障害者の雇用と定着支援に全力を注ぐ企業
2014年度作成
- 事業所名
- 株式会社日研環境サービス
- 所在地
- 岡山県倉敷市
- 事業内容
- 日研総業株式会社及び関連会社から業務委託された清掃、オフィスビルフロアサービス
一般企業(外注業務)からの業務請負 清掃、環境整備など - 従業員数
- 77名
- うち障害者数
- 57名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 2 事務職 内部障害 知的障害 39 清掃 精神障害 7 清掃 発達障害 9 清掃、オフィスビルフロアサービス 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
![]() 日研総業株式会社 | ![]() 日研環境サービス水島ST |
1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯、障害者雇用を促進するためには
(1)事業所の概要
- ア 会社設立平成16(2004)年5月(平成16年(2004)年11月に日研総業株式会社の特例子会社として認定される。)
- イ 企業方針「様々な障害を持った方々が、仕事を通じて共に活躍できる環境を充実し、さらに多くの方と一緒に仕事ができるよう事業展開を図る」を企業方針としている。
- ウ 事業所本社は岡山県倉敷市に置き、事業所として次の14ステーションで全国32都府県をカバーしている。
水島 宇都宮 出雲 東京 中津 豊田 滋賀 甲信 西東京 湘南 金沢 近江 千葉 山口 - エ 事業概要日研総業株式会社並びに関連会社、一般不動産会社等から委託、請負された下記の業務で、大きく分けて「清掃作業」と「オフィスビルフロアサービス作業」を事業内容としている。
- (ア)日研総業株式会社従業員寮の清掃、環境整備、寮備品管理
- (イ)日研総業株式会社従業員寮立上げ業務
- (ウ)一般不動産会社、リフォーム会社、個人オーナーからの清掃業務
- (エ)日研総業株式会社、関連会社の名刺印刷業務
- (オ)日研総業株式会社社員証作成業務
- (カ)日研総業株式会社本社内ペットボトルリサイクル業務
- (キ)日研総業株式会社機密書類シュレッダー業務
- (ク)日研総業株式会社書類送付用封筒作成業務
- (ケ)日研総業株式会社本社内メール便仕分けデリバリー業務



従業員寮清掃作業



オフィスビルフロアサービス作業
(2)障害者雇用の経緯
- ア 障害者雇用の改善を図るため、他社の状況をリサーチしたところ、直雇用よりも特例子会社の方が障害者雇用をスピーディかつ持続的に促進でき、雇用管理も柔軟に対応できると判断し、親会社直雇用ではなく特例子会社という方法を選択した。
- イ 平成14(2002)年日研総業株式会社管理部に、「特例子会社設立プロジェクト」を立ち上げ、事業内容、人員計画、人事制度などの整備を行った。
- ウ 平成15(2003)年11月、日研総業株式会社倉敷事業所内に障害者12名を雇用し、寮清掃部門を立上げ業務の稼働を始める。
- エ 平成16(2004)年5月、新たに12名の障害者を雇用し、日研総業株式会社から障害者6名の転籍者を合わせた障害者30名体制で、分社化し日研環境サービス株式会社が設立された。
- オ 特例子会社設立によるメリット
- (ア)親会社の労働条件とは別に、障害特性に合わせた労働条件を設定できることにより雇用拡大に繋がり職場定着率も高まる。
- (イ)グループ意識や仲間意識の強い人にとっては、同じ障害を持つ仲間が多い特例子会社では、会社が就業としての場所だけに留まらず、喜怒哀楽の分かち合いの場所になっており、安心して就業しやすい環境になっている。
- カ 平成26(2014年)11月末現在 障害者雇用率2.00%(日研総業株式会社特例グループ企業4社集計)
(3)障害者雇用を促進するためには
日研総業株式会社では、社内に障害者のファンを増やす活動を実施している。その結果、日研環境サービスを必要としている親会社の事業所が増えてきていることと、親会社内でも障害者雇用が促進されている。
2. 取組の内容
(1)募集と採用活動
募集と採用活動は次のアからキの順に行っている。
- ア ハローワークに求人申込み
- イ 会社説明会の実施
障害者職業センター、ハローワークと連携を取り、就労移行支援事業所、障害者就業・生活支援センター等を招いて、会社説明会を実施する。主に「企業概要」「事業内容」「企業の特徴」を説明し、支援者に企業理解をしていただいた上で応募者を募る方式をとっている。採用から定着に向けて重要なポイントとしては、地域との連携を重視しているため、会社説明会は時間を掛けて実施している。 - ウ エントリーシートの受付
支援者側より、業務内容や企業風土に合った障害者に声掛けをしていただき、エントリーシートを受付する。 - エ 面接実施
すべての作業工程で、必ず責任者が同行して業務を援助しているため、他企業では就労が困難と思われる応募者を採用のポイントとしている。 - オ 1週間のインターシップを実施
終了後、振り返り反省会を実施し、本人の引き続き就労の意思を確認する。 - カ 採用
- キ 保護者会の実施
保護者会では「企業概要」「事業内容」「企業の特徴」「企業方針」など会社説明や、保護者からの質疑応答などを実施する。
(2)定着支援
- ア 導入教育の実施
社会性(挨拶や身だしなみ)や職場内のルール(報告・連絡・相談)などのOFF-JTは入社時は必ず実施するが、その後も反復して定期的に教育活動をしている。 - イ 送迎業務
公共交通機関の利用が不便な地域など、ステーションのロケーションに応じて、リーダーによる社有車スタッフピックアップ方式により送迎をしている。送迎先として、自宅や最寄駅、バス停などとしている。
一日の流れ - ウ 業務指導とワークシェアリング
従業員寮の清掃作業を例にすると次のような方法によっている。- (ア)リーダー1名とスタッフ(障害者)3名を1クルーにする。
- (イ)仕事は全員同じ部屋で行う。
- (ウ)居室・台所・風呂など仕事をシェアして作業を行う。
- 細かく仕事を分けることにより、得意な部分だけの仕事を任せられる。
- 全員同じ部屋に入ることにより、スタッフが作業のやり方が分からないとき、リーダーにすぐに聞ける状態を保ち、安全に対する配慮もできる。
業務指導とワークシェアリング - エ 業務改善ミーティング(管理課とスタッフによるミーティング)
スタッフ(障害者)の意見をアンケートによりヒアリングし、ステーションの現状を把握し、働きやすい環境づくりをする。業務改善の流れ - オ 個別支援会議(上期、下期 年2回実施)
- (ア)スタッフ・保護者・支援機関・会社など一同が集まり、就労状況や生活状況などの情報の共有を行い定着に繋げる。
- (イ)役割分担をしたソーシャルサポート体制を確立する。
- (ウ)地域で生活するために、「地域に見守られる体制」を作る。
定着のための役割分担と情報の共有
3. 今後の展望
(1)職域の拡大
当社の事業内容は「清掃業務」と「オフィスフロアサービス」に限られる。
現在は、業務内容に障害特性を合わせる指導を行っているが、職域を拡大することにより、障害特性に応じた業務の割り当てができる。今後、さらに充実したスペック採用が行える企業を目指して取り組んでいく必要がある。
(2)自社能力の底上げ
ア 顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
イ 競合相手にマネされにくい自社能力
ウ 複数の商品・市場に推進できる自社能力
障害ハンディによる非効率性が高いことは否めないが、提供するサービスに関しては高品質を求めていかなければならない。特例子会社として親会社または関連会社へ対する依存度は非常に高いが、今後、地域にも高品質なサービスを提供できる企業に成長していくことが必要と考える。そのためには、障害者の労働をサポートする体制の整備、労働力を強化する体制の整備を充実し、日研総業株式会社の特例子会社として、「挑戦」「成長」「進化」する企業になれるよう努力を積み重ねていきたい。
執筆者: | 株式会社日研環境サービス 水島ステーション 信谷 民也 |
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