社員のみならずパート社員にも適用し、80歳を超えても今なお現役で就業しているかたもおられ、それに続く80歳予備軍も多く年々平均年齢が上昇していくのが現状である。しかしながらこういった高年齢の従業員のこれまでに培った経験を生かした業務は、若い世代にも良い影響を与えている事は事実である。今後も、経験を生かした高齢従業員と若い世代あるいはその中間年齢層の融合は大きな力となって、会社を動かしていくものと考えている。またこれからの高齢者の雇用、障害者の雇用促進が地元地域で生き残っていくキーワードになるものと考える。その為の方策をこれからもしっかり立てていきたい。
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