募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

対象障害者は国立吉備高原職業リハビリテーションセンター（以下、「吉備リハ」という。）の職業訓練を受講中であった関係で、採用面接では当該訓練のサポート職員、対象障害者が利用する就労支援センターの担当者及びハローワーク障害担当指導官の同席のもと、双方の相互理解を深めながら面談を進める形式をとった。

その他の配慮

吉備リハの職場実習制度を活用し、10日間のカリキュラムを組み、採用を前提とした実習訓練を行った。それにより、対象障害者本人の仕事に対する気持ちの確認と職業的マッチングの把握・整理をすることができた。
また、吉備リハ（物流・組立ワークコース）での職業訓練の内容（物品管理、組立、伝票整理、就労セミナー等）を考慮しながら担当業務の選定を行った。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

障害者職業生活相談員資格者でもある業務指導・相談窓口担当者を対象障害者の勤務時間帯に全て帯同させ、業務遂行にあたり業務内容の不明な点又処理内容等の悩み等を即座に解決できるようにした。
当事業所は各店舗において販売等される商品の加工業務を集中して行う事業所で、多数の障害のある従業員が当該業務に従事している。そのようなことから、業務上パートナーとなる障害（精神障害）のある従業員（以下、「パートナー障害者」という。）に対象障害者の特性を伝え、業務上の必要な伝達については配慮が必要であることを伝え、理解を得るようにしたところ、実務の細やかなテクニック部分について、パートナー障害者がメモを作成して業務終了後に対象障害者に渡してくれる等の相互配慮が自発的に行われる状況になった。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

業務習得に際し、苦手分野を周囲のサポートによって解消する協力体制をとった。対象障害者は文字を書くことに強い苦手意識を持っているため、自分で指導された事項をメモしておくなどができない。そのため通常口頭のみで指導する事項についても、マニュアル類の作成や、指示申し送り書のような書面を作成することで、不得手な部分での負担を軽減する配慮を行った。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

勤務時間はシフト体制を取っている。通院日等事前に日程を確認して勤務表を作成している。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

休憩室に関しては障害者専用の休憩室は設けていない。他従業員とのコミュニケーションが大切と考えており休息は各自自由に取っている。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

不調を訴えるときには業務量の調整を行い、また業務遂行上の悩み等を抱えているときには新しい業務やこれまで取り組んでいた難易度の高い仕事への取組を一旦中止し、これまで十分にできていた業務を行わせるなど適度なバランスを保つために、パートナー障害者等から適宜情報を得ながら業務配分を行っている。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

業務上パートナーとなるパートナー障害者に対しては、対象障害者の特性や業務上必要な配慮について説明し、協力を得ていたが、対象障害者をサポートするパートナー障害者本人も障害者であり対象障害者の作業のスピード、指示理解の程度などに配慮することで多少のストレスがかかり、サポートを実施したことで一時不満状態が生じた。
このため、当該パートナー障害者の雇用当初の担当ジョブコーチへ相談し、当該ジョブコーチにパートナー障害者とヒヤリング面談を行ってもらった。その結果、不満状態の解消を図ることができた。

その他の配慮

対象障害者が利用する就労支援センターでは、対象障害者の家族との連携も図っているので、同センターの担当者とは、家族側やセンター側から見た本人の職業生活状況等についての情報交換も行っている。