事業所名

合理的配慮事例・27026

業種

宿泊業

従業員数

300名

職種・従事作業

事務補助作業（DM作成、郵便物印字、領収書発送、契約書製本、化粧品梱包等）

障害種別

高次脳機能障害

障害の内容・特性

1. 道順・人物等の名前が覚えられない。
2. 参考書などの文書を読むのが苦手であり、作業工程の変化に対応できない。
3. 時間管理ができないため長時間のパソコン作業が難しい。

その他

障害者職業生活相談員

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

面接時は地域の就労支援センターの支援員に同席してもらい、本人の障害特性について確認した。
支援員からは、業務を一度に指示されるとパニックになるため一つ一つ説明すること、時間管理ができないので短い時間で区切ること等の配慮事項について具体的な説明を受けた。

その他の配慮

1. 2～3週間の職場実習を受け入れた。実習することで業務に対する適性、準備性が確認できた。これはお互いが就労可能かを確認できるのでメリットがあった。
2. 通勤経路を覚えることが難しいので、支援員に道順マニュアルを作成してもらい、初期には通勤支援も実施した。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

1. 当社では雇用障害者への業務指導や相談等を担当する社員を「サポートスタッフ」と呼称するが、対象障害者のサポートスタッフには元人事総務社員を配置した。
2. 担当するサポートスタッフは障害者職業生活相談員でもある。またジョブコーチの資格も取得した。
3. 担当するサポートスタッフが対象障害者に対して業務指示、業務指導、体調管理などを実施することとし、本人の報告・連絡・相談がしやすいようにしている。
4. 事務支援センター長が月1回、支援機関が半年に1回定期的な面談を実施している。また、要望があれば随時相談を受けている。
5. ケース記録を作成しサポートスタッフ間で共有できるようにした。
6. 聞きやすい雰囲気を常に心掛けている。

仕事内容等をメモにする、一つずつ業務指示を行う、写真や図を多用して作業手順を示す等の対応を行うこと

1. 業務マニュアルを作成したが、対象障害者は写真と文字が入り組んでいるマニュアルが理解しにくいことから、自分で作業しながら得意の絵を描き、分かりやすいように加工して自分用のマニュアルを作成した。本人が自分用のマニュアルを作成する際は、作業手順等適切なアドバイスをした（下写真「自分で作成した印鑑マニュアル」参照）。
2. 本人は、メモ帳を随時携帯してその日の業務を書き込む習慣を身につけている。
3. 一つの業務が終わるごとに報告してもらい次の業務指示を出すようにしている。

作業の様子

自分で作成した印鑑マニュアル

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

1. 当初は1日6時間半（週32.5時間）勤務から始め、本人と相談して1日7時間（週35時間）勤務に延長した。
2. 障害特性として時間管理ができないこともあり、休憩時間（12時～13時、15時～15時15分）以外に小休止（お茶タイム、トイレタイム等）を設けたり、過集中にならないように配慮した。
3. パソコン業務については、長時間にならないようにタイマーを設定して休憩を取るようにした。
4. 体調不良時の休憩室も用意した。

本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること

サポートスタッフが常に状況の把握を心掛けているため、声掛けをしたりすばやい対応をしている。

1. 朝礼時の様子を見て体調不良の場合は、時間制約の緩やかな個別業務を行うようにしている。
2. 静かな環境が必要な場合は、別室での業務を行う。
3. 業務時間については自身でメモを取り、目標時間の設定を行う。
4. 一つの作業ばかりするのではなく、いろいろな作業を用意して本人の適性を判断したり集中力の維持等を図っている。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

社員に詳細な障害内容等は説明していないが、制服を着用（雇用障害者の了承を得て着用するようになった。）していることから障害のある社員であることを他の社員が認識できるようになっている。

その他の配慮

対象障害者は通勤寮で生活をしているため、就労支援センターの支援員と定期的な面談を実施している。当社でも生活面で不安定な時期の対応や余暇の活動などの充実を図るための取組など、就労支援センター支援員と連携しながら対応している。また、水泳、ウォーキング等の体力作りや料理など幅広く指導を受けている。

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等