事業所名

サンデンブライトパートナー株式会社

所在地

群馬県伊勢崎市

事業内容

部品梱包業務、清掃業務、事務サポート業務

従業員数

23名

うち障害者数

19名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害
聴覚・言語障害	4	事務サポート、部品梱包
肢体不自由	3	清掃
内部障害	1	事務サポート
知的障害	5	部品梱包、清掃
精神障害	3	事務サポート、清掃
発達障害	3	部品梱包
高次脳機能障害
難病等その他の障害

その他

特例子会社、障害者職業生活相談員

目次

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯と背景
2. 障害者の従事業務、職場配置
3. 取組の内容
4. 取組の効果と今後の展開

事業所外観

1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯と背景

（1）事業所の概要

当社は、平成25（2013）年2月サンデン株式会社の子会社として設立され、同年4月に特例子会社として認定された。本社は群馬県伊勢崎市のサンデン株式会社の本社事業所内にあり、現在19名の障害者を雇用している。

サンデングループは、自動車用コンプレッサー、自動販売機、冷蔵ショーケース等の開発、製造、販売をグローバルに展開している。その中において、サンデンブライトパートナー株式会社は、サンデングループの工場内清掃、事務補助作業（データ入力等）、部品梱包等を行っている。

サンデングループは、ダイバーシティへの取組をしていて、多様な人材に最大限の能力を発揮してもらう仕組みづくりに注力している。その中で、障害者雇用には積極的に取り組んでいる。

（2）障害者雇用の経緯と背景

サンデン株式会社は障害者雇用を進めていたが、障害者の雇用の促進等に関する法律（障害者雇用促進法）改正により法定雇用率が上がったことを契機に、障害者に働きやすい職場を提供し地域社会に貢献していくことを目的に特例子会社を設立し、もってグループ全体で障害者雇用義務を果たし社会的責任を果たせるよう障害者雇用を更に進めた。

これは、社是にある「仕事を通じて社会福祉と文化の向上に寄与します」という考えや、企業理念にある人権尊重の考え方「あらゆる人の尊厳と基本的人権の尊重の精神に基づく企業文化を築きます」という、社会福祉と人を大切にするという考えの実践行動である。

親会社の企業理念に基づき、設立当初から当社にて就業可能な人材であれば障害の種類を問わず採用を進めてきた。設立時は、障害者合同面接会（ハローワーク主催）に参加し8名の採用を行った。会社設立後は求人を出し独自に採用活動を進めてきた。

就労後の問題解決や障害者の雇用管理について、群馬障害者職業センターや地域の障害者就業・生活支援センターメルシーからご指導、ご協力を受けながら障害者雇用を進め、現在は求人時から各機関と連携し採用活動を進めている。

2. 障害者の従事業務、職場配置

当社の業務は、清掃、部品梱包、事務サポートの3つの作業がある。

（1）清掃作業

清掃作業は、2人一組で、身体障害者と精神障害者のペア、身体障害者と知的障害者のペア、知的障害者同士のペアの3組で行っている。主な清掃箇所は、トイレ、フロア、階段、通路である。

（2）部品梱包作業

梱包作業は6名で、知的障害者2名、聴覚障害者1名、精神障害者1名、発達障害者2名で行っている。業務内容は、指示書を基に部品、梱包材を用意して、1品ずつ袋に詰めて、ラベルを貼り、梱包指示単位でまとめ、倉庫に納める作業で、能力に応じて役割分担を決めて取り組んでいる。

（3）事務サポート

事務サポートは、パソコンを使ってのデータ入力や、社内便の仕分け、資料等の封入・仕分け・発送などを行っている。

清掃作業

梱包作業

事務サポート

3. 取組の内容

会社設立後短い期間ではあるが、障害のある社員と一緒に仕事をして行く中で個人によって様々な障害があり、程度が違い個人ごとに雇用管理の手法を変えていく必要があることが分かってきて、2名の障害者職業生活相談員（以下「相談員」という。）を置いて障害のある社員への対応を進めてきた。その内容について説明する。

（1）コミュニケーション

障害のある社員（以下「社員」という。）個々人の状況を把握する為に、定期面談を開始した。定期面談は3ヶ月に一度行う、その定期面談とは別に状況に応じての面談を実施した。

定期面談では、障害の状況（体調面、精神面）、仕事の不平不満、生活状況などと併せて現在の目標を確認し、目標を持って仕事に取り組めるようフォローをしている。

状況に応じての面談は、日頃の状況を見る中で、面談が必要だと判断した人に行っているが、精神障害の人がほとんどで、状況に応じてではあるが、通院後等に日々面談を行い、状況を確認しながら、業務の割当てや業務時間の配慮等を行っている。

また、ペアで行っている職場では、週1回ミーティングを行い、お互いに今週できたところ、できなかったところを話し合い、問題があれば、早めに解決できるようにしている。話を聞いて問題を溜め込まないようにフォローすることが重要なので、相談員を中心に日頃から声かけをこまめに行うよう努めている。

（2）採用・支援機関との連携

最初の採用は、ハローワーク主催の障害者合同面接会に参加しての採用であった。そのため、初めて採用した社員は、「障害者就業・生活支援センター」（以下「支援センター」という。）に登録している人と、登録していない人がいた。

障害者を採用して仕事を進めて行く中で、色々な問題が出てきて、我々素人では対応できない問題があり、その時は、伊勢崎市を管轄とする「障害者就業・生活支援センターメルシー」に相談し対応してきた。仕事上の指導は会社側でできるが、障害に対する対応や生活面での対応はうまくできず、支援機関の協力を得る必要があったので、支援センターに登録していることは障害者雇用にとって重要なことであることが分かってきた。このようなことから、支援機関との連携を進める中、採用活動も変えてきた。

当初は、ハローワークに求人票を出して独自に採用活動を進めていたが、現在は、支援センターからの推薦者について職場実習を行った上で採用する方法をとっている。採用は、まず見学会、次に実習希望者による実習、そして、採用面接という流れで行っている。

利点は、障害者も実際の作業ができるかどうか就職前に体験でき、職場の雰囲気などが体感できる点で、会社側も就労希望者のスキルやコミュニケーション能力等の確認ができる点、そして、支援センターが入ることによって、就労希望者の障害特性などが事前に分かる点である。その上、就労後のフォローアップ（定着支援）を実施してもらえるなど、会社側としては利点が多い。

また、支援センターに相談することにより、各支援機関と連携を取って、会社が希望する職種に適した障害者を見学に案内してくれるなど、会社側ではできないことを行ってくれるとともに、就労後の支援の中で、様々な特徴を持つ社員の生活面の指導という点では、支援センターが会社側と障害者の間に入ってもらい生活面の支援を行ってくれる。これは、仕事をする上で非常に重要で、生活が安定すれば会社にもきちんと出勤できて仕事ができるようになるからである。

群馬障害者職業センター（以下「職業センター」という。）で訓練を受けてから入社した人は、ジョブコーチ支援を受けて定着を図っている。働く時間についても、入社時に職業センターのジョブコーチ及び本人と相談し、勤務時間を決め、状況に応じて時間を延ばしていく方法を取っている。時間を延長する場合も本人、ジョブコーチ、会社の3者で相談し決めている。すでに、6時間勤務から開始して8時間のフルタイムで働くようになった社員もいる。

（3）地域との連携

設立当初より、群馬県立前橋高等養護学校伊勢崎分校を中心とする特別支援学校から生徒の実習受入れの要請があった。初年度は2校、延べ3回の実習を受け入れた。2年目の本年度（平成26（2014）年度）は、3校から延べ5回の実習を受け入れた。平成27（2015）年の春には、その中の1名を採用することとなった。特別支援学校の他にも、支援センターを通して地域の「就労移行支援事業所」からの実習の受入れや、県で行っている障害者委託訓練の受入れも本年度から行っている。今後も地域と連携した実習受入れを行い、採用活動に繋げていく。

4. 取組の効果と今後の展開

（1）取組の効果（障害者自身のコメントから）

ア．Aさん（精神障害者）

「仕事は、事務作業をしています。良かった点は、体調が悪くフルタイムで働けなかった時に働く時間の考慮をしてくれたことです。色んな障害の人と働いていますが、皆優しく、チームワークが良くて落ち着いて仕事ができています。」

イ．Bさん（精神障害者）

「仕事は、部品の梱包作業をしています。良い点は、働き易い環境となっていることで、仕事内容や、上司や仲間とのコニュニケーションが取りやすい点です。毎日の目標を「ミスゼロ」としてやっています。長期的には、正確に速く作業ができるように取り組んでいます。」

ウ．Cさん（知的障害者）

「仕事は、部品の梱包作業をしています。前の会社では、仕事が段々と減らされて週に何日も働くことができませんでした。障害者就業・生活支援センターさんわから勧められて見学、実習を行い、自分に合っていると思ったので就職しました。仕事は、上司の人が親切に教えてくれるので助かります。目標は、作業ミスを無くし速くできるようになりたいです。色んな障害の人と働いていますが、チームワーク良く働いています。」

（2）今後の展望

会社を設立して2年弱であるが、徐々にグループ内で受託する業務も増えてきている。まずは、現在の業務を確実に実施し、更に職域が広がるよう取り組みたい。

働き続けられる環境を整備し、障害者が個人の能力を十分に発揮して会社に貢献できる環境をつくり、安心して働ける会社とし地域社会に貢献して行く。