精神障害者を中心に障害者雇用の促進に貢献
- 事業所名
- ヤマトクレジットファイナンス株式会社
- 所在地
- 東京都豊島区
- 事業内容
- 個別・包括信用購入あっせん業務、債務保証業務 他
- 従業員数
- 269名
- うち障害者数
- 7名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 7 パソコン入力業務 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 事業所外観 |
1. 事業所の概要
・会社設立 | 昭和49(1974)年8月 |
・資本金 | 5億円 |
・株主 | ヤマトホールディングス株式会社(70%)、ヒューリック株式会社(25%)、 株式会社みずほ銀行(5%) |
・役職員数 | 269名(役員11名、社員214名、派遣社員44名) |
・事業内容 | (ア)個別・包括信用購入あっせん業務 ・ショッピングクレジット及びクレジットカードにより、商品等ご購入者様に代金の分割払いを提供するサービス (イ)クロネコあんしん決済サービス ・企業間の売掛金回収に係わる全ての業務(与信、請求、入金保証)を一括代行する事業者様向けサービス (ウ)クロネコ代金後払いサービス ・通信販売における商品等ご購入者様に、安心・便利な「後払い決済」を提供する通販事業者様向けサービス (エ)ABL業務(売掛金・動産担保融資) ・売掛金や商品在庫、自社所有の車輌などの資産を担保とする新たな資金調達方法を提供する事業者様向けサービス (オ)集金代行業務 ・商品等ご購入者様からの代金の定期的な回収に便利な「口座振替」決済を提供するサービス |
ヤマトクレジットファイナンス株式会社(旧社名「ファインクレジット株式会社」)は、昭和49(1974)年、信販専業会社として設立。その後、平成17(2005)年4月、ヤマト運輸連結子会社としてヤマトグループ入りし、平成24(2012)年8月1日より現社名であるヤマトクレジットファイナンス株式会社に社名変更した。ヤマトグループの金融会社としての位置付けをより明確にするとともに、当社の持つ与信機能や決済機能をベースに、ヤマトグループの物流をはじめとする各種機能を融合させた「物流金融・信販決済機能」という新しい価値を提供し、買い手(購入者)の利便性向上と売り手(販売者)の経営改革への貢献、ひいては日本経済の発展に寄与し続ける企業になりたい、という思いのもと、№1の「事業成長支援ソリューションプロバイダー」としての事業基盤確立に、全社一丸となって取り組んでいる。
2. 障害者雇用の背景・経緯
(1)障害者雇用の背景
「宅急便」を開発・成功させ、ヤマト運輸株式会社の社長・会長を歴任した故・小倉昌男氏が、心身に障害のある人々の「自立」と「社会参加」を支援することを目的に、「公益財団法人ヤマト福祉財団」を設立、グループ全体で障害者支援を積極的にすすめている。取組には、「ヤマト自立センター」による就労に必要な知識・技術の指導、就労先の開拓・結びつけ・定着支援を行う就労移行支援事業や、障害者に働く場所を提供する焼きたてパンのお店「スワンベーカリー」の運営などがあり、障害者の経済的自立を目指している。ヤマトクレジットファイナンスにおいても、障害者が働ける機会を増やすため積極的な障害者雇用を推進している。
(2)障害者雇用の経緯
当社は、平成20(2008)年から障害者雇用に取り組み始めた。信販業務においては、お客様の審査業務や債権管理業務など、専門性と難易度の高い業務が多く、障害者にどのような業務を任せられるか調整が難航したが、折しも、新サービス開始により業務の種類が増えたこともあり、同業務へ試行的に障害者を配置することにした。結果として、充分な生産性が確保できることが確認できたため、現在は、積極的に障害者に業務を任せる体制が確立されている。
3. 取組の内容と効果
(1)取組の内容
現在の障害者雇用数は7名(うち常勤6名、短時間1名、全員精神障害者)で、平成26(2014)年12月現在、実雇用率は2.8%である。当初は、障害者雇用に関して知識がなかったため、ハローワークの障害者雇用指導官の指導のもと、職業訓練施設の見学やハローワーク主催の「障害者合同ミニ面接会」に参加し、採用を実施していた。障害種別については、当初身体障害者中心の採用を考え数名を雇用していたが、昨今の身体障害者の応募比率の低下、精神障害者の応募急増に伴い、いち早く精神障害者雇用に対応し、現在は精神障害者の雇用へシフトしている。
しかしながら、精神障害者においては、日々の仕事や環境に対し不安を感じている場合が多く、なかなか職場に適応できないため採用しても定着しない時期が続いていた。そこで、障害者就労支援機関を活用して、入社後の定着化フォローを実施していく体制を構築し、これにより安定した雇用が維持できるようになってきた。そのことにより、個々のスキルアップが図られており、業務上必要戦力として欠かすことのできない社員として位置づけられるようになった。
(2)障害者の業務内容
障害者の業務としては、パソコンを使用した取引先情報等のデータメンテナンス作業等で、ほぼ全員がこの業務を担当している。
![]() 職場(事務室)
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![]() 就業の様子
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(3)障害者雇用で気を付けている点と効果
- ア.就労支援機関を通した雇用
当社が新たに障害者を雇用する場合は、日ごろから連携している就労支援機関から推薦を受けるようにしている。就労支援機関では当社の障害者に対する姿勢や業務内容について理解しているため、業務とのマッチングについても任せることができ、入社後も精神保健福祉士等による専門的なフォローやメンタルケアを受けられるため、本人が安心して仕事を続けていくことができるようになり、定着率が格段に向上している。
具体的には、2、3カ月に1回、登録している就労支援機関の担当者による二者面談を実施し勤務上において問題はないか、要望点はないか等の聞き取りをした上で、会社側にフィードバックし、必要と思われる事項があれば、三者で話し合いを行っている。また、障害者地域自立生活支援センターのサポート担当の保健師・心理相談員にも来訪してもらい障害者全員に対し同様の面談を実施している。 - イ.1日の就業時間、出勤日数(曜日)
1日の就業時間、出勤日数(曜日)は、病院への通院や精神的緊張緩和を目的として、本人と面談した上で希望通り就労できるよう心がけている。これにより週4日勤務の社員、1日4時間の短時間勤務の社員もいるなど就労形態もまちまちである。また、作業期限に比較的余裕のある業務を担当してもらうことで、突発的な休暇があっても、業務の遅れを容易に取りもどせるようにする等業務内容や業務量についても配慮し、精神的に圧迫しないよう環境づくりに努めている。ただし、1ヶ月の目標は明示し、社員が協力し合って目標達成に向けて取り組んでいる。 - ウ. 作業指示系統
作業指示系統は、原則上司または担当者から行い、適宜ミーティング等を通じて状況確認を行っている。それにより意思伝達がスムーズとなり、事務効率も上がっている。
4. 今後の展望
当社として障害者雇用を推進しているものの、全社的な見地からは受け入れ環境(社員教育等)の整備は十分といえず、これまでは配属できる部署は障害者との接し方に慣れた特定業務・特定部署に限定した運用に止まっていた。しかし、実際は類似する社内業務は各部署に存在するため、現在は特定部署のみならず他部署へも配属するなど、障害者に任せる業務範囲を、少しずつ広げる試みを始めている。
今後、社員の高齢化による定年退職社員の増加や、人口減による働き手確保が厳しさを増すこともあり、障害者も障害のない者と同等に貴重な労働力の担い手として認識している。
今後は、受入れ側の社員に対し障害者に対する正しい知識を提供し理解を促進するとともに、障害者が活躍できる業務範囲を広げることで会社全体の業務活性化を図り、最終的には労働生産性を高める良い循環を作り出すことを目指している。
障害者雇用アドバイザー 畠山 千蔭
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