CoCo(ここ)からはじめよう NORMALIZATION
~ 共働・共生・共遊 ~ 全ては、みんなが「幸福」であるために
- 事業所名
- 社会福祉法人廣望会
- 所在地
- 長野県長野市
- 事業内容
- 障害者福祉サービス事業
- 従業員数
- 91名
- うち障害者数
- 26名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 1 障害者支援員 内部障害 1 障害者支援員 知的障害 22 クリーニング業務 精神障害 2 弁当製造・販売業務 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 事業所外観 |
1. 事業所概要、NLSグループの取組
(1)事業所の概要
社会福祉法人廣望会は、平成9(1997)年、重度障害者多数雇用事業所である「長野リネンサプライ(NLS)株式会社」が設立母体となり千曲川流域の中で一番景色が美しいと言われる千曲市に知的障害者福祉工場(現:多機能型障害者支援事業所)「クリーニング工房CoCo」(就労継続A型・B型・就労移行)を立ち上げた。ここでホテルリネンを中心としたクリーニング作業に取り組んできた。
以来、「アトリエCoCo」(就労継続B型・就労移行・生活介護/クリーニング・農業・施設外就労 他)、「キッチンCoCo」(就労継続A型・B型/弁当製造販売)、「CoCoJAVJAV」(就労継続B型・就労移行/ドライクリーニング受付・クリーニング)、「BakeryCafé CoCo」(就労継続B型/パン製造販売・カフェ)」と、障害のある方々の様々な作業種の働く場・訓練の場を拡げ、また、「地域生活支援センターCoCo」にてグループホーム・短期入所、相談支援、居宅介護、障害児支援等の地域生活支援の場を拡げ、障害のある方々の「働く・暮らす」を創造してきた。
[ 法人沿革 ]
平成9(1997)年8月 | 法人設立 |
平成10(1998)年8月 | 知的障害者福祉工場(現:多機能型)「クリーニング工房CoCo」開所 |
平成13(2001)年10月 | 障害者雇用優良事業所として「長野県雇用開発協会長表彰」受賞 |
平成15(2003)年4月 | 共同作業所「ドリームワークスCoCo」開所(現:クリーニング工房CoCoに統合) |
平成16(2004)年1月 | 知的障害者グループホーム「CoCoホーム千曲」開所 |
平成17(2005)年1月 | 「平成16年度障害者関係知事表彰」受賞 |
平成17(2005)年7月 | 知的障害者通所授産施設(現:多機能型)「アトリエCoCo」開所 グループホーム「CoCoホーム白塚102・CoCoホーム白塚103」開所 |
平成18(2006)年8月 | 「地域生活支援センターCoCo」開所 グループホーム「CoCoホーム表参道」開所 |
平成20(2008)年12月 | グループホーム「CoCoホーム蔵町」開所 |
平成21(2009)年9月 | 障害者雇用優良事業所として「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰」受賞 |
平成22(2010)年4月 | 多機能型障害者支援事業所「キッチンCoCo」「CoCoJAVJAV」開所 |
平成22(2010)年6月 | グループホーム「CoCoホームぼたんの里」開所 |
平成22(2010)年7月 | ショートステイ「CoCoホームぼたんの里・表参道」にて開始 |
平成24(2012)4月 | 計画相談支援事業開始 |
平成24(2012)年10月 | アビリンピック2012長野大会にてクリーニングデモンストレーション出場(NLSグループで協力) 「クリーニング工房CoCo」鎌田真由美さんが優秀勤労障害者として「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞」受賞 |
平成25(2013)年1月 | グループホーム「CoCoホーム山王」開所 |
平成25(2013)年4月 | 障害者支援事業所・地域活動支援センター「BakeryCafé CoCo」開所 |
平成26(2014)年9月 | 障害者雇用優良事業所として「厚生労働大臣表彰」受賞 |
平成27(2015)年4月 | 多機能型障害者支援事業所「第2クリーニング工房CoCo」開所予定 |
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![]() 作業の様子 (クリーニング工房CoCo) |
(2)NLS(長野リネンサプライ)グループの取組
長野リネンサプライ株式会社は、従来の重度障害者多数雇用事業所を一歩進めるべく「社会福祉法人廣望会」を設立し、従来の障害者施設型をより発展させ、ここで働く人々の自立をも目指した全く新しいタイプの企業型福祉を構築した。
就職困難な障害者の一般就労への訓練の場や躓いたら帰ってくることができる場を築き、障害者の就労教育訓練システムとハッピーリタイヤを目指す、という次元を一段と高めた企業と福祉のコラボレーションモデルを創造する。
~全ては、みんなが「幸福」であるために~
NLSグループの経営理念
和 独立した人格が和の精神をもって力強く連携した生活共同企業体を創造する
奉仕 奉仕の心でお取引先との永続的共存共栄に全力をかたむける
幸福 和と奉仕によって得た社会からの還元物を個人及び地域社会に適正に配分し真の幸福を実現する
この三本柱の理念を大切にし、実践に努め、社会福祉に貢献することが真の幸福を掴み取ることであると同時に組織の発展につながる道であると確信している。
社会福祉法人廣望会の経営理念
純粋な強い意志と真心をもって、一貫した就労教育訓練システムとノーマライゼーションを基本とする企業型福祉を確立し、誰もが夢の描ける地域社会を目指す
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![]() 作業の様子 (キッチンCoCo) |
2. 取組の内容
(1)障害のある方、一人ひとりの個性に合った働く場
平成10(1998)年「クリーニング工房CoCo」を開所して間もなく、見学にいらしたある方に「知的障害者にはやっぱりこんな仕事しかないのか・・・」と目の前で言われた一言が心に刺さった。確かにクリーニング工場の中は、夏は暑く汗だくでの仕事である。
しかし、ここで汗だくで働く皆は「クリーニング工房CoCoへ来るのが楽しい」、「自分が休んだら、仕事が回らない」、「温泉にお客さんがいっぱい来てくれるといいな」、「給料頂いたら僕のおごりで両親を居酒屋へ連れて行きたいんだ!」、「働いて車の免許を取って足が悪くなったおばあちゃんを乗せてあげたい!」と、キラキラと輝く顔で汗を流し働く喜びをしっかりと抱いている。
クリーニング工場の中は、知的障害のある方々の様々な個性に適した作業の宝庫のようである。力持ちの人は手先の仕事より洗い場の仕事が得意、力はないけれど手先が器用な人はタオルたたみ等の仕事が得意、色々な作業はこなせないけれど同じ作業を繰り返し行うことができる人一倍根気のある人は機械の投入作業が得意等、作業を切り分けてみんなで得意分野を活かして協力し合いながら生産効率を上げていく。一つのポジションのプロになるのである。
知的障害のある方々の様々な働く力とモチベーションの高さを多くの人に知っていただきたく、工場見学者を断ったことは一度もない。自信をもって活き活きと働く姿をご覧になられた多くの方はそのパワーに圧倒される。そして、一人でも多くの知的障害のある方々が働く喜びを得て就労できるよう紹介している。
まさに「CoCo」の働く皆が自分の背中を見せて後輩を育て、たとえ知的に障害があれども立派に働く力があることを社会に訴え、雇用啓発をしているのである。
「CoCo」で働く全員が主役で17年間継続し頑張ってきた「CoCo」の工場力はすばらしいと思う。そして、平成26(2014)年より「キッチンCoCo」の弁当製造販売業務において精神障害のある方々も仕事を始めた。また、毎年平均5名ほどが訓練を経て一般企業へ就職している。
さらに、数年前より障害者支援員として肢体不自由のある方や内部障害(人工透析)のある方にフレックスタイムで仕事をしてもらっている。互いに思いやり得意な分野を活かし合った良い環境が築けていると考える。
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![]() 障害者支援員の作業の様子
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(2)雇用管理の内容
- ア.就労時間
基本的な就労時間は決めているが、一人ひとりの個性に合わせて柔軟な勤務時間としている。 - イ.雇用前の職場実習
知的障害のある方、精神障害のある方に、雇用前の互いの見極めのための実習を行っている(特別支援学校等の実習、民間活用委託訓練)。 - ウ.家庭、関係機関との連携支援
- 家庭との連絡ノートを活用した情報交換をしている。
- 家族会を設立し、情報共有・親睦を図っている。
- 関係機関と手をつないだ連携支援をしている。
- エ.生活支援、余暇支援
- 生活面も含めて丁寧な相談支援に取り組んでいる。
- イベント、余暇支援、生活支援等豊かな生活が送れるよう運営している。
- 自立した経済生活を送れるよう所得補償・社会保障の充実を図っている。
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![]() 余暇活動の様子
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3. 今後に向けて
「たとえ障害があれども働きたい」と願う皆さんとともに、企業型福祉を確立し様々にチャレンジをすることを惜しまず、「働く」「暮らす」を創造し続けていきたいと考えている。
そして、障害のある方々の就労教育訓練の場、就労の場、高齢定年退職者及び体力等の減退による退職者の受入れの場として、更に余暇支援の場、グループホーム等生活支援の場、相談支援の場として、一人の障害のある方々と「働く」を中心として「その人らしい笑顔の生活」の応援をしていきたいと考えている。
最後に、全国の多くのクリーニング工場で日々努力し、技術を磨き頑張っている障害のある皆さんの励みと技術向上と更なる雇用促進のために「全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」に、3年間継続して「クリーニング」をデモンストレーション競技としてNLSグループが協力企業として出場させてもらったが、この種目が正式競技として実施できるようになるよう切に願うものである。
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![]() アビリンピックにて
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執筆者: | 社会福祉法人廣望会 常務理事 綿貫 好子 |
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