「この会社で働きたい」と言われたくて
- 事業所名
- 株式会社ゲオビジネスサポート
(株式会社ゲオホールディングスの特例子会社) - 所在地
- 愛知県春日井市
- 事業内容
- ゲオホールディングスグループ店舗での取扱商材の加工等の受託業務
店舗及び各グループ事務所の清掃業務 - 従業員数
- 53名
- うち障害者数
- 43名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害 2 商品加工、検品 知的障害 19 商品加工、検品、清掃 精神障害 14 商品加工、検品、清掃、一般事務 発達障害 8 商品加工、検品、清掃、一般事務 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 事業所外観 |
1. ゲオグループの経営方針、特例子会社設立の経緯と概要
(1)ゲオグループの経営方針
株式会社ゲオホールディングスは平成元(1989)年に愛知県で創業した。『ポケットマネーで楽しめるレジャー』を事業コンセプトに、複合マルチメディアショップとして、経営の基本方針である「Change as Chance」という言葉(創業社長の造語であるが、「変化はチャンスなり」という意味が込められている)を、ゲオグループ社員一人ひとりのDNAとし、刻々と変化する時代の流れをビジネスチャンスと捉え、常にお客様に対するサービスの追求を実践し、新たなビジネスモデルの構築を進めている。
平成26(2014)年末時点で、ゲオグループは全国に1,600を超える店舗ネットワークを構築している。「GEO」は、ラテン語で"大地"を表す言葉。私たちゲオグループは、大地にしっかりと根ざし、たくさんの人に楽しみを提供していける、そんな企業になりたいと考えている。
(2)特例子会社設立の経緯と概要
特例子会社「株式会社ゲオビジネスサポート」(以下「ゲオビジネスサポート」という。)の設立(平成23(2011)年)の頃は、店舗の拡大、新規事業の展開、法定雇用率算出基準の変更などから更なる障害者雇用の促進が急務であり、尚且つ採用した従業員の職場定着もまた重要な課題となっていた。
そのため、障害者手帳を所持する従業員の職場定着率の向上を目指した、採用・教育フローの見直しが必要であり、ノウハウが蓄積されやすい環境と障害者雇用に特化した部署という役割を備えた特例子会社の設立を決定した。
- ア.事業開始の動機様々な障害のある方が能力の発揮できる就労環境を整備し、その雇用機会を提供することを目的とし設立した。
- イ.経営理念
基本理念: grow up <成長する>
行動理念: glowing <情熱的に>
企業理念: galloping <疾走する> - ウ.事業方針ゲオグループとしてのスケールメリットを最大限に活用し、障害のある方の個性に合わせた適材適所への配置を行うことにより、効率・効果を追求し業績を最大限に伸ばす。
2. 業務概要、取組の内容と効果
(1)業務概要
平成26(2014)年時点のゲオビジネスサポートの業務は、大きく分類すると3つとなる。
- ア.商品(店舗で使用する商材「DVD」「CD」「本」など)の加工及び検品業務 ゲオグループ店舗で取り扱っている商材(主にDVD)の加工を行う。工程は商材によって異なるが、当社で新作と呼んでいる加工作業だけでも、検品を含めると軽く50を超える工程がある。これら全ての加工作業・商品検品業務などの工程を全従業員が理解し、作業に当たっている。
真剣に集中して業務中
※空席は他の業務中である。 - イ.店舗及びゲオグループ事務所の清掃業務
- (ア)ゲオグループの店舗の清掃(数名を1班として実施) 日々異なる店舗で、駐車場、窓ガラス、陳列棚など日常の店舗清掃では行き届きにくい箇所を中心に清掃を行っている。
(実績:当初は1棚8分の時間を要したが、現在は2分程度まで短縮できている。) - (イ)ゲオホールディングス本社清掃(5名を1班として実施) 来客スペースをはじめ、執務スペース、給湯スペース、トイレ、ホールなど全ての箇所の清掃を行っている。現在は開始当初に比べて精度、効率ともに飛躍的に改善されている。
窓清掃中。綺麗に丁寧に。 - (ア)ゲオグループの店舗の清掃(数名を1班として実施) 日々異なる店舗で、駐車場、窓ガラス、陳列棚など日常の店舗清掃では行き届きにくい箇所を中心に清掃を行っている。
- ウ.ゲオグループ全体の障害者雇用管理及び定着支援に関する委託業務
- (ア)全国のゲオグループ店舗での障害者雇用の管理業務(入社等の書類管理、支援機関との対応代行、行政等への報告資料作成など、採用前から退職後までの障害者雇用に関わる業務全般)
- (イ)採用フロー、対応マニュアルなどの作成、発信
- (ウ)障害者雇用に関する店舗からの相談窓口、行政・支援機関からの問合せ窓口
(2)取組の内容と効果
- ア.適性に応じた指導を行うゲオビジネスサポートの障害者手帳を所持する従業員の約半数が精神障害者保健福祉手帳を所持しているが、全員に同じ説明・指導を行うと個人の強みを消してしまうこともあった。そのため、より一人ひとりの個性に合わせた指導方法や勤務環境に変えたところ、得意な分野に関してはすばらしい結果を残す従業員も徐々に増え、各人の作業効率が向上し、結果会社全体の作業効率も大きく向上した(実績:全体で昨年対比148%まで効率向上)。
- 例:作業マニュアルを(画像を多くする、ルビを打つ、など)各人でカスタマイズ。
- 例:静かな場所ならば効率が上がる従業員には、集中できる環境を整える。
- 例:作業方法も利き手や利き目に合わせて変更する。
- イ.採用時に、全ての従業員に支援機関がついている新規入社時点では、個人の特性に対する理解が不足しているため、業務説明や指導方法、必要な配慮などを旧知の関係である支援機関にアドバイスを得ることにより、採用時の負荷を軽減できた。また、入社後も協力体制が整えられ、従業員も会社以外に相談窓口を持つことができ、より安定した勤務が可能となった(入社後1年以内に退職した者は1名のみ)。
- ウ.班制の導入6人程度を1班として、1班毎に班長を定める。班長になるためには、スタッフ本人の希望を第一とし、次に実際に班長候補生としての業務を行う。これらの経験を経て、会社が認めた段階で班長となる。班長の業務は作業の準備、後片付け、班員からの作業質問への回答などである。これらは班長を目指したいスタッフへのやる気の醸成につながり、スタッフ本人の成長にも大きく効果を発揮している。
- エ.チャレンジ社員登用制度の導入1年間の出勤率が90%を超えたスタッフはチャレンジ社員を希望することができる。スタッフ本人がチャレンジ社員への登用を希望した場合、会社が最終的に判断をした上でチャレンジ社員とする。現在、過去の登用希望者の全員がチャレンジ社員として勤務している。この制度を導入したことにより、非正規雇用から正規雇用へ変わるため、自ら体調管理に注力してくれるスタッフも増え、全体の出勤率が向上した。
- オ.職場実習、見学申込みの積極的な受入れ支援機関、ハローワーク、学校などからの職場実習や見学申込みの積極的な受入れを行っている。ゲオビジネスサポートの取組を理解した上で応募者の紹介に繋がるため、入社後に思っていた会社とは違ったというような認識の相違が少なく、職場定着に繋がっている。
- カ.障害者職業生活相談員、第2号職場適応援助者の配置平成27(2015)年2月現在の資格所持者
障害者職業生活相談員 10名
第2号職場適応援助者 6名 - キ.ゲオグループでの障害者雇用の取組<ゲオグループ全体の障害者雇用窓口をゲオビジネスサポートに一元化する>
- (ア)実習希望(学生・一般)の取りまとめ
- (イ)各店舗での受入可否状況の確認
- (ウ)実習、見学、応募などの支援機関との対応窓口
- (エ)採用関連フローの構築と、勤務状況の進捗管理
- (オ)各種書類の管理、各種申請・報告書の作成代行
- (カ)スタッフ定着支援(定期的連絡:電話対応、訪問対応)
- (キ)管理者支援(FAQ作成、マニュアル作成、説明会実施など)
- (ク)各種トラブル対応
- (ケ)その他、障害者雇用に関連する業務全般
平成26(2014)年6月 275名(内 ビジネスサポート 43名)
3. ゲオビジネスサポートの目指すところと課題
(1)今後の展望
障害者手帳を持つ方々が、社会・経済・文化などのあらゆる分野で積極的に活動し、障害のない者と等しく生活を営むことができるようにすることは、大きな国民的問題といわれている。働く「意欲」と「能力」があるにもかかわらず、適職に恵まれない方が数多く存在しているのが現状である。
<ゲオビジネスサポートが目指すのは>
- ●これら適職に恵まれない方々を一人でも多く採用し、共に成長し、共に喜び合う機会を創り続ける。
- ●障害者手帳を所持する方々が、意欲・能力を十分に発揮し活躍できる場を積極的に、創造し、障害者雇用の常識を覆すようなそんな新しい会社となる。
- ●一人ひとりでは決して成し得ないことも、個々の力を終結させることで実現し、結果はもちろん、その過程をも楽しむことができる、そんな強い組織になる。
そのために、一人ひとりの適性をしっかりと見据え、成長を手助けし、新しい職域を開拓し続ける必要がある。
結果は自ずと付いてくる。全ての従業員に「この会社が好きだ!」と言ってもらえる会社であり続けることを目指す。
(2)課題
多種多様な障害(手帳を所持)のスタッフの一人ひとりの能力を最大限に活かす手法を探すことはそう難しいことではないが、実際に一人ひとりに適した仕事の開拓が難しく、更なる企業努力が必要とされている。
また、如何に作業効率の向上に努めても、利益を上げるというところまでは辿り着いていないため、今後の工夫と新規事業への取組が必須となる。
執筆者: | 株式会社ゲオビジネスサポート 営業部 推進役 松本 知子 |
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