地域と共に歩む銀行を目指して
![]() 事業所外観 |
1. 事業所の概要
(1)設立の経緯
明治11(1878)年、第百二十九国立銀行が誕生。これが大垣共立銀行の前身である。国立銀行は、明治9(1876)年に施行された「国立銀行条例」に基づいて設立された銀行で、全国で153もの国立銀行が誕生した。
明治16(1883)年に“国立銀行は開業から20年経った後には解散、営業継続する場合は私立銀行に”という国立銀行条例の改定により、第百二十九国立銀行を継承する銀行として、明治29(1896)年3月9日に「大垣共立銀行」が誕生した。
■ 銀行名への思い
“共立”という言葉には「士族と平民の共同出資による地域に密着した銀行を設立する」という思いが込められている。
※ 因みに、当時“共立”という名称の銀行は20数行あったが、現在で残っているのは当行だけである。
(2)事業概要
“地域に貢献するサービス業”をモットーに既成概念に捉われないサービスを提供している。
国内の金融機関に先駆けた「ATM(現金自動預払機)の年中無休稼動」を開始。平成24(2012)年9月には、キャッシュカード・通帳が不要な「手のひら認証ATM『ピピット』」を導入し、平成26(2014)年6月には登録者数が20万人を突破した。
平成20(2008)年3月、女性行員限定のプロジェクトチーム「エルズプロジェクト」を発足。「女性(あなた)を笑顔にするプロジェクト」をコンセプトに、女性ならではの視点・発想から生まれるアイデアを持ち寄り、女性のための商品・サービスの実現に取り組んでいる。これまで、「女性のきれいをかなえる美容専用のローン」、「子どもを授かりたいと願うご夫婦のための不妊治療ローン」、「シングルマザーのためのローン」等女性専用商品の開発、女性向けイベント・セミナーの開催や情報誌の発刊など幅広く活動している。平成26(2014)年3月、経済産業省より「ダイバーシティ企業100選」にも選出される。
2. 理念
(1)基本理念
「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」という基本理念のもと、「お客さま、株主さま、従業員、市場の評価向上による揺るぎない信頼の確立」を目指し、地域とともに歩んでいる。
(2)障がい者雇用の考え方
障がい者の雇用創出・拡大に積極的に取り組むことは、地域とともに歩む銀行としての社会的使命であり、障がい者の自立を支援するとともに、地域社会に貢献していかなければならないと考えている。従来から、聾学校との連携等により身体障がい者の雇用を積極的に進めていたが、より一層積極的に障がい者雇用を推進していくにはどうしたらよいか、具体的に何をすべきか、ということを模索している状況にあった。
そうした中、これまで銀行という業種柄、雇用は困難であると考えていた知的障がい者の就労機会創出に取り組むべきであるという結論に至り、ゼロから作り上げたのが、「障がい者が専門的に就労する専用事業所」の開設であった。
(3)専用事業所「OKB工房」の開設
専用事業所開設のポイントは次の3点であった。
第一のポイントは「就労環境の整備」である。長期安定的な雇用を創出するためには、やりがいのある職務の選定、その職務が円滑に遂行できる環境の整備が重要であった。組織としての一体感を醸成し、相互理解を深め、付加価値のある仕事を実現するためには、きめ細やかな対応ができる専用の事業所が相応しいと判断したことがスタートとなった。
第二のポイントは「地元商店街の活性化」であった。新しく専用の事業所を作るのであれば、地元大垣市の商店街活性化に寄与したいとの考えにより、空テナントの一つを有効活用することとした。店舗ではないため集客を伴う活性化とはならないが、シャッターが開き、人の出入り往来があるだけでも活性化に貢献できるとの思いから、地元商店街に事業所を開設した。
そして三つめのポイントが、専用事業所に就労する職員は「特別支援学校新卒者」を中心に採用することであった。交流の乏しかった地元特別支援学校との連携により、平成23(2011)年4月から特別支援学校新卒者を採用することが可能となった。
こうした経緯を経て、平成23(2011)年4月1日、障がい者が働くための専用事業所として「OKB工房」を本店内に開設。平成23(2011)年12月7日には、障がい者がより働きやすい環境を整備するとともに、地域経済の活性化に資するため、地元「大垣郭町商店街」のテナントに移転。現在、特別支援学校新卒者を中心に、15名が勤務している。「OKB工房」では、障がいのある職員が誇りと働き甲斐を持って就労し、「お客さまのため」「銀行のため」に営業店ロビー装飾品やノベルティ等の創作業務および定型的な事務作業を行っている。障がい者の自立支援や雇用の創出・拡大、地域経済の活性化等、当行が地域社会に貢献していくための重要な拠点となっている。
![]() OKB工房外観 |
3. 取組の内容
(1)職務開発にあたっての考え方
OKB工房開設にあたり、4つの基本的な考え方をベースに「知的障がい者でも遂行可能な銀行事務の切出しと選定」を行うとともに、新規業務を開発することとした。4つの基本的な考え方は以下の通りである。
- ■ 障がい者の特性・能力に合った業務
- ■ 働きがいがありモチベーションを維持できる業務
- ■ 付加価値がある業務
- ■ 採算性を意識できる業務(効率化・コスト削減→利益)
(2)業務内容
OKB工房の業務は「定型的な事務業務」、「ノベルティグッズの製作」、「営業店ロビー装飾品等の創作」の三つにわけることができる。
- ア.定型的な事務業務
本部の定型的な事務業務を一括請負することで、事務効率化やコスト削減につなげている。具体的にはパンフレット等への表示シール貼りや各種ポスター巻き、帳票へのゴム印押し、書類の仕分け・丁合・梱包、書類封入作業等がある。表示シール貼り - イ.ノベルティグッズの製作
お客さま用粗品の封入作業を行うことで、効率化・コスト削減・CS(顧客満足)向上につながっている。具体的には粗品用鉛筆の封入や広告用ポケットティッシュの封入等がある。鉛筆の封入 - ウ.営業店ロビー装飾品等の創作
年間を通して季節感を演出する装飾品を創作している。営業店の美化や来店されたお客さまが待ち時間に多少なりとも癒されることで、CS(顧客満足)向上に寄与している。また、お客さまからいただく喜びの声やお褒めの言葉をOKB工房へ還元することで、自分たちの仕事がお客さまに役立っていることを実感でき、モチベーションの向上につながっている。
折り紙
うちわ
4. 取組の効果
(1)「働きたい!応援団 ぎふ」に参加
平成22(2010)年、岐阜県教育委員会が、障がいのある生徒の就労支援に積極的な県内の企業を登録し、様々なサポートをすることを目的に創設した制度。当行は制度創設時からサポーター企業として参加しており、継続的な障がい者支援実績が評価され、平成25(2013)年10月には「働きたい!応援団ぎふ」推進企業として、教育長表彰を受けた。
平成26(2014)年10月31日現在、614社がサポーター企業として登録されているが、金融機関は当行のみである。
(2)特別支援学校生徒の就労支援
障がい者の職能開発、就労支援のため、特別支援学校からのインターンシップを積極的に受け入れている。
インターンシップにより職場の雰囲気を体感し、業務を経験することで、雇用のミスマッチを防止している。実際、OKB工房で働く職員の定着率は100%であり、長期安定的な雇用の実現につながっている。
現在のスタンスを継続し、今後も障害者の長期安定的な雇用を継続していく方針である。
■ 受入実績(26年度は11月末現在)
23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | |||||||||
校数 | 人数 | 延べ 日数 | 校数 | 人数 | 延べ 日数 | 校数 | 人数 | 延べ 日数 | 校数 | 人数 | 延べ 日数 | |
上期 | 4校 | 7名 | 45日 | 3校 | 5名 | 25日 | 5校 | 5名 | 25日 | 1校 | 2名 | 10日 |
下期 | 5校 | 8名 | 45日 | 5校 | 10名 | 57日 | 3校 | 5名 | 25日 | 5校 | 5名 | 37日 |
5. 今後の展開
これまでに培った経験・ノウハウをベースに、個々人のスキルアップを図るため、多様な職能開発を試験的に実施している。専用事業所のスペースは限られているが、今後の障害者雇用拡大を考え、「OKB工房での職業訓練によるスキルアップ→本部セクションでの勤務」といった新たなステージへのステップアップができる環境の整備を現在検討している。
能力開発はもちろんであるが、一人ひとりのやりがいを見出し、モチベーションの維持できる環境を整備し続けることが重要であると考える。今後も一人ひとりに寄り添い、それぞれが成長を実感できる職場を提供することで、地域と共に歩む銀行を目指していく。
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